産業競争力強化法に基づく募集新株予約権の機動的な発行に関する省令

令和六年法務省・経済産業省令第二号
産業競争力強化法に基づく募集新株予約権の機動的な発行に関する省令
産業競争力強化法(平成二十五年法律第九十八号)第二十一条の十九第一項及び第二項の規定に基づき、産業競争力強化法に基づく募集新株予約権の機動的な発行に関する省令を次のように定める。
(経済産業大臣及び法務大臣の確認に係る要件)
第一条 産業競争力強化法(以下「法」という。)第二十一条の十九第一項の経済産業省令・法務省令で定める要件は、株式会社(同項に規定する株式会社をいう。以下同じ。)について次のいずれにも該当するものであることとする。
 当該株式会社について、次のいずれかに該当すること。
 当該株式会社の株主と当該株式会社との間又は当該株式会社の株主の間に、次に掲げる事項のいずれかに関する書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三号において同じ。)による合意(以下このイにおいて「上場等合意」という。)があること(上場等合意をしている株主の有する当該株式会社の議決権の合計が、当該株式会社の総株主の議決権の三分の二以上である場合に限る。)。
(1) 当該株式会社の発行する株式が金融商品取引所(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項に規定する金融商品取引所をいい、これに類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。)に上場されること。
(2) 当該株式会社が、次に掲げるいずれかとなること又は事業の全部若しくは一部の譲渡を行うこと。
(i) 吸収合併消滅株式会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百四十九条第一項第二号に規定する吸収合併消滅株式会社をいう。)
(ii) 新設合併消滅株式会社(会社法第七百五十三条第一項第六号に規定する新設合併消滅株式会社をいう。)
(iii) 吸収分割株式会社(会社法第七百五十八条第二号に規定する吸収分割株式会社をいう。)
(iv) 新設分割株式会社(会社法第七百六十三条第一項第五号に規定する新設分割株式会社をいう。)
(v) 株式交換完全子会社(会社法第七百六十八条第一項第一号に規定する株式交換完全子会社をいう。)
(vi) 株式移転完全子会社(会社法第七百七十三条第一項第五号に規定する株式移転完全子会社をいう。)
(vii) 株式交付子会社(会社法第七百七十四の三第一項第一号に規定する株式交付子会社をいう。)
(3) 当該株式会社以外の者が、当該株式会社の株式を取得することにより、当該株式会社の総株主の議決権の過半数を有することとなること。
 当該株式会社の発行する株式又は新株予約権(会社法第二条第二十一号に規定する新株予約権をいう。)が、投資事業有限責任組合契約(投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約をいう。)において営むことを約する事業において保有されていること。
 会社法第百八条第一項第二号又は第六号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を現に発行していること。
 法第二十一条の十九第一項の規定により読み替えて適用する会社法(以下「読替え後の会社法」という。)第二百三十九条第一項の決議による委任に基づき、取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)が募集新株予約権(会社法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権をいう。以下この号及び次号において同じ。)の募集事項(同項に規定する募集事項をいう。)を定めた場合において、その募集新株予約権を割り当てようとするときは、次に掲げる者のいずれかに割り当てることとしていること。
 当該株式会社又はその子会社(会社法第二条第三号に規定する子会社をいう。ロにおいて同じ。)の会社役員(会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)第二条第三項第四号に規定する会社役員をいう。)
 当該株式会社又はその子会社の使用人
 当該株式会社に対して役務を提供する者(イ及びロに掲げる者を除く。)
 当該株式会社の株主と当該株式会社との間又は当該株式会社の株主の間に、当該株式会社が募集新株予約権を発行する条件その他の当該株式会社が募集新株予約権を発行する場合の取扱いに関する書面又は電磁的記録による合意(以下この号において「新株予約権合意」という。)があること(新株予約権合意をしている株主の有する当該株式会社の議決権の合計が、当該株式会社の総株主の議決権の三分の二以上である場合に限る。)。
 読替え後の会社法第二百三十九条第一項の決議による委任を行おうとするときは、同項に規定する株主総会において、取締役がその旨を説明することとしていること。
(経済産業大臣及び法務大臣の確認に係る申請)
第二条 法第二十一条の十九第一項に規定する経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けようとする株式会社(以下この条において「申請者」という。)は、様式第一による申請書を経済産業大臣及び法務大臣に提出して申請しなければならない。
 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 申請者の登記事項証明書又はその写し
 前条第一号及び第三号に該当することを証する書類
 経済産業大臣及び法務大臣は、第一項の申請書及び前項の書類のほか、前条に規定する要件に該当することを確認するために必要と認める書類の提出を求めることができる。
 第一項の申請書並びに第二項及び前項の書類(以下この条において「申請書等」という。)を法務大臣に提出する場合には、経済産業大臣を経由して提出するものとする。この場合において、当該申請書等は、経済産業大臣が受理した日において法務大臣に提出されたものとみなす。
 申請者は、申請書等の提出(前項の規定により経済産業大臣を経由してするものを含む。)に代えて、当該申請書等に記載されている事項及び記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により提供することができる。この場合において、当該申請者は、当該申請書等を提出したものとみなす。
 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。
 経済産業大臣及び法務大臣は、第一項の規定による申請を受けた場合において、速やかに前条の規定に照らしてその内容を審査し、法第二十一条の十九第一項に規定する経済産業大臣及び法務大臣の確認をするときは、当該申請を受けた日から原則として一月以内に、様式第二による確認書を申請者に交付するものとする。
 経済産業大臣及び法務大臣は、前項の確認をしないときは、その旨及びその理由を記載した様式第三による通知書を申請者に交付するものとする。
 法務大臣は、第七項の確認書又は前項の通知書を申請者に交付する場合には、経済産業大臣を経由して交付することができる。
10 経済産業大臣及び法務大臣は、第七項の確認書又は第八項の通知書の交付(前項の規定により経済産業大臣を経由してするものを含む。)に代えて、あらかじめ、申請者からの書面又は電磁的方法による承諾を得て、当該確認書又は当該通知書に記載されている事項及び記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、経済産業大臣及び法務大臣は、当該確認書又は当該通知書を交付したものとみなす。
(株主総会の決議があった旨の通知の相手方)
第三条 法第二十一条の十九第二項に規定する経済産業省令・法務省令で定める者は、次に掲げる者とする。
 株主となろうとする者
 新株予約権者となろうとする者
(株主総会の決議があった旨の通知の時期)
第四条 法第二十一条の十九第二項の規定による通知は、読替え後の会社法第二百三十九条第一項の決議をした株式会社が前条各号に掲げる者を知った後速やかにしなければならない。
(株主総会の決議があった旨の通知に準ずる措置)
第五条 法第二十一条の十九第二項に規定する経済産業省令・法務省令で定める措置は、読替え後の会社法第二百三十九条第一項の決議があった旨の情報を、第二条第五項第二号に掲げる方法のうち、インターネットに接続された自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。)を使用する方法により、不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置とする。
附 則
この省令は、令和六年九月二日から施行する。
様式第一(第2条第1項関係)
様式第二(第2条第7項関係)
様式第三(第2条第8項関係)