信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 抄

信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 抄
(平成十八年十二月十五日法律第百九号)


最終改正:平成一八年六月一四日法律第六六号

第一条  略

第二条  契約によってされた信託で信託法(平成十八年法律第百八号。以下「新信託法」という。)の施行の日(以下「施行日」という。)前にその効力が生じたものについては、信託財産に属する財産についての対抗要件に関する事項を除き、なお従前の例による。遺言によってされた信託で施行日前に当該遺言がされたものについても、同様とする。

第三条  前条の規定によりなお従前の例によることとされる信託については、信託行為の定めにより、又は委託者、受託者及び受益者(第一条の規定による改正前の信託法(以下「旧信託法」という。)第八条第一項に規定する信託管理人が現に存する場合にあっては、当該信託管理人)の書面若しくは電磁的記録(新信託法第三条第三号に規定する電磁的記録をいう。)による合意によって適用される法律を新法(新信託法及びこの法律の規定による改正後の法律をいう。以下同じ。)とする旨の信託の変更をして、これを新法の規定の適用を受ける信託(以下「新法信託」という。)とすることができる。
 委託者が現に存しない場合における前項の規定の適用については、同項中「委託者、受託者及び受益者」とあるのは、「受託者及び受益者」とする。
 受益者が現に存しない場合(旧信託法第八条第一項に規定する信託管理人が現に存する場合を除く。)における第一項の規定の適用については、同項中「委託者、受託者及び受益者(第一条の規定による改正前の信託法(以下「旧信託法」という。)第八条第一項に規定する信託管理人が現に存する場合にあっては、当該信託管理人)」とあるのは、「委託者及び受託者」とする。
 委託者及び受益者が現に存しない場合(旧信託法第八条第一項に規定する信託管理人が現に存する場合を除く。)には、第一項の規定は、適用しない。

第四条  新法信託においては、新法の規定は、この法律に別段の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、旧法(この法律の規定による改正前の法律をいう。次条第一項において同じ。)の規定によって生じた効力を妨げない。
 第二条、第三十条第一項又は第五十六条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる信託(以下この条、次条及び第六条第一項において「旧法信託」という。)が新法信託となった場合には、前項本文の規定にかかわらず、新法信託となる前にされた信託の詐害行為取消権(民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十四条の規定による取消権をいう。)による取消し及びその否認については、なお従前の例による。
 旧法信託が新法信託となった場合には、第一項本文の規定にかかわらず、受託者の債務であって新法信託となる前の原因によって生じたもののうち信託財産に属する財産をもって履行する責任を負うものの範囲については、なお従前の例による。
 旧法信託が新法信託となった場合には、第一項本文の規定にかかわらず、新法信託となる前に受託者に対する債務の負担の原因が生じた場合及び新法信託となる前に受託者に対して債務を負担する者につき受託者に対する債権の取得の原因が生じた場合における相殺の制限については、なお従前の例による。

第五条  旧法信託が新法信託となった場合には、施行日前にした旧法の規定による処分、手続その他の行為及びこの法律の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした旧法の規定による処分、手続その他の行為は、この法律に別段の定めがある場合を除き、新法の相当規定によってしたものとみなす。
 旧法信託が新法信託となった場合には、当該信託が新法信託となった日前に旧信託法第三十一条本文の規定により生じた取消権の消滅については、なお従前の例による。
 旧法信託が新法信託となった場合には、旧信託法第八条第一項の規定により選任された信託管理人は、新信託法の相当規定により、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものに選任されたものとみなす。
 受益者が現に存しない場合 信託管理人
 受益者が現に存する場合 受益者代理人
 旧法信託が新法信託となった場合には、新法信託となった際現に旧信託法第四十八条の規定により選任された信託財産の管理人がある場合には、当該信託財産の管理人は、遅滞なく、新信託法第六十三条第一項に規定する信託財産管理命令の申立てをしなければならない。
 前項に規定する信託財産の管理人は、新信託法第六十四条第一項の規定により信託財産管理者が選任されるまで引き続きその職務を行うものとする。

第六条  旧法信託のうち、旧信託法第六十六条に規定する公益信託については、第三条の規定にかかわらず、主務官庁は、信託の本旨に反しない限り、適用される法律を新法とする旨の信託の変更を命じて、これを新法信託とすることができる。
 前項の規定により新法信託とされた公益信託における前条(第三項第二号を除く。)の規定の適用については、同条第四項中「当該信託財産の管理人」とあるのは「当該主務官庁」と、「新信託法第六十三条第一項に規定する信託財産管理命令の申立てをしなければ」とあるのは「公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第八条及び新信託法第六十四条第一項の規定により信託財産管理者を選任しなければ」とする。

第七条  略

第八条  この法律の規定によりなお従前の例によることとされる信託に関する非訟事件の手続については、なお従前の例による。

第九条  略

第十条  略

第十一条  この法律の施行の際現に前条の規定による改正前の担保付社債信託法(以下この条において「旧担保付社債信託法」という。)第五条第一項の規定により免許を受けた会社は、前条の規定による改正後の担保付社債信託法(以下この条において「新担保付社債信託法」という。)第六条に規定する資本金の額若しくは出資の総額又は新担保付社債信託法第七条に規定する出資の払込金額に満たない場合であっても、施行日から六月間(当該期間内に新担保付社債信託法第十二条の規定によりその免許を取り消されたときは、当該取消しの日までの間)は、これらの規定にかかわらず、引き続き担保付社債に関する信託事業を営むことができる。
 施行日前に旧担保付社債信託法第二条第一項に規定する信託契約によってした信託については、担保付社債信託法第一条に規定する信託会社は、社債権者集会の決議によって適用される法律を新法とする旨の信託の変更をして、これを新法信託とすることができる。
 旧担保付社債信託法第三十一条、第三十二条及び第三十四条の規定は、前項の規定により同項の信託を新法信託としようとする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
 施行日前にした旧担保付社債信託法の規定による処分、手続その他の行為は、この法律に別段の定めがある場合を除き、新担保付社債信託法の相当規定によってしたものとみなす。

第十二条  略

第十三条  略

第十四条  略

第十五条  前条の規定による改正後の金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第八条及び第十一条の規定は、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条に規定する金融機関(以下この条において単に「金融機関」という。)が施行日以後にする行為について適用し、金融機関が施行日前にした行為については、なお従前の例による。2 金融機関が前条の規定による改正前の金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(以下この項において「旧兼営法」という。)第五条ノ三第一項に規定する定型的信託契約に係る約款に基づく信託契約によって引受けをした信託については、金融機関は、第三条の規定にかかわらず、旧兼営法第五条ノ三の規定の例により,適用される法律を新法とする旨の当該約款の変更をして、これを新法信託とすることができる。

第十六条  略

第十七条  略

第十八条  略

第十九条  略

第二十条  第二条の規定によりなお従前の例によることとされる信託の旧信託法第八条第一項に規定する信託管理人は、施行日以後は、受益者代理人とみなして、金融商品取引法第七十九条の五十九第一項及び第三項並びに第七十九条の六十一の規定を適用する。

第二十一条  略

第二十二条  略

第二十三条  略

第二十四条  略

第二十五条  略

第二十六条  第二条の規定によりなお従前の例によることとされる施行日前に締結された投資信託契約に基づく投資信託については、前条の規定による改正前の投資信託及び投資法人に関する法律(以下この条において「旧投信法」という。)第三十条及び第三十条の二(これらの規定を旧投信法第四十九条の十一第一項において準用する場合を含む。)の規定の例により、適用される法律を新法とする旨の投資信託約款の変更をして、これを新法信託とすることができる。
 前項又は第三条の規定により新法信託とされた投資信託においては、新法信託とされる前に旧投信法第三十条第一項(旧投信法第四十九条の十一第一項において準用する場合を含む。)の規定による投資信託約款の変更の手続が開始された場合におけるその投資信託約款の変更の手続(旧投信法第三十条の二(旧投信法第四十九条の十一第一項において準用する場合を含む。)の規定による受益証券の買取請求の手続を含む。)については、なお従前の例による。

第二十七条  略

第二十八条  略

第二十九条  略

第三十条  施行日前に前条の規定による改正前の貸付信託法(次項において「旧貸付信託法」という。)第四条の承認を受けた信託約款に基づく信託契約によってした貸付信託については、第二条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 前項の規定によりなお従前の例によることとされる貸付信託については、第三条の規定にかかわらず、旧貸付信託法第五条及び第六条の規定の例により、適用される法律を新法とする旨の信託約款の変更をして、これを新法信託とすることができる。
 前項の規定により新法信託とされた貸付信託の受益証券については、前条の規定による改正後の貸付信託法(以下この条において「新貸付信託法」という。)第八条第四項及び第五項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 新貸付信託法第八条第四項及び第五項の規定は、施行日以後に新貸付信託法第四条の承認を受けた信託約款に基づき施行日から起算して二年を経過した日以後に締結する信託契約の受益証券について適用し、当該信託契約に基づき同日前に締結する信託契約の受益証券については、なお従前の例による。
 施行日以後に新貸付信託法第四条の承認を受けた信託約款に基づく信託契約によってした貸付信託における新貸付信託法第六条第一項及び第七条第一項の公告の方法は、施行日から一年間は、新貸付信託法第十五条の規定にかかわらず、なお従前の例によることができる。

第三十一条  略

第三十二条  略

第三十三条  略

第三十四条  略

第三十五条  略

第三十六条  略

第三十七条  略

第三十八条  略

第三十九条  略

第四十条  略

第四十一条  略

第四十二条  略

第四十三条  略

第四十四条  略

第四十五条  略

第四十六条  略

第四十七条  略

第四十八条  略

第四十九条  略

第五十条  略

第五十一条  略

第五十二条  この法律の規定によりなお従前の例によることとされる信託に関する訴訟手続の中断及び受継については、なお従前の例による。

第五十三条  略

第五十四条  略

第五十五条  略

第五十六条  施行日前に前条の規定による改正前の資産の流動化に関する法律(以下この条において「旧資産流動化法」という。)第二百二十五条第一項の規定による届出がされた特定目的信託契約に基づく特定目的信託については、第二条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 前項の規定によりなお従前の例によることとされる特定目的信託については、その受託信託会社等は、旧資産流動化法第二百六十九条から第二百七十二条までの規定の例により、適用される法律を新法とする旨の特定目的信託契約の変更をして、これを新法信託とすることができる。
 前項又は第三条の規定により新法信託とされた特定目的信託においては、新法信託とされる前に受託信託会社等が旧資産流動化法第二百七十一条第四項において準用する会社法(平成十七年法律第八十六号)第百十六条第三項の規定による通知又は同条第四項の公告をした場合における当該通知又は公告がされた特定目的信託契約の変更に係る受益権の買取りの手続については、なお従前の例による。

第五十七条  略

第五十八条  略

第五十九条  略

第六十条  略

第六十一条  略

第六十二条  略

第六十三条  略

第六十四条  略

第六十五条  略

第六十六条  略

第六十七条  略

第六十八条  略

第六十九条  信託財産について破産手続開始の決定があった場合における施行日前にされた行為の否認については、前条の規定による改正後の破産法(以下この条において「新破産法」という。)第二百四十四条の十第一項の規定により読み替えて適用する新破産法第六章第二節の規定は、適用しない。
 信託財産について破産手続開始の決定があった場合においては、施行日前に破産債権者につき受託者に対する債務(信託財産に属する債権に係る債務に限る。以下この項において同じ。)の負担の原因が生じたときにおける破産債権者による相殺の禁止及び施行日前に受託者に対して債務を負担する者につき破産債権の取得の原因が生じたときにおける当該者による相殺の禁止については、新破産法第七十一条及び第七十二条の規定は、適用しない。

第七十条  略

第七十一条  略

第七十二条  施行日前にされた登記の申請に係る登記に関する手続については、なお従前の例による。

第七十三条  略

第七十四条  施行日前にされた申請に係る免許及び登録の手続及び要件については、前条の規定による改正後の信託業法第四条第三項、第五条第二項及び第八条第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 施行日前に申立て又は裁判があった前条の規定による改正前の信託業法第四十九条の規定による非訟事件の手続については、新法信託においても、なお従前の例による。

第七十五条  略

第七十六条  略

第七十七条  略

第七十八条  略

第七十九条  略

第八十条  施行日前にした行為及びこの法律の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第八十一条  この法律に定めるもののほか、この法律の規定による法律の改正に伴い必要な経過措置(第三条、第六条第一項、第十一条第二項、第十五条第二項、第二十六条第一項、第三十条第二項及び第五十六条第二項の規定による新法信託への信託の変更に関し必要な経過措置を含む。)は、政令で定める。

   附 則 抄

 この法律は、新信託法の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第三条、第六条第一項、第十一条第二項及び第三項、第十五条第二項、第二十六条第一項、第三十条第二項並びに第五十六条第二項の規定 公布の日から起算して一年三月を超えない範囲内において政令で定める日

   附 則 (平成一八年六月一四日法律第六六号) 抄

 この法律は、平成十八年証券取引法改正法の施行の日から施行する。