救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法¶
救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成十九年六月二十七日法律第百三号)
最終改正:平成二三年八月三〇日法律第一〇五号
第一条
この法律は、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療が傷病者の救命、後遺症の軽減等に果たす役割の重要性にかんがみ、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別の措置を講ずることにより、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与し、もって国民の健康の保持及び安心して暮らすことのできる社会の実現に資することを目的とする。
第二条
この法律において「救急医療用ヘリコプター」とは、次の各号のいずれにも該当するヘリコプターをいう。
一
救急医療に必要な機器を装備し、及び医薬品を搭載していること。
二
救急医療に係る高度の医療を提供している病院の施設として、その敷地内その他の当該病院の医師が直ちに搭乗することのできる場所に配備されていること。
第三条
救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する施策は、医師が救急医療用ヘリコプターに搭乗して速やかに傷病者の現在する場所に行き、当該救急医療用ヘリコプターに装備した機器又は搭載した医薬品を用いて当該傷病者に対し当該場所又は当該救急医療用ヘリコプターの機内において必要な治療を行いつつ、当該傷病者を速やかに医療機関その他の場所に搬送することのできる態勢を、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備することを目標とするものとする。
2
前項の施策は、地域の実情に応じ次に掲げる事項に留意して行われるものとする。
一
傷病者の医療機関その他の場所への搬送に関し、必要に応じて消防機関、海上保安庁その他の関係機関との連携及び協力が適切に図られること。
二
へき地における救急医療の確保に寄与すること。
三
都道府県の区域を超えた連携及び協力の体制が整備されること。
第四条
厚生労働大臣は、医療法
(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の三第一項
に規定する基本方針(次条第一項において「基本方針」という。)に、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する事項を定めるものとする。
第五条
都道府県は、医療法第三十条の四第一項
の規定に基づき、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、同項
に規定する医療計画を定め、又は同法第三十条の六
の規定に基づきこれを変更する場合において、当該医療計画に救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保について定めるときは、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療を提供する病院(以下単に「病院」という。)に関する事項を定めるものとする。
2
前項に規定する事項のほか、医療計画に救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保について定めるときは、次に掲げる事項について定めるよう努めるものとする。
一
都道府県において達成すべき救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に係る目標に関する事項
二
次条に規定する関係者の連携に関する事項
3
都道府県は、第一項の場合において、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療が、隣接し又は近接する都道府県にまたがって確保される必要があると認めるときは、あらかじめ、当該都道府県と連絡調整を行うものとする。
第六条
都道府県は、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供が行われる地域ごとに、病院の医師、消防機関、都道府県及び市町村の職員、診療に関する学識経験者その他の関係者による次に掲げる基準の作成等のための協議の場を設ける等、関係者の連携に関し必要な措置を講ずるものとする。
一
当該救急医療用ヘリコプターの出動のための病院に対する傷病者の状態等の連絡に関する基準
二
当該救急医療用ヘリコプターの出動に係る消防機関等と病院との連絡体制に関する基準
第七条
国、都道府県、市町村、道路管理者(道路管理者に代わってその権限を行う者を含む。)その他の者は、救急医療用ヘリコプターの着陸の場所の確保に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるよう努めるものとする。
2
国は、予算の範囲内において、都道府県に対し、政令で定めるところにより、都道府県が前項の規定により補助する費用の一部を補助することができる。
第九条
病院の開設者に対し救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供に要する費用に充てるための助成金を交付する事業であって厚生労働省令で定めるもの(以下「助成金交付事業」という。)を行う営利を目的としない法人は、厚生労働大臣の登録を受けることができる。
2
次の各号のいずれかに該当する法人は、前項の登録を受けることができない。
一
第十二条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない法人
二
第十二条の規定による登録の取消しの日前三十日以内にその取消しに係る法人の業務を行う役員であった者でその取消しの日から二年を経過しないものがその業務を行う役員となっている法人
3
厚生労働大臣は、第一項の登録の申請をした法人が次の各号のいずれにも適合しているときは、その登録をしなければならない。
一
助成金交付事業に関する基金であって厚生労働省令で定める基準に適合するものを設け、助成金交付事業に要する費用に充てることを条件として政府及び都道府県以外の者から出えんされた金額の合計額をもってこれに充てるものであること。
二
助成金交付事業を全国的に適正かつ確実に行うに足りるものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
第十二条
厚生労働大臣は、第九条第一項の登録を受けた法人が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すことができる。
一
不正の手段により第九条第一項の登録を受けたとき。
二
第九条第三項各号に掲げる要件に適合しなくなったとき。
三
第十条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
四
この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。
附 則
(施行期日)
1
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第九条から第十四条までの規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(健康保険等の適用に係る検討)
2
政府は、この法律の施行後三年を目途として、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供の効果、救急医療の提供に要する費用の負担の在り方等を勘案し、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供に要する費用のうち診療に要するものについて、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)その他の医療に関する給付について定める法令の規定に基づく支払について検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附 則 (平成二三年八月三〇日法律第一〇五号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第八十一条
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第八十二条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。