宇宙基本法¶
宇宙基本法(平成二十年五月二十八日法律第四十三号)
最終改正:平成二七年九月一一日法律第六六号
(最終改正までの未施行法令) | |
平成二十七年九月十一日法律第六十六号 | (未施行) |
第一章 総則(第一条―第十二条)
第二章 基本的施策(第十三条―第二十三条)
第三章 宇宙基本計画(第二十四条)
第四章 宇宙開発戦略本部(第二十五条―第三十四条)
第五章 宇宙活動に関する法制の整備(第三十五条)
附則
第一条
この法律は、科学技術の進展その他の内外の諸情勢の変化に伴い、宇宙の開発及び利用(以下「宇宙開発利用」という。)の重要性が増大していることにかんがみ、日本国憲法
の平和主義の理念を踏まえ、環境との調和に配慮しつつ、我が国において宇宙開発利用の果たす役割を拡大するため、宇宙開発利用に関し、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項を定め、国の責務等を明らかにし、並びに宇宙基本計画の作成について定めるとともに、宇宙開発戦略本部を設置すること等により、宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与するとともに、世界の平和及び人類の福祉の向上に貢献することを目的とする。
第二条
宇宙開発利用は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約等の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法
の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする。
第三条
宇宙開発利用は、国民生活の向上、安全で安心して暮らせる社会の形成、災害、貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威の除去、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資するよう行われなければならない。
第四条
宇宙開発利用は、宇宙開発利用の積極的かつ計画的な推進、宇宙開発利用に関する研究開発の成果の円滑な企業化等により、我が国の宇宙産業その他の産業の技術力及び国際競争力の強化をもたらし、もって我が国産業の振興に資するよう行われなければならない。
第五条
宇宙開発利用は、宇宙に係る知識の集積が人類にとっての知的資産であることにかんがみ、先端的な宇宙開発利用の推進及び宇宙科学の振興等により、人類の宇宙への夢の実現及び人類社会の発展に資するよう行われなければならない。
第六条
宇宙開発利用は、宇宙開発利用に関する国際協力、宇宙開発利用に関する外交等を積極的に推進することにより、我が国の国際社会における役割を積極的に果たすとともに、国際社会における我が国の利益の増進に資するよう行われなければならない。
第十条
国は、国、地方公共団体、大学、民間事業者等が相互に連携を図りながら協力することにより、宇宙開発利用の効果的な推進が図られることにかんがみ、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。
第十三条
国は、国民生活の向上、安全で安心して暮らせる社会の形成並びに災害、貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威の除去に資するため、人工衛星を利用した安定的な情報通信ネットワーク、観測に関する情報システム、測位に関する情報システム等の整備の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。
第十五条
国は、人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用を自立的に行う能力を我が国が有することの重要性にかんがみ、これらに必要な機器(部品を含む。)、技術等の研究開発の推進及び設備、施設等の整備、我が国が宇宙開発利用に関し使用できる周波数の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。
第十六条
国は、宇宙開発利用において民間が果たす役割の重要性にかんがみ、民間における宇宙開発利用に関する事業活動(研究開発を含む。)を促進し、我が国の宇宙産業その他の産業の技術力及び国際競争力の強化を図るため、自ら宇宙開発利用に係る事業を行うに際しては、民間事業者の能力を活用し、物品及び役務の調達を計画的に行うよう配慮するとともに、打上げ射場(ロケットの打上げを行う施設をいう。)、試験研究設備その他の設備及び施設等の整備、宇宙開発利用に関する研究開発の成果の民間事業者への移転の促進、民間における宇宙開発利用に関する研究開発の成果の企業化の促進、宇宙開発利用に関する事業への民間事業者による投資を容易にするための税制上及び金融上の措置その他の必要な施策を講ずるものとする。
第十九条
国は、宇宙開発利用の分野において、我が国の国際社会における役割を積極的に果たすとともに、国際社会における我が国の利益を増進するため、宇宙開発利用に関し、研究開発のための国際的な連携、国際的な技術協力その他の国際協力を推進するとともに、我が国の宇宙開発利用に対する諸外国の理解を深めるために必要な施策を講ずるものとする。
2
国は、宇宙の環境を保全するための国際的な連携を確保するように努めるものとする。
第二十四条
宇宙開発戦略本部は、宇宙開発利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、宇宙開発利用に関する基本的な計画(以下「宇宙基本計画」という。)を作成しなければならない。
2
宇宙基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一
宇宙開発利用の推進に関する基本的な方針
二
宇宙開発利用に関し政府が総合的かつ計画的に実施すべき施策
三
前二号に定めるもののほか、宇宙開発利用に関する施策を政府が総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3
宇宙基本計画に定める施策については、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。
4
宇宙開発戦略本部は、第一項の規定により宇宙基本計画を作成したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
5
宇宙開発戦略本部は、適時に、第三項の規定により定める目標の達成状況を調査し、 その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
6
宇宙開発戦略本部は、宇宙開発利用の進展の状況、政府が宇宙開発利用に関して講じた施策の効果等を勘案して、適宜、宇宙基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。この場合においては、第四項の規定を準用する。
7
政府は、宇宙基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第二十六条
本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一
宇宙基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。
二
前号に掲げるもののほか、宇宙開発利用に関する施策で重要なものの企画に関する調査審議、その施策の実施の推進及び総合調整に関すること。
2
本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
第二十九条
本部に、宇宙開発戦略副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官及び宇宙開発担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、宇宙開発利用に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。
2
副本部長は、本部長の職務を助ける。
2
本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。
第三十一条
本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体及び独立行政法人(独立行政法人通則法
(平成十一年法律第百三号)第二条第一項
に規定する独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法
(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号
の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2
本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
第三十三条
本部に係る事項については、内閣法
(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
第三十五条
政府は、宇宙活動に係る規制その他の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束を実施するために必要な事項等に関する法制の整備を総合的、計画的かつ速やかに実施しなければならない。
2
前項の法制の整備は、国際社会における我が国の利益の増進及び民間における宇宙開発利用の推進に資するよう行われるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(本部に関する事務の処理を内閣府に行わせるための法制の整備等)
第二条
政府は、この法律の施行後一年を目途として、本部に関する事務の処理を内閣府に行わせるために必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとする。
(独立行政法人宇宙航空研究開発機構等に関する検討)
第三条
政府は、この法律の施行後一年を目途として、独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他の宇宙開発利用に関する機関について、その目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、見直しを行うものとする。
(宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための行政組織の在り方等の検討)
第四条
政府は、宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための行政組織の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附 則 (平成二七年九月一一日法律第六六号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一
附則第七条の規定 公布の日
(政令への委任)
第七条
附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。