入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律

入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律
(平成十四年七月三十一日法律第百一号)


最終改正:平成二六年六月一三日法律第六七号

第一条  この法律は、公正取引委員会による各省各庁の長等に対する入札談合等関与行為を排除するために必要な改善措置の要求、入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償の請求、当該職員に係る懲戒事由の調査、関係行政機関の連携協力等入札談合等関与行為を排除し、及び防止するための措置について定めるとともに、職員による入札等の公正を害すべき行為についての罰則を定めるものとする。

第二条  この法律において「各省各庁の長」とは、財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項 に規定する各省各庁の長をいう。
 この法律において「特定法人」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
 国又は地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人
 特別の法律により設立された法人のうち、国又は地方公共団体が法律により、常時、発行済株式の総数又は総株主の議決権の三分の一以上に当たる株式の保有を義務付けられている株式会社(前号に掲げるもの及び政令で定めるものを除く。)
 この法律において「各省各庁の長等」とは、各省各庁の長、地方公共団体の長及び特定法人の代表者をいう。
 この法律において「入札談合等」とは、国、地方公共団体又は特定法人(以下「国等」という。)が入札、競り売りその他競争により相手方を選定する方法(以下「入札等」という。)により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、当該入札に参加しようとする事業者が他の事業者と共同して落札すべき者若しくは落札すべき価格を決定し、又は事業者団体が当該入札に参加しようとする事業者に当該行為を行わせること等により、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 (昭和二十二年法律第五十四号)第三条 又は第八条第一号 の規定に違反する行為をいう。
 この法律において「入札談合等関与行為」とは、国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(以下「職員」という。)が入札談合等に関与する行為であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
 事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること。
 契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。
 入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が入札談合等を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを、特定の者に対して教示し、又は示唆すること。
 特定の入札談合等に関し、事業者、事業者団体その他の者の明示若しくは黙示の依頼を受け、又はこれらの者に自ら働きかけ、かつ、当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、又はその他の方法により、入札談合等を幇助すること。

第三条  公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為を排除するために必要な入札及び契約に関する事務に係る改善措置(以下単に「改善措置」という。)を講ずべきことを求めることができる。
 公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があったと認めるときは、当該入札談合等関与行為が既になくなっている場合においても、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要な改善措置を講ずべきことを求めることができる。
 公正取引委員会は、前二項の規定による求めをする場合には、当該求めの内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない。
 各省各庁の長等は、第一項又は第二項の規定による求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該入札談合等関与行為があり、又は当該入札談合等関与行為があったことが明らかとなったときは、当該調査の結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除し、又は当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要と認める改善措置を講じなければならない。
 各省各庁の長等は、前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
 各省各庁の長等は、第四項の調査の結果及び同項の規定により講じた改善措置の内容を公表するとともに、公正取引委員会に通知しなければならない。
 公正取引委員会は、前項の通知を受けた場合において、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、意見を述べることができる。

第四条  各省各庁の長等は、前条第一項又は第二項の規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無について必要な調査を行わなければならない。
 各省各庁の長等は、前項の調査の結果、国等に損害が生じたと認めるときは、当該入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならない。
 各省各庁の長等は、前二項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
 各省各庁の長等は、第一項及び第二項の調査の結果を公表しなければならない。
 各省各庁の長等は、第二項の調査の結果、当該入札談合等関与行為を行った職員が故意又は重大な過失により国等に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない。
 入札談合等関与行為を行った職員が予算執行職員等の責任に関する法律 (昭和二十五年法律第百七十二号)第三条第二項同法第九条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により弁償の責めに任ずべき場合については、各省各庁の長又は公庫の長(同条第一項 に規定する公庫の長をいう。)は、第二項、第三項(第二項の調査に係る部分に限る。)、第四項(第二項の調査の結果の公表に係る部分に限る。)及び前項の規定にかかわらず、速やかに、同法 に定めるところにより、必要な措置をとらなければならない。この場合においては、同法第四条第四項同法第九条第二項 において準用する場合を含む。)中「遅滞なく」とあるのは、「速やかに、当該予算執行職員の入札談合等関与行為(入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成十四年法律第百一号)第二条第五項に規定する入札談合等関与行為をいう。)に係る同法第四条第一項の調査の結果を添えて」とする。
 入札談合等関与行為を行った職員が地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十三条の二第一項地方公営企業法 (昭和二十七年法律第二百九十二号)第三十四条 において準用する場合を含む。)の規定により賠償の責めに任ずべき場合については、第二項、第三項(第二項の調査に係る部分に限る。)、第四項(第二項の調査の結果の公表に係る部分に限る。)及び第五項の規定は適用せず、地方自治法第二百四十三条の二第三項 中「決定することを求め」とあるのは、「決定することを速やかに求め」と読み替えて、同条地方公営企業法第三十四条 において準用する場合を含む。)の規定を適用する。

第五条  各省各庁の長等は、第三条第一項又は第二項の規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分(特定法人(行政執行法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第四項 に規定する行政執行法人をいう。以下この項において同じ。)及び特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第二項 に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下この項において同じ。)を除く。)にあっては、免職、停職、減給又は戒告の処分その他の制裁)をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。ただし、当該求めを受けた各省各庁の長、地方公共団体の長、行政執行法人の長又は特定地方独立行政法人の理事長が、当該職員の任命権を有しない場合(当該職員の任命権を委任した場合を含む。)は、当該職員の任命権を有する者(当該職員の任命権の委任を受けた者を含む。以下「任命権者」という。)に対し、第三条第一項又は第二項の規定による求めがあった旨を通知すれば足りる。
 前項ただし書の規定による通知を受けた任命権者は、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。
 各省各庁の長等又は任命権者は、第一項本文又は前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
 各省各庁の長等又は任命権者は、それぞれ第一項本文又は第二項の調査の結果を公表しなければならない。

第六条  各省各庁の長等又は任命権者は、その指定する職員(以下この条において「指定職員」という。)に、第三条第四項、第四条第一項若しくは第二項又は前条第一項本文若しくは第二項の規定による調査(以下この条において「調査」という。)を実施させなければならない。この場合において、各省各庁の長等又は任命権者は、当該調査を適正に実施するに足りる能力、経験等を有する職員を指定する等当該調査の実効を確保するために必要な措置を講じなければならない。
 指定職員は、調査に当たっては、公正かつ中立に実施しなければならない。
 指定職員が調査を実施する場合においては、当該各省各庁(財政法第二十一条 に規定する各省各庁をいう。以下同じ。)、地方公共団体又は特定法人の職員は、当該調査に協力しなければならない。

第七条  国の関係行政機関は、入札談合等関与行為の防止に関し、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

第八条  職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。

第九条  この法律の運用に当たっては、入札及び契約に関する事務を適正に実施するための地方公共団体等の自主的な努力に十分配慮しなければならない。

第十条  各省各庁の長は、この法律に規定する事務を、当該各省各庁の外局(法律で国務大臣をもってその長に充てることとされているものに限る。)の長に委任することができる。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
   附 則 (平成一五年七月一六日法律第一一九号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)の施行の日から施行する。

(その他の経過措置の政令への委任)
第六条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成一八年一二月一五日法律第一一〇号)

この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
   附 則 (平成一九年五月二五日法律第五八号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成二十年十月一日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第八条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第九条  附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(調整規定)
第十条  この法律及び株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)、株式会社日本政策投資銀行法(平成十九年法律第八十五号)又は地方公営企業等金融機構法(平成十九年法律第六十四号)に同一の法律の規定についての改正規定がある場合において、当該改正規定が同一の日に施行されるときは、当該法律の規定は、株式会社商工組合中央金庫法、株式会社日本政策投資銀行法又は地方公営企業等金融機構法によってまず改正され、次いでこの法律によって改正されるものとする。

   附 則 (平成二一年六月一〇日法律第五一号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、第八条の改正規定、第八条の二第一項及び第二項の改正規定、第八条の三の改正規定(「第八条第一項第一号」を「第八条第一号」に改める部分に限る。)、第二十四条、第二十五条第一項及び第二十六条第一項の改正規定、第四十三条の次に一条を加える改正規定、第五十九条第二項の改正規定(「第八条第一項第一号」を「第八条第一号」に改める部分に限る。)、第六十六条第四項の改正規定(「第八条第一項」を「第八条」に改める部分に限る。)、第七十条の十三第一項の改正規定(「第八条第一項」を「第八条」に改める部分に限る。)、第七十条の十五に後段を加える改正規定、同条に一項を加える改正規定、第八十四条第一項の改正規定、第八十九条第一項第二号の改正規定、第九十条の改正規定、第九十一条の二の改正規定(同条第一号を削る部分に限る。)、第九十三条の改正規定並びに第九十五条の改正規定(同条第一項第三号中「(第三号を除く。)」を削る部分、同条第二項第三号中「、第九十一条第四号若しくは第五号(第四号に係る部分に限る。)、第九十一条の二第一号」を削る部分(第九十一条の二第一号に係る部分を除く。)及び第九十五条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同条第二項の次に二項を加える部分を除く。)並びに附則第九条、第十四条、第十六条から第十九条まで及び第二十条第一項の規定、附則第二十一条中農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第七十二条の八の二及び第七十三条の二十四の改正規定並びに附則第二十三条及び第二十四条の規定は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。

   附 則 (平成二六年六月一三日法律第六七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第六十六号。以下「通則法改正法」という。)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第十四条第二項、第十八条及び第三十条の規定 公布の日

(処分等の効力)
第二十八条  この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為であってこの法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において「新法令」という。)に相当の規定があるものは、法律(これに基づく政令を含む。)に別段の定めのあるものを除き、新法令の相当の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第二十九条  この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令等への委任)
第三十条  附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令(人事院の所掌する事項については、人事院規則)で定める。