特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律¶
特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(平成十一年十二月十七日法律第百五十八号)
最終改正:平成二三年五月二五日法律第五三号
第一条
この法律は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法
(昭和二十六年法律第二百二十二号)の特例として特定調停の手続を定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とする。
第二条
この法律において「特定債務者」とは、金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう。
2
この法律において「特定債務等の調整」とは、特定債務者及びこれに対して金銭債権を有する者その他の利害関係人の間における金銭債務の内容の変更、担保関係の変更その他の金銭債務に係る利害関係の調整であって、当該特定債務者の経済的再生に資するためのものをいう。
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この法律において「特定調停」とは、特定債務者が民事調停法第二条
の規定により申し立てる特定債務等の調整に係る調停であって、当該調停の申立ての際に次条第一項の規定により特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述があったものをいう。
4
この法律において「関係権利者」とは、特定債務者に対して財産上の請求権を有する者及び特定債務者の財産の上に担保権を有する者をいう。
2
特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述は、調停の申立ての際にしなければならない。
3
前項の申述をする申立人は、申立てと同時に(やむを得ない理由がある場合にあっては、申立ての後遅滞なく)、財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料及び関係権利者の一覧表を提出しなければならない。
第四条
裁判所は、民事調停法第四条第一項
ただし書の規定にかかわらず、その管轄に属しない特定調停に係る事件について申立てを受けた場合において、事件を処理するために適当であると認めるときは、職権で、土地管轄の規定にかかわらず、事件を他の管轄裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。
第五条
削除
第七条
特定調停に係る事件の係属する裁判所は、事件を特定調停によって解決することが相当であると認める場合において、特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれがあるとき、又は特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときは、申立てにより、特定調停が終了するまでの間、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特定調停の目的となった権利に関する民事執行の手続の停止を命ずることができる。ただし、給料、賃金、賞与、退職手当及び退職年金並びにこれらの性質を有する給与に係る債権に基づく民事執行の手続については、この限りでない。
2
前項の裁判所は、同項の規定により民事執行の手続の停止を命じた場合において、必要があると認めるときは、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その続行を命ずることができる。
3
前二項の申立てをするには、その理由を疎明しなければならない。
4
第一項及び第二項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第九条
特定調停の結果について利害関係を有する関係権利者が特定調停手続に参加する場合には、民事調停法第十一条第一項
の規定にかかわらず、調停委員会の許可を受けることを要しない。
第十一条
特定調停においては、調停委員会は、民事調停法第十三条
に規定する場合のほか、申立人が特定債務者であるとは認められないとき、又は事件が性質上特定調停をするのに適当でないと認めるときは、特定調停をしないものとして、事件を終了させることができる。
第十三条
削除
2
調停委員会は、法人の申立てに係る事件について特定調停をしようとするときは、当該申立人の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、当該申立人の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは当該申立人の使用人その他の従業者の過半数を代表する者の意見を求めるものとする。
第十五条
調停委員会が特定調停に係る事件の当事者に対し調停条項案を提示する場合には、当該調停条項案は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。
第十六条
特定調停に係る事件の当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭してその調停条項案を受諾したときは、特定調停において当事者間に合意が成立したものとみなす。
2
前項の調停条項は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。
3
第一項の申立ては、書面でしなければならない。この場合においては、その書面に同項の調停条項に服する旨を記載しなければならない。
4
第一項の規定による調停条項の定めは、期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。
5
当事者は、前項の告知前に限り、第一項の申立てを取り下げることができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。
6
第四項の告知が当事者双方にされたときは、特定調停において当事者間に合意が成立したものとみなす。
第十八条
特定調停においては、調停委員会は、民事調停法第十四条
の規定にかかわらず、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、当事者間に公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容の合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものであるとは認められない場合において、裁判所が同法第十七条
の決定をしないときは、特定調停が成立しないものとして、事件を終了させることができる。
第二十条
第十七条第二項の規定は、特定調停に係る事件に関し裁判所がする民事調停法第十七条
の決定について準用する。
第二十一条
削除
第二十二条
特定調停については、この法律に定めるもののほか、民事調停法
の定めるところによる。
2
民事調停法第三十六条
の規定は、前項の過料の決定について準用する。
附 則 抄
(施行期日)
1
この法律は、公布の日から起算して二月を経過した日から施行する。
附 則 (平成一五年七月二五日法律第一二八号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、平成十六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
二
第三条(民事訴訟費用等に関する法律第四条第二項及び第七項の改正規定を除く。)及び第二章並びに附則第三条から第五条までの規定 平成十六年一月一日
附 則 (平成二三年五月二五日法律第五三号)
この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。