独立行政法人造幣局法

独立行政法人造幣局法
(平成十四年五月十日法律第四十号)


最終改正:平成二六年六月一三日法律第六七号


 第一章 総則(第一条―第六条)
 第二章 役員(第七条―第十条)
 第三章 業務等(第十一条―第十七条)
 第四章 雑則(第十八条―第二十一条)
 第五章 罰則(第二十二条)
 附則

   第一章 総則

第一条  この法律は、独立行政法人造幣局の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。

第二条  この法律及び独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項 に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人造幣局とする。

第三条  独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)は、貨幣の製造等を行うとともに、貨幣に対する国民の信頼を維持するために必要な情報の提供を行うこと等により、通貨制度の安定に寄与することを目的とする。
 造幣局は、前項に規定するもののほか、勲章、褒章、記章及び金属工芸品の製造等並びに貴金属の品位の証明等であって、公共上の見地から必要とされるものを行うことを目的とする。

第四条  造幣局は、通則法第二条第四項 に規定する行政執行法人とする。

第五条  造幣局は、主たる事務所を大阪府に置く。

第六条  造幣局の資本金は、附則第四条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、造幣局に追加して出資することができる。
 造幣局は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。

   第二章 役員

第七条  造幣局に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。
 造幣局に、役員として、理事三人以内を置くことができる。

第八条  理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して造幣局の業務を掌理する。
 通則法第十九条第二項 の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項 の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。

第九条  通則法第二十一条の三第一項 の個別法で定める期間は、二年とする。
 理事の任期は、二年とする。

第十条  通則法第二十二条 の規定にかかわらず、教育公務員で政令で定めるものは、非常勤の理事又は監事となることができる。
 造幣局の非常勤の理事及び監事の解任に関する通則法第二十三条第一項 の規定の適用については、同項 中「前条」とあるのは、「前条及び独立行政法人造幣局法第十条第一項」とする。

   第三章 業務等

第十一条  造幣局は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。
 貨幣の製造、販売及び鋳つぶしを行うこと。
 貨幣回収準備資金に関する法律 (平成十四年法律第四十二号)第二条 の規定により設置された貨幣回収準備資金に属する地金の保管を行うこと。
 貨幣に対する国民の信頼を維持するために必要な情報の提供を行うこと。
 勲章、褒章、賜杯、記章及び極印の製造を行うこと。
 公共上の見地から必要な金属工芸品の製造及び販売を行うこと。
 貴金属の精製及び品位の証明並びに地金及び鉱物の分析を行うこと。
 前各号の業務に関し、調査、試験、研究又は開発を行うこと。
 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
 造幣局は、前項の業務のほか、同項の業務の遂行に支障のない範囲内で、次の業務を行うことができる。
 外国政府、外国の地方公共団体、外国の中央銀行、国際機関その他これらに準ずるもの(以下この号において「外国政府等」という。)の委託を受けて、当該外国政府等の貨幣の製造、販売及び鋳つぶし、勲章その他の金属工芸品及び極印の製造並びに貴金属の精製及び品位の証明並びに地金及び鉱物の分析を行うこと。
 前号の業務に関し、調査、試験、研究又は開発を行うこと。

第十二条  造幣局は、前条第一項第一号の業務(貨幣の製造に限る。以下同じ。)については、財務大臣の定める製造計画に従って行わなければならない。

第十三条  造幣局は、貨幣の偽造を防止するための製造の方法に関する技術(次条において「偽造防止技術」という。)に係る事項その他の第十一条第一項第一号及び第七号の業務(同号の業務にあっては、同項第一号の業務に係るものに限る。次条及び第十八条において同じ。)の実施に関する事項であって通貨制度の安定に重大な影響を与えるおそれがあるものとして財務省令で定めるものをその内容とする契約を締結しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

第十四条  造幣局は、第十一条第一項第一号及び第七号の業務を行うに当たっては、偽造防止技術に係る秘密について、その漏えいの防止その他の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

第十五条  造幣局は、毎事業年度、通則法第四十四条第一項 本文又は第二項 の規定による整理(以下この項において「整理」という。)を行った後、同条第一項 の規定による積立金(以下この条において「積立金」という。)がある場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める金額について財務省令で定める基準により計算した額を国庫に納付しなければならない。
 当該事業年度(以下この項及び次項において「対象事業年度」という。)の直前の事業年度(次号において「前事業年度」という。)に係る整理を行った後積立金がなかったとき 対象事業年度に係る整理を行った後の積立金の額に相当する金額
 前事業年度に係る整理を行った後積立金があった場合であって、対象事業年度に係る整理を行った後の積立金の額に相当する金額が前事業年度に係る整理を行った後の積立金の額(当該前事業年度において、この項の規定により国庫に納付した場合にあってはその納付した額を、次項の規定により財務大臣の承認を受けた金額がある場合にあってはその承認を受けた金額に相当する額を、それぞれ控除した残額)に相当する金額を超えるとき その超える額に相当する金額
 造幣局は、前項各号列記以外の部分に規定する場合において、積立金の額に相当する金額から同項の規定により国庫に納付しなければならない額に相当する金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額に相当する金額のうち財務大臣の承認を受けた金額を、対象事業年度の次の事業年度に係る通則法第三十五条の十第一項 の認可を受けた事業計画(同項 後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の事業年度における第十一条に規定する業務の財源に充てることができる。
 前二項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

第十六条  造幣局は、財務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は独立行政法人造幣局債券(以下この条及び次条において「債券」という。)を発行することができる。
 前項の規定による債券の債権者は、造幣局の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
 前項の先取特権の順位は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
 造幣局は、財務大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
 会社法 (平成十七年法律第八十六号)第七百五条第一項 及び第二項 並びに第七百九条 の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
 前各項に定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。

第十七条  造幣局は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てて、財務大臣の認可を受けなければならない。

   第四章 雑則

第十八条  財務大臣は、貨幣の偽造に対処するため必要があると認めるときその他貨幣の適切かつ確実な製造のため緊急の必要があると認めるときは、造幣局に対し、第十一条第一項第一号、第三号及び第七号の業務に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

第十九条  削除

第二十条  造幣局に係る通則法 における主務大臣及び主務省令は、それぞれ財務大臣及び財務省令とする。

国家公務員宿舎法 の適用除外)
第二十一条  国家公務員宿舎法 (昭和二十四年法律第百十七号)の規定は、造幣局の役員及び職員には適用しない。

   第五章 罰則

第二十二条  次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした造幣局の役員は、二十万円以下の過料に処する。
 この法律の規定により財務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
 第十一条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
 第十八条の規定による財務大臣の命令に違反したとき。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成十五年四月一日から施行する。ただし、第二十条及び附則第四条の規定、附則第十条の規定(退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計からする一般会計への繰入れに関する法律(昭和二十五年法律第六十二号。附則第十一条において「繰入法」という。)第一条の改正規定中「自動車損害賠償責任再保険特別会計」を「自動車損害賠償保障事業特別会計」に改める部分に限る。)並びに附則第二十二条の規定は、公布の日から施行する。

(職員の引継ぎ等)
第二条  造幣局の成立の際現に財務省造幣局の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、造幣局の成立の日において、造幣局の相当の職員となるものとする。

第三条  造幣局の成立の際現に財務省造幣局の職員である者のうち、造幣局の成立の日において引き続き造幣局の職員となったものであって、造幣局の成立の日の前日において財務大臣又はその委任を受けた者から児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による認定を受けているものが、造幣局の成立の日において児童手当又は同法附則第六条第一項、第七条第一項若しくは第八条第一項の給付(以下この条において「特例給付等」という。)の支給要件に該当するときは、その者に対する児童手当又は特例給付等の支給に関しては、造幣局の成立の日において同法第七条第一項の規定による市町村長(特別区の区長を含む。)の認定があったものとみなす。この場合において、その認定があったものとみなされた児童手当又は特例給付等の支給は、同法第八条第二項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、造幣局の成立の日の前日の属する月の翌月から始める。

(権利義務の承継等)
第四条  造幣局の成立の際現に国が有する権利及び義務のうち、財務省設置法(平成十一年法律第九十五号)第十条第一項に規定する財務省造幣局の事務に係るもので政令で定めるものは、造幣局の成立の時において造幣局が承継する。
 前項の規定により造幣局が国の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際、承継される権利に係る財産(政令で定める物品を除く。)の価額の合計額から承継される義務に係る負債の価額及び造幣局がその成立の日において有することとなる財務省令で定める引当金の額に相当する金額の合計額を控除した額に相当する金額は、政府から造幣局に対し出資されたものとする。
 前項に規定する財産の価額は、造幣局の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

(造幣局特別会計法の廃止)
第五条  造幣局特別会計法(昭和二十五年法律第六十三号)は、廃止する。

(造幣局特別会計法の廃止に伴う経過措置)
第六条  造幣局特別会計の平成十四年度以前の年度の決算に関しては、なお従前の例による。
 前条の規定による廃止前の造幣局特別会計法第十九条の二の規定による平成十四年度の一般会計の歳入への繰入れについては、なお従前の例による。この場合において、同条中「回収準備資金から」とあるのは「貨幣回収準備資金に関する法律(平成十四年法律第四十二号)第二条の規定により設置される貨幣回収準備資金から」と、「当該年度」とあるのは「平成十四年度」とする。
 この法律の施行の際造幣局特別会計に属する権利及び義務(附則第四条第一項の規定により造幣局に承継されるものを除く。)は、この法律の施行の時において、一般会計に帰属するものとする。
 この法律の施行の際造幣局特別会計の貨幣回収準備資金に属する現金(附則第四条第一項の規定により造幣局に承継される権利に係るものを除く。)及び地金(政府において引き換え、又は回収した貨幣を含む。)は、この法律の施行の時において、貨幣回収準備資金に関する法律第二条の規定により設置される貨幣回収準備資金に帰属するものとする。

(恩給負担金の取扱い)
第七条  この法律の施行前に給与事由が生じた恩給の支払に充てるべき金額で従前の造幣局特別会計が引き続き存続するものとした場合において造幣局特別会計において負担すべきこととなるものについては、造幣局が造幣局特別会計として存続するものとみなし、特別会計の恩給負担金を一般会計に繰り入れることに関する法律(昭和六年法律第八号)の規定を準用する。

   附 則 (平成一七年七月二六日法律第八七号) 抄

 この法律は、会社法の施行の日から施行する。
   附 則 (平成二六年六月一三日法律第六七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第六十六号。以下「通則法改正法」という。)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第十四条第二項、第十八条及び第三十条の規定 公布の日

(独立行政法人造幣局法の一部改正に伴う経過措置)
第十三条  施行日の前日を含む中期目標の期間(旧通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間をいう。次条第一項において同じ。)に係る積立金(旧通則法第四十四条第一項に規定する積立金をいう。次条第一項において同じ。)の処分については、第六十七条の規定による改正前の独立行政法人造幣局法第十五条第一項、第二項及び第五項の規定は、なおその効力を有する。この場合において、同条第二項中「中期目標の期間」とあるのは「事業年度」と、「通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画」とあるのは「独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第六十六号)による改正後の通則法第三十五条の十第一項の認可を受けた事業計画」とする。

(処分等の効力)
第二十八条  この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為であってこの法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において「新法令」という。)に相当の規定があるものは、法律(これに基づく政令を含む。)に別段の定めのあるものを除き、新法令の相当の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第二十九条  この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令等への委任)
第三十条  附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令(人事院の所掌する事項については、人事院規則)で定める。