任意後見契約に関する法律¶
任意後見契約に関する法律(平成十一年十二月八日法律第百五十号)
最終改正:平成二三年五月二五日法律第五三号
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
一
任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。
二
本人 任意後見契約の委任者をいう。
三
任意後見受任者 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前における任意後見契約の受任者をいう。
四
任意後見人 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後における任意後見契約の受任者をいう。
第四条
任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一
本人が未成年者であるとき。
二
本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人である場合において、当該本人に係る後見、保佐又は補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認めるとき。
2
前項の規定により任意後見監督人を選任する場合において、本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)を取り消さなければならない。
3
第一項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
4
任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、本人、その親族若しくは任意後見人の請求により、又は職権で、任意後見監督人を選任する。
5
任意後見監督人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者の請求により、又は職権で、更に任意後見監督人を選任することができる。
第七条
任意後見監督人の職務は、次のとおりとする。
一
任意後見人の事務を監督すること。
二
任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすること。
三
急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において、必要な処分をすること。
四
任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。
2
任意後見監督人は、いつでも、任意後見人に対し任意後見人の事務の報告を求め、又は任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況を調査することができる。
3
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、任意後見監督人に対し、任意後見人の事務に関する報告を求め、任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況の調査を命じ、その他任意後見監督人の職務について必要な処分を命ずることができる。
4
民法第六百四十四条
、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十九条の二、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、任意後見監督人について準用する。
2
第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後においては、本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができる。
2
前項の場合における後見開始の審判等の請求は、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人もすることができる。
3
第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは、任意後見契約は終了する。
附 則
この法律は、平成十二年四月一日から施行する。
附 則 (平成二三年五月二五日法律第五三号)
この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。