農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法

農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法
(平成十四年五月二十九日法律第五十二号)


最終改正:平成二七年九月四日法律第六三号

(最終改正までの未施行法令)
平成二十七年九月四日法律第六十三号(未施行)
 

第一条  この法律は、農業法人に対する投資の円滑化を図るための特別の措置を講ずることにより、農業法人の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図り、もって農業の持続的な発展に寄与することを目的とする。

第二条  この法律において「農業法人」とは、農事組合法人、株式会社又は持分会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。)であって、農業を営むものをいう。
 この法律において「農業法人投資育成事業」とは、次に掲げる事業をいう。
 農業法人の持分、株式、新株予約権又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債及びこれに準ずる社債として農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)の取得及び保有
 前号の規定によりその持分、株式、新株予約権又は新株予約権付社債等を保有している農業法人に対して経営又は技術の指導を行う事業
 この法律において「投資事業有限責任組合」とは、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合をいう。

第三条  農業法人投資育成事業を営もうとする株式会社(農業法人投資育成事業を営む株式会社を設立しようとする者を含む。)又は農業法人投資育成事業を営もうとする投資事業有限責任組合は、農林水産省令で定めるところにより、当該農業法人投資育成事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を作成し、これを農林水産大臣に提出して、その事業計画が適当である旨の承認を受けることができる。
 事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 農業法人投資育成事業を営む株式会社又は投資事業有限責任組合に関する事項
 持分又は株式の取得の対象とする農業法人の選定の基準、持分又は株式の取得の際の評価の基準、持分又は株式の取得の限度、持分又は株式の保有期間及び持分又は株式の処分の方法
 新株予約権の取得の対象とする農業法人の選定の基準、新株予約権の内容に関する基準、新株予約権の取得の限度及び新株予約権の行使の時期
 新株予約権付社債等の取得の対象とする農業法人の選定の基準、新株予約権付社債等の取得の限度及び新株予約権付社債等の償還期限に関する基準並びに新株予約権付社債にあっては、当該社債に付された新株予約権の内容に関する基準及び新株予約権の行使の時期
 前条第二項第二号に掲げる事業に係る手数料
 農林水産大臣は、第一項の承認の申請があった場合において、その事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
 農業法人投資育成事業を営む株式会社又は投資事業有限責任組合が農業法人投資育成事業を適正かつ確実に営むことができると認められる者であること。
 その事業計画に係る農業法人投資育成事業が農業法人の自己資本の充実を図る上で有効かつ適切なものであること。
 その事業計画に係る農業法人投資育成事業が農業法人の健全な成長発展に資するものであること。
 その事業計画が当該農業法人投資育成事業を円滑かつ確実に遂行するために適切なものであること。

第四条  前条第一項の承認を受けた者(その者の設立に係る同項の株式会社を含む。)は、当該承認に係る事業計画を変更しようとするときは、農林水産大臣の承認を受けなければならない。
 前条第三項の規定は、前項の承認について準用する。

第五条  農林水産大臣は、第三条第一項の承認を受けた株式会社(同項の承認を受けた者の設立に係る同項の株式会社を含む。以下「承認会社」という。)又は同項の承認を受けた投資事業有限責任組合(以下「承認組合」という。)の無限責任組合員に対し、農業法人投資育成事業の実施状況について報告を求めることができる。

第六条  農林水産大臣は、承認会社又は承認組合が第三条第一項の承認に係る事業計画(第四条第一項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。以下「承認事業計画」という。)に従って農業法人投資育成事業を営んでいないと認めるときは、当該承認会社又は当該承認組合の無限責任組合員に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

第七条  農林水産大臣は、承認会社又は承認組合の無限責任組合員が前条の規定による命令に違反したときは、第三条第一項の承認を取り消すことができる。

第八条  株式会社日本政策金融公庫は、株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)第十一条に規定する業務のほか、農業法人に対する民間の投資を補完するため、承認会社又は承認組合が承認事業計画に従って農業法人投資育成事業を営むのに必要な資金の出資の業務を行うことができる。
 前項に規定する資金の出資は、当該出資に係る農業法人投資育成事業からの配当の支払を可能とする利益の発生が確実であると認められる場合に限り、農林水産大臣及び財務大臣の認可を受けて行うことができるものとする。
 第一項の規定により株式会社日本政策金融公庫が行う同項に規定する資金の出資についての株式会社日本政策金融公庫法第十一条第一項第六号、第十二条第一項、第三十一条第二項第一号ロ、第四十一条第二号、第五十八条、第五十九条第一項、第六十四条第一項第四号及び第七十三条第三号の規定の適用については、同法第十一条第一項第六号中「掲げる業務」とあるのは「掲げる業務及び農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法(以下「特別措置法」という。)第八条第一項に規定する業務」と、同法第十二条第一項中「掲げる業務」とあるのは「掲げる業務及び特別措置法第八条第一項に規定する業務」と、同法第三十一条第二項第一号ロ、第四十一条第二号及び第六十四条第一項第四号中「同項第五号」とあるのは「特別措置法第八条第一項に規定する業務並びに第十一条第一項第五号」と、同法第五十八条及び第五十九条第一項中「この法律」とあるのは「この法律、特別措置法」と、同法第七十三条第三号中「第十一条」とあるのは「第十一条及び特別措置法第八条第一項」とする。

第九条  承認会社が承認事業計画に従って農業法人投資育成事業を営む場合における当該承認会社についての農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第七十二条の十第一項の規定の適用については、同項中「次に掲げる者」とあるのは、「次に掲げる者及び当該農事組合法人に農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法第六条に規定する承認事業計画に従つて同法第二条第二項に規定する農業法人投資育成事業に係る投資を行つた同法第五条に規定する承認会社」とする。

第十条  承認会社であって、地方公共団体、農業協同組合、農業協同組合連合会、農林中央金庫又は株式会社日本政策金融公庫がその総株主の議決権の過半数を有しているものが、承認事業計画に従って農業法人投資育成事業を営む場合における当該承認会社についての農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第三項第二号の規定の適用については、同号中「次に掲げる者」とあるのは、「次に掲げる者又はその法人に承認事業計画(農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法(平成十四年法律第五十二号)第六条に規定する承認事業計画をいう。)に従つて農業法人投資育成事業(同法第二条第二項に規定する農業法人投資育成事業をいう。)に係る投資を行つた承認会社(同法第五条に規定する承認会社をいう。)」とする。
 承認会社(前項に規定するものを除く。)又は承認組合が承認事業計画に従って農業法人投資育成事業を営む場合におけるこれらの者についての農地法第二条第三項第二号の規定の適用については、同号中「次に掲げる者」とあるのは「次に掲げる者又はその法人に承認事業計画(農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法(平成十四年法律第五十二号)第六条に規定する承認事業計画をいう。)に従つて農業法人投資育成事業(同法第二条第二項に規定する農業法人投資育成事業をいう。)に係る投資を行つた承認会社(同法第五条に規定する承認会社をいう。以下この号において同じ。)若しくは承認組合(同条に規定する承認組合をいう。以下この号において同じ。)」と、「株式会社にあつては」とあるのは「株式会社にあつては、チに掲げる者並びに承認会社及び承認組合の有する議決権の合計が総株主の議決権の二分の一未満であり、かつ」と、「として政令で定める者があるときは、チに掲げる者」とあるのは「として政令で定める者があるときは、チに掲げる者並びに承認会社及び承認組合」と、「持分会社にあつては」とあるのは「持分会社にあつては、チに掲げる者及び承認会社の数が社員の総数の二分の一未満であり、かつ」と、「当該政令で定める者があるときは、チに掲げる者」とあるのは「当該政令で定める者があるときは、チに掲げる者及び承認会社」とする。

第十一条  第五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成一七年七月二六日法律第八七号) 抄

 この法律は、会社法の施行の日から施行する。
   附 則 (平成一九年五月二五日法律第五八号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成二十年十月一日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第八条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第九条  附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(調整規定)
第十条  この法律及び株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)、株式会社日本政策投資銀行法(平成十九年法律第八十五号)又は地方公営企業等金融機構法(平成十九年法律第六十四号)に同一の法律の規定についての改正規定がある場合において、当該改正規定が同一の日に施行されるときは、当該法律の規定は、株式会社商工組合中央金庫法、株式会社日本政策投資銀行法又は地方公営企業等金融機構法によってまず改正され、次いでこの法律によって改正されるものとする。

   附 則 (平成二一年六月二四日法律第五七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第四十三条の規定 公布の日

(政令への委任)
第四十三条  この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成二三年五月二日法律第三九号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第五条第一項及び第四十七条並びに附則第二十二条から第五十一条までの規定は、平成二十四年四月一日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第五十一条  附則第一条ただし書に規定する規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(会社の業務の在り方の検討)
第五十二条  政府は、会社の成立後、この法律の施行の状況を勘案しつつ、会社が一般の金融機関が行う金融を補完するものであることを旨とする観点から、会社の業務の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて業務の廃止その他の所要の措置を講ずるものとする。

   附 則 (平成二五年一二月一三日法律第一〇二号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第十一条の規定 公布の日
 第三条及び附則第七条の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

(農業法人投資育成事業に関する経過措置)
第七条  附則第一条第二号に掲げる規定の施行前に第三条の規定による改正前の農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法(以下この条において「旧投資円滑化法」という。)第三条第一項の規定により承認を受けた事業計画(旧投資円滑化法第四条第一項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの)又は同号に掲げる規定の施行の際現に旧投資円滑化法第三条第一項若しくは第四条第一項の規定によりされている承認の申請は、それぞれ第三条の規定による改正後の農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法第三条第一項の規定により承認を受けた事業計画又は同項若しくは同法第四条第一項の規定によりされている承認の申請とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第十条  施行日前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第十一条  附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)
第十二条  政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、これらの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

   附 則 (平成二七年九月四日法律第六三号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第二十八条、第二十九条第一項及び第三項、第三十条から第四十条まで、第四十七条(都道府県農業会議及び全国農業会議所の役員に係る部分に限る。)、第五十条、第百九条並びに第百十五条の規定 公布の日(以下「公布日」という。)

(罰則に関する経過措置)
第百十四条  この法律の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第百十五条  この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。