捕虜収容所処遇規則¶
平成十七年内閣府令第十号
捕虜収容所処遇規則
武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律(平成十六年法律第百十七号)第二十七条第二項、第二十八条、第三十二条第一項、第四十七条、第五十九条、第六十一条から第六十三条まで、第七十二条、第七十三条第二項、第七十四条第一項、第七十八条、第七十九条、第八十条第二項、第八十四条第一項及び第二項、第八十七条第一項及び第二項、第八十九条、第九十二条、第百五十四条第四項、第百五十五条第一項、第百六十条、第百六十七条第三項並びに第百七十一条第二項の規定に基づき、並びに同法第十五条第五項(同法第十七条第五項において準用する場合を含む。)、第十九条第三項、第二十九条、第三十一条、第三十三条から第三十七条まで、第三十九条及び第四十五条の規定を実施するため、捕虜収容所処遇規則を次のように定める。
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 収容の開始(第二条―第十条)
第三章 保健衛生及び医療(第十一条―第十九条)
第四章 制止等の措置等(第二十条)
第五章 被収容者の処遇(第二十一条―第二十七条)
第六章 捕虜の業務(第二十八条―第三十二条)
第七章 捕虜等抑留給付金(第三十三条―第四十条)
第八章 面会(第四十一条)
第九章 信書及び電信等の発受(第四十二条―第五十四条)
第十章 苦情(第五十五条―第六十四条)
第十一章 捕虜収容所における領置(第六十五条―第七十六条)
第十二章 捕虜等情報の取扱い(第七十七条)
第十三章 死亡時の措置(第七十八条・第七十九条)
第十四章 補則(第八十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この規則は、被収容者(武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律(平成十六年法律第百十七号。以下「法」という。)第二十四条第一項に規定する被収容者をいう。以下同じ。)の人道的かつ適正な処遇を行うことを目的とする。
第二章 収容の開始
(通則)
第二条 捕虜収容所長は、法第十五条第四項(法第十七条第五項において準用する場合を含む。)又は第十九条第二項の規定により引渡しを受けた者について、法第十五条第五項(法第十七条第五項において準用する場合を含む。)又は第十九条第三項の規定による捕虜収容所への収容を開始するに際し、この章に規定する手続(第三項及び第十条第二項において「収容開始手続」という。)をとらなければならない。
2 第四条から第十条までの手続は、被収容者を収容する捕虜収容所の施設(以下「収容施設」という。)内において行うものとする。
3 捕虜収容所長は、第一項に規定する場合のほか、法第百十八条の規定による捕虜資格認定等審査会の裁決により、仮収容者(法第二十四条第一項に規定する仮収容者をいう。以下同じ。)が抑留資格(法第十八条第三号に規定する抑留資格をいう。以下同じ。)を認められ、又は被収容者(仮収容者を除く。)について異なる抑留資格が認められた場合についても、必要な事項につき改めて収容開始手続を行うものとする。
(抑留令書等の査閲)
第三条 捕虜収容所長は、法第十九条第二項の規定による引渡しを受けたときは、抑留令書を査閲し、その収容が適法であることを確認しなければならない。
2 法第十五条第四項(法第十七条第五項において準用する場合を含む。)の規定により引渡しを受けたときも、同様とする。
(保健衛生上の措置)
第四条 捕虜収容所長は、次に掲げる場合において、法第三十一条第一項の規定による健康診断を行うものとする。
一 法第十五条第五項の規定により収容する場合
二 法第十七条第五項において準用する法第十五条第五項の規定により収容する場合
三 法第十九条第三項の規定により収容する場合
四 法第二十条第一項の規定により引渡しを受けた場合
2 捕虜収容所長は、被収容者の健康及び捕虜収容所内の衛生を保持するために必要と認めるときは、傷病によりやむを得ない場合を除き被収容者を入浴させ、並びにその着衣の洗濯及び所持品の洗浄を行うものとする。
3 前項の規定により女性の被収容者を入浴させる場合には、捕虜収容所長の指定する女性の自衛官にこれを行わせなければならない。
(身体、着衣及び所持品の検査)
第五条 捕虜収容所長は、引渡しを受けたすべての者について、法第四十五条の規定によりその身体、着衣及び所持品の検査を行わせるものとする。
(所持する金品の領置)
第六条 捕虜収容所長は、引渡しを受けたすべての者について、法第百五十四条第一項の規定により、その収容の際に所持する現金及び物品(以下「金品」という。)について領置するものとする。
(写真撮影、指紋採取等)
第七条 捕虜収容所長は、法第十五条第五項(法第十七条第五項において準用する場合を含む。)又は第十九条第三項の規定により収容する者(以下「新規収容者」という。)について、防衛大臣の定めるところにより、無帽、正面、上半身その他の写真を撮影するものとする。
2 捕虜収容所長は、新規収容者について、防衛大臣の定めるところにより、第七十七条に規定する被収容者記録簿の所定の欄に指紋を押なつさせるものとする。
3 収容の開始に際し、被収容者の心身の故障により前二項に規定する写真撮影又は指紋採取を行うことができないときは、捕虜収容所長は、当該被収容者の容貌の記録その他の識別のために適当な措置を講じなければならない。
(被収容者番号の付与)
第八条 捕虜収容所長は、新規収容者について、当該新規収容者を他の被収容者から識別するための数字、記号又は符号(以下「被収容者番号」という。)を、防衛大臣の定めるところにより付するものとする。
(被収容者証の発給等)
第九条 捕虜収容所長は、新規収容者について、氏名、生年月日、階級等(法第八条第一項に規定する階級等をいう。以下同じ。)及び身分証明書番号等(同項に規定する身分証明書番号等をいう。以下同じ。)並びに抑留資格を記載した被収容者たることを証明する証書(以下この条において「被収容者証」という。)を発給する。
2 被収容者証には被収容者の無帽、正面、上半身の写真を付するほか、所定の欄に指紋を押なつさせるものとする。
3 前二項に規定するもののほか、被収容者証の様式は、防衛大臣が定める。
4 被収容者は、被収容者証を見やすい位置に着用しなければならない。
5 捕虜収容所長は、第一項に規定する場合のほか、法第百十八条の規定による捕虜資格認定等審査会の裁決により、仮収容者が抑留資格を認められ、又は被収容者(仮収容者を除く。)について異なる抑留資格が認められた場合についても、第一項から第三項までの規定により、改めて被収容者証を発給するものとする。
(収容開始時の告知等)
第十条 法第二十七条第一項の告知は、被収容者が収容施設に収容された日に行うものとする。ただし、多数の者を収容しなければならない等の特段の事情があるときは、その翌日に行うことができる。
2 告知は、収容開始手続を行った場所又は居住区画(法第三十条に規定する居住区画をいう。以下同じ。)において行うものとする。
3 告知は、防衛大臣の定めるところにより、法第二十七条第一項各号に掲げる事項を記載した書面を被収容者ごとに交付することにより行う。ただし、同一の居住区画を指定された被収容者については、この限りでない。
4 前項の書面は、捕虜収容所長が作成するものとし、その作成に当たっては、被収容者の理解する言語を併記するものとする。
5 第三項の規定による告知の後、告知した内容に変更があった場合には、その都度、その部分を改めて告知しなければならない。この場合の告知の方法については、前三項の規定を準用する。
6 法第百十八条の規定による捕虜資格認定等審査会の裁決により、仮収容者が抑留資格を認められ、又は被収容者(仮収容者を除く。)について異なる抑留資格が認められた場合において、当該被収容者に対し既に告知された内容と新たな抑留資格の被収容者に対し告知されるべき内容に異なるものがあるときは、改めてその異なる内容について告知しなければならない。この場合の告知の方法については、第二項から第四項までの規定を準用する。
第三章 保健衛生及び医療
(保健衛生上の措置)
第十一条 捕虜収容所長は、被収容者が居住区画その他日常使用する場所を清潔に保つよう注意を払うとともに、被収容者の健康及び収容施設内の衛生を保持するため必要があると認めるときは、次に掲げる措置をとるものとする。
一 被収容者の着衣の洗濯
二 所持品の洗浄又は消毒
三 居住区画の清掃又は消毒
2 捕虜収容所長は、前項各号に掲げる措置のほか、被収容者の健康及び収容施設内の衛生を保持するため特に必要と認めるときは、第四条第二項の規定によるほか、被収容者に入浴を指示し、これに従わないときは入浴させるものとする。この場合において、女性の被収容者を入浴させるときは、捕虜収容所長の指定する女性の自衛官にこれを行わせなければならない。
(先任軍医の指定)
第十二条 捕虜収容所長は、防衛大臣の定めるところにより、捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(以下「第三条約」という。)第三十三条第二項(b)に規定する先任軍医たる衛生要員に相当する衛生要員を指定するものとする。
(診療)
第十三条 捕虜収容所長は、被収容者が負傷し、若しくは疾病にかかった場合又はこれらの疑いがある場合には、速やかに捕虜収容所の職員である医師若しくは歯科医師又は医師相当衛生要員等(法第三十三条第一項に規定する医師相当衛生要員等をいう。第十七条第一項において同じ。)若しくは歯科医師相当衛生要員等(法第三十四条第一項に規定する歯科医師相当衛生要員等をいう。第十七条第一項において同じ。)による診療を行わせるものとする。被収容者から診療を受けたい旨の申出があった場合も同様とする。
2 捕虜収容所長は、前項に規定する場合において、傷病の種類、程度等に応じて必要と認められるときは、捕虜収容所の職員である医師又は歯科医師以外の医師又は歯科医師による診療を行わせることができる。
3 捕虜収容所長は、第一項又は前項の場合において第三条約第三十条第二項に規定する重病又は特別の治療、外科手術若しくは入院を必要とする状態に該当すると認められるときは、自衛隊病院(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二十七条に規定する病院をいう。)又はそれに準ずる病院において当該重病又は状態に応じて適切な医療上の措置を受けさせなければならない。
第十四条 捕虜収容所長は、前条の規定により被収容者の診療を行わせるに当たっては、当該被収容者の属する国の衛生要員による診療その他の当該被収容者の希望を尊重しなければならない。
(特別措置)
第十五条 捕虜収容所長は、被収容者が第十三条の規定による診療を拒む場合又は飲食物を摂取しない場合において、その生命に危険が及ぶおそれがあると認めるときは、当該被収容者に対し、診療又は栄養補給の処置を受けさせることができる。
(その他の措置)
第十六条 捕虜収容所長は、養護を必要とする被収容者に対して、その養護を必要とする事情に応じ、眼鏡、義歯その他の補装具の貸与又は支給その他必要な措置をとるものとする。
(有資格衛生要員等)
第十七条 捕虜収容所長は、防衛大臣の定めるところにより、捕虜及び衛生要員を医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等、法第三十五条第一項に規定する薬剤師相当衛生要員等、法第三十六条第一項に規定する看護師相当衛生要員等又は法第三十七条第一項に規定する准看護師相当衛生要員等(次項及び第三項において「有資格衛生要員等」という。)と認めたときは、次に掲げる事項を記載した書面を交付するものとする。
一 被収容者の氏名及び階級等
二 抑留資格
三 被収容者番号
四 その他防衛大臣が定める事項
2 前項の場合において、捕虜収容所長は、併せて有資格衛生要員等の区分に応じて、その行うことができる業務の範囲並びに法第三十八条及び第百八十三条の規定の内容について告知しなければならない。
3 第一項の書面の交付を受けた有資格衛生要員等は、医療に関する業務に従事するときは、当該書面を見やすい位置に着用しなければならない。
4 第一項の書面の様式は、防衛大臣が定める。
(業務を実施する際の指示)
第十八条 捕虜収容所長は、衛生要員及び法第六十八条の規定により法第六十四条第三号に掲げる業務に従事することを許された捕虜(次項及び次条において「衛生業務従事捕虜」という。)に対し、あらかじめ業務の実施場所、業務上の指示を受けるべき者、業務の対象者その他業務の実施について必要な指示をするものとする。
2 捕虜収容所長は、前項の指示をするに当たっては、衛生要員又は衛生業務従事捕虜が業務を行う自衛隊病院等(法第三十三条第一項に規定する自衛隊病院等をいう。次条において同じ。)の管理者と必要な協議をするものとする。
(業務の停止)
第十九条 自衛隊病院等の管理者は、衛生要員又は衛生業務従事捕虜の業務の遂行について不適切と思料する事情があるときは、当該衛生要員又は衛生業務従事捕虜の業務への従事を停止させることができる。
第四章 制止等の措置等
(防衛省令で定める用具)
第二十条 法第四十七条に規定する防衛省令で定める用具は、次の九種類とする。
一 手錠
二 簡易拘束具
三 捕じょう
四 目隠
五 警棒
六 警じょう
七 木銃
八 刺股
九 盾
2 前項の用具の仕様は、防衛大臣の定めるところによる。
第五章 被収容者の処遇
(貸与又は支給する物品の基準)
第二十一条 法第五十八条第一項又は第二項の規定により貸与し、又は支給する物品の品目及び数量は、武力攻撃事態(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第二条第二号に規定する武力攻撃事態をいう。以下同じ。)又は存立危機事態(同条第四号に規定する存立危機事態をいう。以下同じ。)に際して防衛大臣が定める基準に従い、捕虜収容所長が定めるものとする。
(食事等の支給)
第二十二条 法第五十八条第一項に規定する被収容者への食事及び湯茶の支給に関し必要な事項は、防衛大臣が定める。
(自弁物品の品目等)
第二十三条 法第五十九条第一号から第四号までに規定する物品で防衛省令で定める品目は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 衣類 肌着及び靴下類
二 寝具 カバー類
三 食料品 米飯類、パン類、めん類、菓子類、果物類、そうざい類、乳製品、調味料及び香辛料
四 飲料 茶類、コーヒー、ココア、乳飲料、果実飲料及び清涼飲料水
五 日常生活に用いる物品 歯磨用具、石けん類、タオル類、調髪用具、ひげそり用具、化粧用品、生理用品、食器類、履物類、筆記具類、筆記用紙、通信用品及び衣料補修用品
六 し好品 たばこ
2 法第五十九条第五号に規定する防衛省令で定める物品は宗教上の行為に用いられる物品とし、同条に規定する当該物品に係る防衛省令で定める品目は法第四十条の規定による宗教上の行為に必要な書籍又は祭祀用品とする。
3 防衛大臣は、前二項に規定する品目について、捕虜収容所長が法第五十九条の規定により使用又は摂取を許すべき範囲を、当該品目の内訳として定めることができる。この場合において、防衛大臣は、法第二十四条及び第五十八条第三項の規定を踏まえなければならない。
(自弁の申請)
第二十四条 法第五十九条の規定により自弁の物品を使用し、又は摂取することを申請する場合は、防衛大臣の定めるところにより、物品及び数量を記載した書面を捕虜収容所長に提出して行うものとする。
(日課の基準)
第二十五条 法第六十一条に規定する防衛省令で定める基準は、次に定めるところによる。
一 被収容者に適用される日課は、部隊等(自衛隊法第八条に規定する部隊等をいう。)に勤務する自衛官の例により定めること。
二 業務に従事する時間は、一週間当たり四十時間を超えてはならず、これを一日につき八時間を超えない範囲で休養日以外の日に割り振ること。ただし、宗教要員等(法第四十二条に規定する宗教要員等をいう。第四十九条第一項第三号において同じ。)に適用される日課については、この限りでない。
三 休養日は、被収容者の属する国の休日等を考慮して、日曜日及び土曜日以外の日に設けることができること。
(活動への援助)
第二十六条 捕虜収容所長は、次に掲げる活動について捕虜代表その他の被収容者から共同して又は個別にこれを行いたい旨の申出があったときは、可能な限りこれを尊重して、活動に必要な物品の貸与、施設の使用の許可その他の当該活動を行うのに必要な措置を講ずるよう努めるものとする。ただし、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれのある場合には、この限りでない。
一 学習、研究、読書その他これに準ずる知的活動
二 授業、講習その他これに準ずる教育的活動
三 演芸、映画鑑賞、園芸その他これに準ずる娯楽的活動
四 運動競技、体操その他これに準ずる活動
五 宗教活動、集会(前各号に掲げる活動以外の活動であって捕虜収容所長が定める人数以上の被収容者が一定の目的のために会合することをいう。)その他これに準ずる活動
2 捕虜収容所長は、前項の規定によるほか、同項各号に掲げる活動(宗教活動を除く。)について自ら主催するなど、被収容者が当該活動に自発的に参加できる機会を付与するように努めなければならない。
(自己契約作業への援助)
第二十七条 捕虜収容所長は、被収容者(将校、准士官又は下士官として指定された者に限る。以下この条において同じ。)が業務への従事を希望する場合において、当該被収容者の希望する業務が法第六十四条各号に掲げる業務に適合せず、かつ、次に掲げる条件を満たす限りにおいて、法第六十二条第二項に規定する自己契約作業(以下この条において「自己契約作業」という。)を行うことを許すことができる。
一 被収容者の抑留資格及び階級等に照らし、適切な処遇に資する内容の作業であること。
二 請負契約の当事者となる捕虜収容所の外部の者が、自己契約作業の当事者としてふさわしいと認められるものであること。
三 個別具体の収容施設の状況に照らし、作業自体及び作業に必要な外部との交通により、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生じさせないものであること。
2 捕虜収容所長は、被収容者が前項の規定により許可された自己契約作業を行うのに必要な範囲において、自己契約作業の実施に必要な施設の指定及び差入品の検査又は信書の発受に係る検査その他外部との通信について他の法令の規定に抵触しない範囲で優先的な取扱い等の措置を講ずるものとする。
第六章 捕虜の業務
(従事業務の指定)
第二十八条 捕虜収容所長は、法第三章第八節の規定により業務を円滑かつ効果的に実施させるため、防衛大臣の定めるところにより、捕虜に従事することを許し又は従事させる業務の種類をあらかじめ指定するものとする。
(業務実施予定の作成)
第二十九条 捕虜収容所長は、業務を実施する際には、あらかじめ業務の内容、実施日時及びこれに要する捕虜の内訳に係る予定(次項において「業務実施予定」という。)を作成するものとする。
2 捕虜収容所長は、業務実施予定に基づき、防衛大臣の定めるところにより、業務に従事する捕虜を割り当てるものとする。
(業務の実施)
第三十条 捕虜収容所長は、前条第二項の割当てに従い捕虜に業務を行わせるものとする。
2 業務の実施の監督について必要な事項は、防衛大臣が定める。
(実施上の留意事項)
第三十一条 業務の実施に当たっては、その業務の種類及び内容に応じ、適切な休息時間が設けられなければならない。
(業務の記録)
第三十二条 捕虜収容所長は、捕虜が業務に従事したときは、防衛大臣の定めるところにより、その日時、業務の内容その他所要の事項を記録しておかなければならない。
第七章 捕虜等抑留給付金
(給付金台帳の様式等)
第三十三条 法第七十三条第二項に規定する給付金台帳は、別記様式第一号による。
2 捕虜収容所長は、法第七十四条第二項の規定により捕虜等抑留給付金を給付金計算高に加算したときは当該加算した金額(第三十八条第一項において「加算額」という。)を、法第七十五条第一項又は第二項の規定により捕虜等抑留給付金を支給したときは当該支給した額(第三十八条第一項において「支給額」という。)を、それぞれその都度給付金台帳に記載するものとする。
(基礎的給付金の額)
第三十四条 法第七十四条第一項第一号に規定する防衛省令で定める月額は、第三条約第六十条に規定する俸給の前払の額を邦貨に換算した額を標準とし、給付対象捕虜等(法第七十三条第一項に規定する給付対象捕虜等をいう。以下同じ。)の地位、武力攻撃事態又は存立危機事態に際しての国民生活の実情等を勘案して、防衛大臣が定めるものとする。
(業務従事報奨金の基準額)
第三十五条 法第七十四条第一項第二号の規定により防衛大臣が基準を定めるに当たっては、業務の種類及び内容ごとに業務に従事した日一日当たりの金額(次条において「基準額」という。)を定めるものとする。
(業務従事報奨金の金額等)
第三十六条 毎月の業務従事報奨金の金額は、その月の前月において捕虜が従事した業務ごとに、当該業務に係る基準額に当該業務に従事した日数を乗じて得た額の合計額とする。
(捕虜等抑留給付金の支給の申出)
第三十七条 給付対象捕虜等は、法第七十五条第一項又は第二項に規定する捕虜等抑留給付金の支給を受けようとするときは、防衛大臣の定めるところにより、氏名、支給希望金額、目的、理由等を記載した申出書を捕虜収容所長に提出するものとする。
(給付金台帳の確認等)
第三十八条 捕虜収容所長は、給付金台帳に加算額又は支給額を記載したときは、給付対象捕虜等に記載内容を確認させるとともに、当該給付金台帳の署名欄に署名を行わせるものとする。
2 給付対象捕虜等が前項の確認又は署名を行うことが困難な場合は、当該給付対象捕虜等の利益を代表する捕虜代表が確認及び署名を行うことができる。
(給付金台帳の写しの交付)
第三十九条 捕虜収容所長は、給付金台帳の写しを作成し、これを給付対象捕虜等に交付するものとする。ただし、傷病その他の当該写しを給付対象捕虜等に交付できない特段の事情があるときは、前条第二項に規定する捕虜代表にこれを交付することができる。
(給付金台帳の閲覧)
第四十条 法第七十八条の規定により捕虜代表又は利益保護国代表が給付金台帳の閲覧を求めるときは、自己の氏名を明らかにしてあらかじめ書面又は口頭で捕虜収容所長に申し出るものとする。
2 捕虜収容所長は、前項の求めがあったときは、捕虜収容所の管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。
第八章 面会
(面会時間、場所等の指定)
第四十一条 捕虜収容所長は、法第八十条第一項の許可をするときは、面会の申出をした者の希望する日時に面会させるものとする。ただし、捕虜収容所の管理運営上著しい支障があると認められるときは、その理由を明らかにして、他の日時を指定することができる。
2 法第八十条第一項の面会は、捕虜収容所長が面会用に指定した捕虜収容所内の区画において行うものとする。ただし、面会の相手方の用務の処理の目的を妨げると認められるときは、捕虜収容所長は居住区画その他の捕虜収容所内の他の区画を指定することができる。
3 捕虜収容所長は、法第八十条第一項各号に掲げる者が同項の規定による面会をする場合に、携行する物品をその用務の処理の目的に必要な範囲に制限することができる。
4 第一項及び第二項の指定又は前項の制限は、あらかじめ申し出た者に対して書面その他の適当な手段により通知するものとする。ただし、面会の当日に申出があった場合には、この限りでない。
第九章 信書及び電信等の発受
(通知票の発信)
第四十二条 捕虜収容所長は、被収容者が次の各号のいずれかに該当するときは、別記様式第二号その一の通知票一通及び別記様式第二号その二の通知票一通の発信を許さなければならない。
一 法第十五条第五項(法第十七条第五項において準用する場合を含む。)又は第十九条第三項の規定により収容されたとき。
二 収容施設の変更その他の本人にあてた信書のあて先となるべき場所が変更されたとき。
三 第十三条第二項又は第三項の規定による診療を受けるに至ったとき。
(信書の様式)
第四十三条 法第八十四条第二項に規定する手紙に相当するものとして防衛省令で定めるものは、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める様式のものとする。
一 国外にあてて発するもの 別記様式第三号その一
二 国内にあてて発するもの 別記様式第三号その二
2 法第八十四条第二項に規定する葉書に相当するものとして防衛省令で定めるものは、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める様式のものとする。
一 国外にあてて発するもの 別記様式第四号その一
二 国内にあてて発するもの 別記様式第四号その二
(一般の信書の作成要領)
第四十四条 捕虜収容所長は、第四十二条の規定によるもののほか、被収容者が作成する信書(法第八十四条第一項ただし書に規定するものを除く。以下この条及び次条において同じ。)を前条に規定する様式に制限するものとする。ただし、法律文書の発信その他信書の発信の目的に照らして、当該様式により難い事情があると認めるときは、この限りでない。
(信書の発信通数)
第四十五条 捕虜収容所長は、前条の規定により発信される信書について、捕虜収容所においてすべての被収容者が発受する信書の通数及びその内容等を踏まえ、抑留資格に応じて被収容者が月ごとに発信を許される通数の上限を定めることができる。
2 前項の規定にかかわらず、第十二条の規定により指定された衛生要員が発する信書であって、第三条約の規定による先任軍医の権限に属する事項を含むものについては、抑留業務の円滑な実施に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、その通数の制限をすることができない。
第四十六条 捕虜収容所長は、法第八十四条第三項又は前条第二項の規定による通数の制限をするときは、その理由及び制限する期間を明らかにしなければならない。
(検査の基準)
第四十七条 捕虜収容所長は、武力攻撃事態又は存立危機事態に際して防衛大臣が定める基準に照らして、法第八十六条第一項第二号に該当するか否かを判断するものとする。
(信書の差止め)
第四十八条 法第八十六条第一項の規定による信書の発信又は受信の差止めは、同項の規定により削除され、又は抹消された該当箇所以外の内容によって当該信書が信書として意思を伝達できないと認められる場合に限り、行うものとする。
(電信の発信等)
第四十九条 法第八十七条第一項に規定する防衛省令で定める場合(電信を発することを許可する場合に限る。)は、次のとおりとする。
一 被収容者が信書によってはその配偶者又は三親等以内の親族と連絡を取ることができない場合
二 被収容者が緊急にその配偶者又は三親等以内の親族と連絡を取る必要があると認められる場合(前号に規定する場合を除く。)
三 第十二条の規定により指定された衛生要員及び宗教要員等がその用務として発信する場合であって、信書によって連絡を取ることができない場合又は緊急に連絡を取る必要があると認められる場合
四 前三号以外の場合であって信書によっては連絡を取ることができない場合又は緊急に連絡を取る必要があると認められる場合のうち、捕虜収容所長が電信を発することを必要と認める場合
2 法第八十七条第二項に規定する電信の作成要領は、電気通信事業者(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。)が指定する表記方法によるものとする。
(電信の検査)
第五十条 前条第一項の規定により緊急に連絡を取る必要があると認められる場合に発信することを許可する電信について法第八十七条第三項において準用する法第八十五条第一項に規定する検査を行うときは、緊急に連絡を取る必要があると認められることにかんがみ、速やかにこれを行わなければならない。
(電信以外の通信)
第五十一条 法第八十七条第一項に規定する防衛省令で定める電気通信役務を利用して行う通信及び当該通信に係る同項に規定する防衛省令に定める場合並びに当該通信に係る同条第二項に規定する防衛省令の定めは、武力攻撃事態又は存立危機事態の際に別に定める。
(電信等の発信回数制限)
第五十二条 捕虜収容所長は、法第八十七条第一項の規定により発信される電信等について、捕虜収容所においてすべての被収容者が発信する通信の回数及び信書の通数並びにそれらの内容等を踏まえ、抑留資格に応じて被収容者が月ごとに許可される発信の回数の上限を定めることができる。
2 前項の規定にかかわらず、第十二条の規定により指定された衛生要員が発信する電信等であって、第三条約の規定による先任軍医の権限に属する事項を含むものについては、抑留業務の円滑な実施に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、その回数を制限することができない。
(電信等の差止め)
第五十三条 第四十八条の規定は、法第八十七条第三項において準用する法第八十六条第一項の電信等の発信又は受信の差止めについて準用する。
(信書等の発受に係る記録)
第五十四条 捕虜収容所長は、被収容者の信書及び電信等の発受について、防衛大臣の定めるところにより、これを記録しておかなければならない。
第十章 苦情
(捕虜収容所長に対する苦情の申出の方法)
第五十五条 法第九十条の規定により書面で苦情の申出をするときは、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 申出をする被収容者(以下「苦情申出人」という。)の氏名及び被収容者番号
二 苦情の申出をしようとする事実の概要
三 苦情の申出をしようとする事実のあった年月日
四 苦情の趣旨及び理由
五 提出年月日
2 前項の書面には、苦情申出人が署名しなければならない。
第五十六条 法第九十条の規定により口頭で苦情の申出をするときは、捕虜収容所長又はそのあらかじめ指定する職員に対し、前条第一項各号に掲げる事項を陳述しなければならない。
2 前項の申出があったときは、同項の陳述を聴取した捕虜収容所長又は捕虜収容所の職員は、当該陳述の内容を録取した書面を作成した上、これを苦情申出人に読み聞かせて誤りのないことを確認し、当該苦情申出人に署名を求めなければならない。
(防衛大臣等に対する苦情申出の方法)
第五十七条 法第九十一条の規定により書面で苦情の申出をするときは、第五十五条第一項各号に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、苦情を申し出ようとする事実について既に捕虜収容所長に対し苦情の申出をしたときは、その旨を併せて記載するものとする。
2 前項の書面には、苦情申出人が署名の上、その表面に苦情である旨及びあて先を記載するものとする。
(苦情の申出の期間)
第五十八条 法第九十条又は第九十一条の規定による苦情の申出は、苦情申出人が、苦情の申出をしようとする事実のあったことを知った日の翌日から起算して六十日以内に行わなければならない。ただし、やむを得ない理由があるときは、この限りでない。
(調査担当者の指定)
第五十九条 捕虜収容所長は、法第九十条の規定による苦情の申出があったときは、対象となる事案の調査に公正な立場で参加することができると認められる職員を速やかに指定し、必要な調査を行わせるものとする。
(事案の調査)
第六十条 前条の規定により事案の調査を行う職員は、苦情の申出がされてから六十日を超えない範囲内でできる限り速やかに、事案について必要な調査をしなければならない。
(捕虜収容所長による苦情の処理)
第六十一条 捕虜収容所長は、前条の規定による調査を行わせたのち、申出のあった苦情に関し自ら措置をとる権限を有する場合は、次の各号に掲げるいずれかの措置をとるものとする。
一 申出に理由があると認められるときは、苦情申出人に対する自らの措置その他当該苦情申出人が受けた処遇を是正するために必要な措置を講ずること。
二 申出に理由がないと認められるときは、これを棄却すること。
2 捕虜収容所長は、申出のあった苦情に関し自ら措置をとる権限を有しない場合は、調査の結果及び自己の意見並びに第五十五条第一項又は第五十六条第二項に規定する書面の写しを添えて、直ちにその権限を有する者に通知しなければならない。
3 前項の通知を受けた者は、調査の結果及び捕虜収容所長の意見を踏まえ、第一項各号に掲げるいずれかの措置をとり、その措置の結果を捕虜収容所長に通知するものとする。
4 前項の場合において、調査の結果又は捕虜収容所長の意見に従うことができないときは、その理由を付して通知しなければならない。
(処理結果の通知)
第六十二条 捕虜収容所長は、前条第一項の規定により自らとった措置又は同条第三項の規定により捕虜収容所長から通知を受けた者がとった措置の内容及びその理由を、直ちに苦情申出人に書面で通知するものとする。
(防衛大臣等に対する苦情の処理)
第六十三条 第五十九条から前条までの規定は、第五十七条の規定により防衛大臣又は防衛大臣の定める幕僚長に対して申出がされた苦情の調査及び処理について準用する。この場合において、第五十九条、第六十一条及び第六十二条中「捕虜収容所長」とあるのは「防衛大臣又は防衛大臣の定める幕僚長」と、第五十九条中「法第九十条」とあるのは「法第九十一条」と、第六十一条第二項中「第五十五条第一項又は第五十六条第二項に規定する書面」とあるのは「第五十七条に規定する書面」と読み替えるものとする。
(不利益な取扱いの禁止)
第六十四条 苦情の申出をしたことを理由として、苦情申出人に対し不利益な取扱いをしてはならない。
第十一章 捕虜収容所における領置
(領置手続)
第六十五条 法第百五十四条第二項において準用する法第百五十三条第二項の規定により発給する受領証及び法第百五十四条第三項の規定により作成する受領証の控えの様式は、別記様式第五号(甲・乙)のとおりとする。
2 捕虜収容所長は、次に掲げる場合において、前項に規定する受領証及びその控えに必要な事項を記載し、当該被収容者に確認させた上、受領証の控えに署名させなければならない。
一 法第百五十四条第一項の規定により金品(法第百五十三条第二項ただし書に規定する領置武器等(第四項及び第七十四条第二項第一号において「領置武器等」という。)を除く。以下この項及び第七十六条において同じ。)を領置した場合
二 法第百五十七条の規定により領置している金品を被収容者に返還した場合
三 第七十三条第二項又は第七十五条第二項の規定により領置している金品の領置を解いた場合
3 被収容者本人が前項の確認又は署名を行うことが困難な場合は、当該被収容者の利益を代表する捕虜代表に確認させ、署名させることができる。この場合において、当該捕虜代表はその旨を付記するものとする。
4 捕虜収容所長は、領置武器等を法第百五十四条第一項の規定により領置し、又は同条第五項の規定により廃棄したときは、防衛大臣の定めるところにより、これを記録しなければならない。
(受領証の控えの閲覧)
第六十六条 法第百五十四条第四項の規定により、被収容者又は利益保護国代表が受領証の控えの閲覧を求めるときは、自らの氏名(被収容者にあっては、氏名及び被収容者番号)を明らかにして、あらかじめ書面又は口頭で捕虜収容所長に申し出るものとする。
2 捕虜収容所長は、前項の求めがあったときは、捕虜収容所の管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。
(物品の売却又は廃棄)
第六十七条 捕虜収容所長は、被収容者がその収容の際に所持する物品(以下この条において「所持物品」という。)が法第百五十四条第一項各号のいずれかに該当する物品又は同条第七項の規定により領置しない物品であるときは、当該被収容者に被収容者以外の者への交付その他相当の処分をするよう求めるものとする。
2 捕虜収容所長は、被収容者が前項の処分をしない場合において、法第百五十四条第六項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定により所持物品を売却又は廃棄するときは、あらかじめその旨を当該被収容者に通知するとともに、防衛大臣の定めるところにより、これを記録しなければならない。
3 捕虜収容所長は、所持物品を売却又は廃棄するときは、前項の記録をした後に行わなければならない。
(差入物の検査の立会い)
第六十八条 法第百五十五条第一項に規定する検査を行うときは、差入物の名あて人たる被収容者又は当該名あて人が正当に委任した被収容者に立会いを求めるものとし、これらの者が立会いをしないときは捕虜代表に立会いを求めるものとする。
(差入物の検査)
第六十九条 法第百五十五条第一項の検査は、差入物の種類に応じ、被収容者への差入物の交付の可否を判断するため、これに必要な最小限度の範囲で、かつ、可能な限り差入品の形状及び性質を失わない態様で行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、差入物である書籍その他の書面の検査は、第九章に規定する被収容者が受ける信書の検査の例による。
(交付を許さない場合の通知)
第七十条 捕虜収容所長は、検査の結果、差入物が法第百五十五条第二項ただし書各号のいずれかに該当すると判断したときは、当該被収容者にその旨を通知しなければならない。
(交付を拒む場合の処置)
第七十一条 捕虜収容所長は、検査の結果被収容者に交付を許すことのできる金品について、当該被収容者がその交付を拒む場合には、その旨を記載した書面の提出を求めるものとする。
(差入物の記録)
第七十二条 捕虜収容所長は、差入物について次に掲げる場合には、防衛大臣の定めるところにより、これを記録しなければならない。
一 法第百五十五条第一項の規定により検査を行った場合
二 法第百五十五条第三項の規定により引き取らせた場合
三 法第百五十五条第四項の規定により廃棄した場合
四 法第百五十五条第五項において準用する刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百九十九条第三項の規定により差入金が国庫に帰属した場合
(領置金の使用)
第七十三条 被収容者は、領置されている現金の使用を申し出るときは、防衛大臣の定めるところにより、氏名、被収容者番号、使用希望金額、目的及び理由その他所要の事項を記載した書面を捕虜収容所長に提出して行うものとする。
2 前項の場合において、使用の目的が法第百五十六条に規定する目的以外であるときは、捕虜収容所長は、その使用が捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がないと認めたときに限り、領置を解いてその使用を許すものとする。
(領置金品の管理)
第七十四条 捕虜収容所長は、領置した物品を倉庫又はこれに代わる場所に納めて保管しなければならない。
2 捕虜収容所長は、次に掲げる金品については、その金品の性質に応じ、金庫その他堅ろうな容器に納める等適切な管理を行わなければならない。
一 領置武器等
二 領置金、貴金属その他特に貴重と認められるもの
3 捕虜収容所長は、危険を生ずるおそれのある物品については、当該物品の性質に応じ適切にこれを取り扱わなければならない。
(領置物品の一時使用)
第七十五条 被収容者は、領置されている物品を一時使用することを求めるときは、防衛大臣の定めるところにより、氏名、被収容者番号、物品の品目、員数及び使用目的等を記載した書面を捕虜収容所長に提出して行うものとする。
2 捕虜収容所長は、前項の求めがあった場合において、その使用が捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がないと認めたときに限り、その使用目的の範囲内で当該物品の領置を解いてその使用を許すものとする。この場合において、捕虜収容所長は、使用を許可する場所、時間、方法その他の一時使用を認める条件を明示するものとする。
(領置金品の返還手続)
第七十六条 捕虜収容所長は、法第百五十七条の規定により領置している金品を返還するときは、受領証の提出を求め、当該金品を確認させた上、受領証の控えに署名させなければならない。
第十二章 捕虜等情報の取扱い
(被収容者記録簿)
第七十七条 捕虜収容所長は、防衛大臣の定めるところにより、次に掲げる事項を記載した被収容者記録簿を被収容者ごとに作成し、所要の事項を記録しておかなければならない。
一 氏名、生年月日、階級等及び身分証明書番号等
二 拘束の日時及び場所
三 抑留資格
四 収容施設
五 被収容者の健康状態
六 送還、逃走及び死亡に関する事項
七 その他防衛大臣が定める事項
2 被収容者は、自己に関する記載事項を確認するため、前項の被収容者記録簿を閲覧することができる。
3 被収容者が前項の閲覧を希望するときは、氏名及び被収容者番号を明らかにして、書面又は口頭であらかじめその旨を申し出るものとする。
4 捕虜収容所長は、前項の申出があったときは、捕虜収容所の管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。
第十三章 死亡時の措置
(被収容者の死亡時の措置)
第七十八条 捕虜収容所長は、被収容者が死亡したときは、医師である隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。)の検案を求める等適切な措置を講ずるとともに、死亡の年月日、場所、死因、埋葬場所(埋葬した場合に限る。)その他必要な事項について、防衛大臣の定めるところにより、防衛大臣に報告しなければならない。
第七十九条 捕虜収容所長は、死亡した被収容者の遺体をその属する国へ返還するまでの間保管するものとする。ただし、遺体を保管できない事情があるときは、遺体を墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)の規定に従って埋葬又は火葬等の措置をとることができる。
2 捕虜収容所長は、前項の規定により火葬したときは、火葬を必要とした理由を併せて記録するとともに、その遺骨を、当該死亡した被収容者の属する国へ返還するまでの間保管するものとする。
第十四章 補則
(雑則)
第八十条 この省令の実施に関し必要な事項は、防衛大臣が定める。
附 則
この府令は、法の施行の日(平成十七年二月二十八日)から施行する。
附 則 (平成一九年一月四日内閣府令第二号)
この府令は、防衛庁設置法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百十八号)の施行の日(平成十九年一月九日)から施行する。
附 則 (平成二二年一〇月二二日防衛省令第一四号)
この省令は、平成二十二年十月二十五日から施行する。
附 則 (平成二八年三月二五日防衛省令第七号)
この省令は、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律の施行の日(平成二十八年三月二十九日)から施行する。
別記様式第一号(第三十三条関係)
別記様式第二号その一(第四十二条関係)
別記様式第二号その二(第四十二条関係)
別記様式第三号その一(第四十三条関係)
別記様式第三号その二(第四十三条関係)
別記様式第四号その一(第四十三条関係)
別記様式第四号その二(第四十三条関係)
別記様式第五号甲(第六十五条関係)
別記様式第五号乙(第六十五条関係)