津波防災地域づくりに関する法律

津波防災地域づくりに関する法律
(平成二十三年十二月十四日法律第百二十三号)


最終改正:平成二六年五月三〇日法律第四二号


 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 基本指針等(第三条―第五条)
 第三章 津波浸水想定の設定等(第六条―第九条)
 第四章 推進計画の作成等(第十条・第十一条)
 第五章 推進計画区域における特別の措置
  第一節 土地区画整理事業に関する特例(第十二条―第十四条)
  第二節 津波からの避難に資する建築物の容積率の特例(第十五条)
  第三節 集団移転促進事業に関する特例(第十六条)
 第六章 一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画(第十七条)
 第七章 津波防護施設等
  第一節 津波防護施設の管理(第十八条―第三十七条)
  第二節 津波防護施設に関する費用(第三十八条―第四十九条)
  第三節 指定津波防護施設(第五十条―第五十二条)
 第八章 津波災害警戒区域(第五十三条―第七十一条)
 第九章 津波災害特別警戒区域(第七十二条―第九十二条)
 第十章 雑則(第九十三条―第九十八条)
 第十一章 罰則(第九十九条―第百三条)
 附則

   第一章 総則

第一条  この法律は、津波による災害を防止し、又は軽減する効果が高く、将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域の整備、利用及び保全(以下「津波防災地域づくり」という。)を総合的に推進することにより、津波による災害から国民の生命、身体及び財産の保護を図るため、国土交通大臣による基本指針の策定、市町村による推進計画の作成、推進計画区域における特別の措置及び一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画に関する事項について定めるとともに、津波防護施設の管理、津波災害警戒区域における警戒避難体制の整備並びに津波災害特別警戒区域における一定の開発行為及び建築物の建築等の制限に関する措置等について定め、もって公共の福祉の確保及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

第二条  この法律において「海岸保全施設」とは、海岸法 (昭和三十一年法律第百一号)第二条第一項 に規定する海岸保全施設をいう。
 この法律において「港湾施設」とは、港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項 に規定する港湾施設をいう。
 この法律において「漁港施設」とは、漁港漁場整備法 (昭和二十五年法律第百三十七号)第三条 に規定する漁港施設をいう。
 この法律において「河川管理施設」とは、河川法 (昭和三十九年法律第百六十七号)第三条第二項 に規定する河川管理施設をいう。
 この法律において「海岸管理者」とは、海岸法第二条第三項 に規定する海岸管理者をいう。
 この法律において「港湾管理者」とは、港湾法第二条第一項 に規定する港湾管理者をいう。
 この法律において「漁港管理者」とは、漁港漁場整備法第二十五条 の規定により決定された地方公共団体をいう。
 この法律において「河川管理者」とは、河川法第七条 に規定する河川管理者をいう。
 この法律において「保安施設事業」とは、森林法 (昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十一条第三項 に規定する保安施設事業をいう。
10  この法律において「津波防護施設」とは、盛土構造物、閘門その他の政令で定める施設(海岸保全施設、港湾施設、漁港施設及び河川管理施設並びに保安施設事業に係る施設であるものを除く。)であって、第八条第一項に規定する津波浸水想定を踏まえて津波による人的災害を防止し、又は軽減するために都道府県知事又は市町村長が管理するものをいう。
11  この法律において「津波防護施設管理者」とは、第十八条第一項又は第二項の規定により津波防護施設を管理する都道府県知事又は市町村長をいう。
12  この法律において「公共施設」とは、道路、公園、下水道その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
13  この法律において「公益的施設」とは、教育施設、医療施設、官公庁施設、購買施設その他の施設で、居住者の共同の福祉又は利便のために必要なものをいう。
14  この法律において「特定業務施設」とは、事務所、事業所その他の業務施設で、津波による災害の発生のおそれが著しく、かつ、当該災害を防止し、又は軽減する必要性が高いと認められる区域(当該区域に隣接し、又は近接する区域を含む。)の基幹的な産業の振興、当該区域内の地域における雇用機会の創出及び良好な市街地の形成に寄与するもののうち、公益的施設以外のものをいう。
15  この法律において「一団地の津波防災拠点市街地形成施設」とは、前項に規定する区域内の都市機能を津波が発生した場合においても維持するための拠点となる市街地を形成する一団地の住宅施設、特定業務施設又は公益的施設及び公共施設をいう。

   第二章 基本指針等

第三条  国土交通大臣は、津波防災地域づくりの推進に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 津波防災地域づくりの推進に関する基本的な事項
 第六条第一項の調査について指針となるべき事項
 第八条第一項に規定する津波浸水想定の設定について指針となるべき事項
 第十条第一項に規定する推進計画の作成について指針となるべき事項
 第五十三条第一項の津波災害警戒区域及び第七十二条第一項の津波災害特別警戒区域の指定について指針となるべき事項
 国土交通大臣は、基本指針を定めようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣、総務大臣及び農林水産大臣に協議するとともに、社会資本整備審議会の意見を聴かなければならない。
 国土交通大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 前二項の規定は、基本指針の変更について準用する。

第四条  国及び地方公共団体は、津波による災害の防止又は軽減が効果的に図られるようにするため、津波防災地域づくりに関する施策を、民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用に配慮しつつ、地域の実情に応じ適切に組み合わせて一体的に講ずるよう努めなければならない。

第五条  国及び地方公共団体は、この法律に規定する津波防災地域づくりを推進するための施策の策定及び実施に当たっては、地域における創意工夫を尊重し、並びに住民の生活の安定及び福祉の向上並びに地域経済の活性化に配慮するとともに、地域住民、民間事業者等の理解と協力を得るよう努めなければならない。

   第三章 津波浸水想定の設定等

第六条  都道府県は、基本指針に基づき、第八条第一項に規定する津波浸水想定の設定又は変更のために必要な基礎調査として、津波による災害の発生のおそれがある沿岸の陸域及び海域に関する地形、地質、土地利用の状況その他の事項に関する調査を行うものとする。
 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、都道府県に対し、前項の調査の結果について必要な報告を求めることができる。
 国土交通大臣は、都道府県による第八条第一項に規定する津波浸水想定の設定又は変更に資する基礎調査として、津波による災害の発生のおそれがある沿岸の陸域及び海域に関する地形、地質その他の事項に関する調査であって広域的な見地から必要とされるものを行うものとする。
 国土交通大臣は、関係都道府県に対し、前項の調査の結果を通知するものとする。

第七条  都道府県知事若しくは国土交通大臣又はこれらの命じた者若しくは委任した者は、前条第一項又は第三項の調査(次条第一項及び第九条において「基礎調査」という。)のためにやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を作業場として一時使用することができる。
 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
 第一項の規定により宅地又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
 日の出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない。
 第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
 第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を作業場として一時使用しようとする者は、あらかじめ、当該土地の占有者及び所有者に通知して、その意見を聴かなければならない。
 土地の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入り又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。
 都道府県又は国は、第一項の規定による立入り又は一時使用により損失を受けた者がある場合においては、その者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
 前項の規定による損失の補償については、都道府県又は国と損失を受けた者とが協議しなければならない。
10  前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県又は国は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服のある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項 の規定による裁決を申請することができる。

第八条  都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、津波浸水想定(津波があった場合に想定される浸水の区域及び水深をいう。以下同じ。)を設定するものとする。
 都道府県知事は、前項の規定により津波浸水想定を設定しようとするときは、国土交通大臣に対し、情報の提供、技術的な助言その他必要な援助を求めることができる。
 都道府県知事は、第一項の規定により津波浸水想定を設定しようとする場合において、必要があると認めるときは、関係する海岸管理者及び河川管理者の意見を聴くものとする。
 都道府県知事は、第一項の規定により津波浸水想定を設定したときは、速やかに、これを、国土交通大臣に報告し、かつ、関係市町村長に通知するとともに、公表しなければならない。
 国土交通大臣は、前項の規定により津波浸水想定の設定について報告を受けたときは、社会資本整備審議会の意見を聴くものとし、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、必要な勧告をすることができる。
 第二項から前項までの規定は、津波浸水想定の変更について準用する。

第九条  国は、都道府県に対し、予算の範囲内において、都道府県の行う基礎調査に要する費用の一部を補助することができる。

   第四章 推進計画の作成等

第十条  市町村は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、単独で又は共同して、当該市町村の区域内について、津波防災地域づくりを総合的に推進するための計画(以下「推進計画」という。)を作成することができる。
 推進計画においては、推進計画の区域(以下「推進計画区域」という。)を定めるものとする。
 前項に規定するもののほか、推進計画においては、おおむね次に掲げる事項を定めるものとする。
 津波防災地域づくりの総合的な推進に関する基本的な方針
 津波浸水想定に定める浸水の区域(第五十条第一項において「浸水想定区域」という。)における土地の利用及び警戒避難体制の整備に関する事項
 津波防災地域づくりの推進のために行う事業又は事務に関する事項であって、次に掲げるもの
 海岸保全施設、港湾施設、漁港施設及び河川管理施設並びに保安施設事業に係る施設の整備に関する事項
 津波防護施設の整備に関する事項
 一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に関する事業、土地区画整理法 (昭和二十九年法律第百十九号)第二条第一項 に規定する土地区画整理事業(以下「土地区画整理事業」という。)、都市再開発法 (昭和四十四年法律第三十八号)第二条第一号 に規定する市街地再開発事業その他の市街地の整備改善のための事業に関する事項
 避難路、避難施設、公園、緑地、地域防災拠点施設その他の津波の発生時における円滑な避難の確保のための施設の整備及び管理に関する事項
 防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律 (昭和四十七年法律第百三十二号。第十六条において「集団移転促進法」という。)第二条第二項 に規定する集団移転促進事業(第十六条において「集団移転促進事業」という。)に関する事項
 国土調査法 (昭和二十六年法律第百八十号)第二条第五項 に規定する地籍調査(第九十五条において「地籍調査」という。)の実施に関する事項
 津波防災地域づくりの推進のために行う事業に係る民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用の促進に関する事項
 推進計画は、都市計画法 (昭和四十三年法律第百号)第十八条の二第一項 の市町村の都市計画に関する基本的な方針との調和が保たれたものでなければならない。
 市町村は、推進計画を作成しようとする場合において、次条第一項に規定する協議会が組織されていないときは、これに定めようとする第三項第二号及び第三号イからヘまでに掲げる事項について都道府県に、これに定めようとする同号イからヘまでに掲げる事項について関係管理者等(関係する海岸管理者、港湾管理者、漁港管理者、河川管理者、保安施設事業を行う農林水産大臣若しくは都道府県又は津波防護施設管理者をいう。以下同じ。)その他同号イからヘまでに規定する事業又は事務を実施すると見込まれる者に、それぞれ協議しなければならない。
 市町村は、推進計画のうち、第三項第三号イ及びロに掲げる事項については、関係管理者等が作成する案に基づいて定めるものとする。
 市町村は、必要があると認めるときは、関係管理者等に対し、前項の案の作成に当たり、津波防災地域づくりを総合的に推進する観点から配慮すべき事項を申し出ることができる。
 前項の規定による申出を受けた関係管理者等は、当該申出を尊重するものとする。
 市町村は、推進計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、国土交通大臣、都道府県及び関係管理者等その他第三項第三号イからヘまでに規定する事業又は事務を実施すると見込まれる者に、推進計画を送付しなければならない。
10  国土交通大臣及び都道府県は、前項の規定により推進計画の送付を受けたときは、市町村に対し、必要な助言をすることができる。
11  国土交通大臣は、前項の助言を行うに際し必要と認めるときは、農林水産大臣その他関係行政機関の長に対し、意見を求めることができる。
12  第五項から前項までの規定は、推進計画の変更について準用する。

第十一条  推進計画を作成しようとする市町村は、推進計画の作成に関する協議及び推進計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。
 推進計画を作成しようとする市町村
 前号の市町村の区域をその区域に含む都道府県
 関係管理者等その他前条第三項第三号イからヘまでに規定する事業又は事務を実施すると見込まれる者
 学識経験者その他の当該市町村が必要と認める者
 第一項の規定により協議会を組織する市町村は、同項に規定する協議を行う旨を前項第二号及び第三号に掲げる者に通知しなければならない。
 前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る協議に応じなければならない。
 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。
 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

   第五章 推進計画区域における特別の措置

    第一節 土地区画整理事業に関する特例

第十二条  津波による災害の発生のおそれが著しく、かつ、当該災害を防止し、又は軽減する必要性が高いと認められる区域内の土地を含む土地(推進計画区域内にあるものに限る。)の区域において津波による災害を防止し、又は軽減することを目的とする土地区画整理事業の事業計画においては、施行地区(土地区画整理法第二条第四項 に規定する施行地区をいう。以下同じ。)内の津波による災害の防止又は軽減を図るための措置が講じられた又は講じられる土地の区域における住宅及び公益的施設の建設を促進するため特別な必要があると認められる場合には、国土交通省令で定めるところにより、当該土地の区域であって、住宅及び公益的施設の用に供すべきもの(以下「津波防災住宅等建設区」という。)を定めることができる。
 津波防災住宅等建設区は、施行地区において津波による災害を防止し、又は軽減し、かつ、住宅及び公益的施設の建設を促進する上で効果的であると認められる位置に定め、その面積は、住宅及び公益的施設が建設される見込みを考慮して相当と認められる規模としなければならない。
 事業計画において津波防災住宅等建設区を定める場合には、当該事業計画は、推進計画に記載された第十条第三項第三号ハに掲げる事項(土地区画整理事業に係る部分に限る。)に適合して定めなければならない。

第十三条  前条第一項の規定により事業計画において津波防災住宅等建設区が定められたときは、施行地区内の住宅又は公益的施設の用に供する宅地(土地区画整理法第二条第六項 に規定する宅地をいう。以下同じ。)の所有者で当該宅地についての換地に住宅又は公益的施設を建設しようとするものは、施行者(当該津波防災住宅等建設区に係る土地区画整理事業を施行する者をいう。以下この条において同じ。)に対し、国土交通省令で定めるところにより、同法第八十六条第一項 の換地計画(第四項及び次条において「換地計画」という。)において当該宅地についての換地を津波防災住宅等建設区内に定めるべき旨の申出をすることができる。
 前項の規定による申出に係る宅地について住宅又は公益的施設の所有を目的とする借地権を有する者があるときは、当該申出についてその者の同意がなければならない。
 第一項の規定による申出は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める公告があった日から起算して六十日以内に行わなければならない。
 事業計画が定められた場合 土地区画整理法第七十六条第一項 各号に掲げる公告(事業計画の変更の公告又は事業計画の変更についての認可の公告を除く。)
 事業計画の変更により新たに津波防災住宅等建設区が定められた場合 当該事業計画の変更の公告又は当該事業計画の変更についての認可の公告
 事業計画の変更により従前の施行地区外の土地が新たに施行地区に編入されたことに伴い津波防災住宅等建設区の面積が拡張された場合 当該事業計画の変更の公告又は当該事業計画の変更についての認可の公告
 施行者は、第一項の規定による申出があった場合には、遅滞なく、当該申出が次に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該申出に係る宅地を、換地計画においてその宅地についての換地を津波防災住宅等建設区内に定められるべき宅地として指定し、当該申出が次に掲げる要件に該当しないと認めるときは、当該申出に応じない旨を決定しなければならない。
 当該申出に係る宅地に建築物その他の工作物(住宅及び公益的施設並びに容易に移転し、又は除却することができる工作物で国土交通省令で定めるものを除く。)が存しないこと。
 当該申出に係る宅地に地上権、永小作権、賃借権その他の当該宅地を使用し、又は収益することができる権利(住宅又は公益的施設の所有を目的とする借地権及び地役権を除く。)が存しないこと。
 施行者は、前項の規定による指定又は決定をしたときは、遅滞なく、第一項の規定による申出をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
 施行者は、第四項の規定による指定をしたときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
 施行者が土地区画整理法第十四条第一項 の規定により設立された土地区画整理組合である場合においては、最初の役員が選挙され、又は選任されるまでの間は、第一項の規定による申出は、同条第一項 の規定による認可を受けた者が受理するものとする。

第十四条  前条第四項の規定により指定された宅地については、換地計画において換地を津波防災住宅等建設区内に定めなければならない。

    第二節 津波からの避難に資する建築物の容積率の特例

第十五条  推進計画区域(第五十三条第一項の津波災害警戒区域である区域に限る。)内の第五十六条第一項第一号及び第二号に掲げる基準に適合する建築物については、防災上有効な備蓄倉庫その他これに類する部分で、建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第二条第三十五号 に規定する特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものの床面積は、同法第五十二条第一項 、第二項、第七項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五(第二号イを除く。)、第六十八条の五の二(第二号イを除く。)、第六十八条の五の三第一項(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の四(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の容積率(同法第五十九条第一項 、第六十条の二第一項及び第六十八条の九第一項に規定するものについては、これらの規定に規定する建築物の容積率の最高限度に係る場合に限る。)の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。

    第三節 集団移転促進事業に関する特例

第十六条  集団移転促進事業(推進計画区域内に存する集団移転促進法第二条第一項 に規定する移転促進区域に係るものであって、住民の生命、身体及び財産を津波による災害から保護することを目的とするものに限る。次項において同じ。)に係る集団移転促進事業計画(集団移転促進法第三条第一項 に規定する集団移転促進事業計画をいう。次項において同じ。)は、推進計画に記載された第十条第三項第三号ホに掲げる事項に適合するものでなければならない。
 都道府県は、市町村から集団移転促進事業につき一の市町村の区域を超える広域の見地からの調整を図る必要があることにより当該市町村が当該集団移転促進事業に係る集団移転促進事業計画を定めることが困難である旨の申出を受けた場合においては、当該申出に係る集団移転促進事業計画を定めることができる。この場合において、集団移転促進法第三条第一項 、第四項及び第七項並びに第四条(見出しを含む。)中「市町村」とあるのは「都道府県」と、集団移転促進法第三条第一項 中「集団移転促進事業を実施しようとするときは、」とあるのは「津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第十六条第二項の規定により同項の申出に係る」と、「定めなければならない。この場合においては」とあるのは「定める場合においては」と、同条第四項中「第一項後段」とあるのは「第一項」と、「都道府県知事を経由して、集団移転促進事業計画を」とあるのは「集団移転促進事業計画を」と、「当該都道府県知事は、当該集団移転促進事業計画についてその意見を国土交通大臣に申し出ることができる」とあるのは「当該都道府県は、当該集団移転促進事業計画について、あらかじめ、関係市町村の意見を聴かなければならない」と、同条第七項中「都道府県知事を経由して、国土交通大臣に」とあるのは「国土交通大臣に」とし、同条第八項の規定は、適用しない。

   第六章 一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画

第十七条  次に掲げる条件のいずれにも該当する第二条第十四項に規定する区域であって、当該区域内の都市機能を津波が発生した場合においても維持するための拠点となる市街地を形成することが必要であると認められるものについては、都市計画に一団地の津波防災拠点市街地形成施設を定めることができる。
 当該区域内の都市機能を津波が発生した場合においても維持するための拠点として一体的に整備される自然的経済的社会的条件を備えていること。
 当該区域内の土地の大部分が建築物(津波による災害により建築物が損傷した場合における当該損傷した建築物を除く。)の敷地として利用されていないこと。
 一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 住宅施設、特定業務施設又は公益的施設及び公共施設の位置及び規模
 建築物の高さの最高限度若しくは最低限度、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度若しくは最低限度又は建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度
 一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画は、次に掲げるところに従って定めなければならない。
 前項第一号に規定する施設は、当該区域内の都市機能を津波が発生した場合においても維持するための拠点としての機能が確保されるよう、必要な位置に適切な規模で配置すること。
 前項第二号に掲げる事項は、当該区域内の都市機能を津波が発生した場合においても維持することが可能となるよう定めること。
 当該区域が推進計画区域である場合にあっては、推進計画に適合するよう定めること。

   第七章 津波防護施設等

    第一節 津波防護施設の管理

第十八条  津波防護施設の新設、改良その他の管理は、都道府県知事が行うものとする。
 前項の規定にかかわらず、市町村長が管理することが適当であると認められる津波防護施設で都道府県知事が指定したものについては、当該津波防護施設の存する市町村の長がその管理を行うものとする。
 都道府県知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ当該市町村長の意見を聴かなければならない。
 都道府県知事は、第二項の規定により指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、これを公示しなければならない。これを変更するときも、同様とする。

第十九条  津波防護施設の新設又は改良は、推進計画区域内において、推進計画に即して行うものとする。

第二十条  都府県の境界に係る津波防護施設については、関係都府県知事は、協議して別にその管理の方法を定めることができる。
 前項の規定による協議が成立した場合においては、関係都府県知事は、国土交通省令で定めるところにより、その成立した協議の内容を公示しなければならない。
 第一項の規定による協議に基づき、一の都府県知事が他の都府県の区域内に存する津波防護施設について管理を行う場合においては、その都府県知事は、政令で定めるところにより、当該他の都府県知事に代わってその権限を行うものとする。

第二十一条  津波防護施設管理者は、次に掲げる土地の区域を津波防護施設区域として指定するものとする。
 津波防護施設の敷地である土地の区域
 前号の土地の区域に隣接する土地の区域であって、当該津波防護施設を保全するため必要なもの
 前項第二号に掲げる土地の区域についての津波防護施設区域の指定は、当該津波防護施設を保全するため必要な最小限度の土地の区域に限ってするものとする。
 津波防護施設管理者は、津波防護施設区域を指定するときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
 津波防護施設区域の指定、変更又は廃止は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。

第二十二条  津波防護施設区域内の土地(津波防護施設管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。)を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。
 津波防護施設管理者は、前項の許可の申請があった場合において、その申請に係る事項が津波防護施設の保全に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、これを許可してはならない。

第二十三条  津波防護施設区域内の土地において、次に掲げる行為をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。ただし、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定める行為については、この限りでない。
 津波防護施設以外の施設又は工作物(以下この章において「他の施設等」という。)の新築又は改築
 土地の掘削、盛土又は切土
 前二号に掲げるもののほか、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める行為
 前条第二項の規定は、前項の許可について準用する。

第二十四条  津波防護施設区域の指定の際現に権原に基づき、第二十二条第一項若しくは前条第一項の規定により許可を要する行為を行っている者又は同項の規定によりその設置について許可を要する他の施設等を設置している者は、従前と同様の条件により、当該行為又は他の施設等の設置について当該規定による許可を受けたものとみなす。同項ただし書若しくは同項第三号の政令又はこれを改廃する政令の施行の際現に権原に基づき、当該政令の施行に伴い新たに許可を要することとなる行為を行い、又は他の施設等を設置している者についても、同様とする。

第二十五条  国又は地方公共団体が行う事業についての第二十二条第一項及び第二十三条第一項の規定の適用については、国又は地方公共団体と津波防護施設管理者との協議が成立することをもって、これらの規定による許可があったものとみなす。

第二十六条  津波防護施設管理者は、国土交通省令で定める基準に従い、第二十二条第一項の許可を受けた者から占用料を徴収することができる。

第二十七条  津波防護施設管理者は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、その許可を取り消し、若しくはその条件を変更し、又はその行為の中止、他の施設等の改築、移転若しくは除却、他の施設等により生ずべき津波防護施設の保全上の障害を予防するために必要な施設の設置若しくは原状回復を命ずることができる。
 第二十二条第一項又は第二十三条第一項の規定に違反した者
 第二十二条第一項又は第二十三条第一項の許可に付した条件に違反した者
 偽りその他不正な手段により第二十二条第一項又は第二十三条第一項の許可を受けた者
 津波防護施設管理者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、第二十二条第一項又は第二十三条第一項の許可を受けた者に対し、前項に規定する処分をし、又は同項に規定する必要な措置を命ずることができる。
 津波防護施設に関する工事のためやむを得ない必要が生じたとき。
 津波防護施設の保全上著しい支障が生じたとき。
 津波防護施設の保全上の理由以外の理由に基づく公益上やむを得ない必要が生じたとき。
 前二項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、津波防護施設管理者は、当該措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは、津波防護施設管理者又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ公告しなければならない。
 津波防護施設管理者は、前項の規定により他の施設等を除却し、又は除却させたときは、当該他の施設等を保管しなければならない。
 津波防護施設管理者は、前項の規定により他の施設等を保管したときは、当該他の施設等の所有者、占有者その他当該他の施設等について権原を有する者(第九項において「所有者等」という。)に対し当該他の施設等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
 津波防護施設管理者は、第四項の規定により保管した他の施設等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又は前項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお当該他の施設等を返還することができない場合において、政令で定めるところにより評価した当該他の施設等の価額に比し、その保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該他の施設等を売却し、その売却した代金を保管することができる。
 津波防護施設管理者は、前項の規定による他の施設等の売却につき買受人がない場合において、同項に規定する価額が著しく低いときは、当該他の施設等を廃棄することができる。
 第六項の規定により売却した代金は、売却に要した費用に充てることができる。
 第三項から第六項までに規定する他の施設等の除却、保管、売却、公示その他の措置に要した費用は、当該他の施設等の返還を受けるべき所有者等その他第三項に規定する当該措置を命ずべき者の負担とする。
10  第五項の規定による公示の日から起算して六月を経過してもなお第四項の規定により保管した他の施設等(第六項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該他の施設等の所有権は、都道府県知事が保管する他の施設等にあっては当該都道府県知事が統括する都道府県、市町村長が保管する他の施設等にあっては当該市町村長が統括する市町村に帰属する。

第二十八条  津波防護施設管理者は、前条第二項の規定による処分又は命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。
 前項の規定による損失の補償については、津波防護施設管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
 前項の規定による協議が成立しない場合においては、津波防護施設管理者は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項 の規定による裁決を申請することができる。
 津波防護施設管理者は、第一項の規定による補償の原因となった損失が前条第二項第三号に該当する場合における同項の規定による処分又は命令によるものであるときは、当該補償金額を当該理由を生じさせた者に負担させることができる。

第二十九条  津波防護施設は、地形、地質、地盤の変動その他の状況を考慮し、自重、水圧及び波力並びに地震の発生、漂流物の衝突その他の事由による振動及び衝撃に対して安全な構造のものでなければならない。
 前項に定めるもののほか、津波防護施設の形状、構造及び位置について、津波による人的災害の防止又は軽減のため必要とされる技術上の基準は、国土交通省令で定める基準を参酌して都道府県(第十八条第二項の規定により市町村長が津波防護施設を管理する場合にあっては、当該市町村長が統括する市町村)の条例で定める。

第三十条  津波防護施設と他の施設等とが相互に効用を兼ねる場合においては、津波防護施設管理者及び他の施設等の管理者は、協議して別に管理の方法を定め、当該津波防護施設及び他の施設等の工事、維持又は操作を行うことができる。
 津波防護施設管理者は、前項の規定による協議に基づき、他の施設等の管理者が津波防護施設の工事、維持又は操作を行う場合においては、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

第三十一条  津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事以外の工事(以下この章において「他の工事」という。)又は津波防護施設に関する工事若しくは津波防護施設の維持の必要を生じさせた行為(以下この章において「他の行為」という。)により必要を生じた津波防護施設に関する工事又は津波防護施設の維持を当該他の工事の施行者又は他の行為の行為者に施行させることができる。
 前項の場合において、他の工事が河川工事(河川法 が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。)、道路(道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事、地すべり防止工事(地すべり等防止法 (昭和三十三年法律第三十号)第二条第四項 に規定する地すべり防止工事をいう。以下同じ。)、急傾斜地崩壊防止工事(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律 (昭和四十四年法律第五十七号)第二条第三項 に規定する急傾斜地崩壊防止工事をいう。第四十三条第二項において同じ。)又は海岸保全施設に関する工事であるときは、当該津波防護施設に関する工事については、河川法第十九条道路法第二十三条第一項地すべり等防止法第十五条第一項急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第十六条第一項 又は海岸法第十七条第一項 の規定を適用する。

第三十二条  津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事により必要を生じた他の工事又は津波防護施設に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事をその津波防護施設に関する工事と併せて施行することができる。
 前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、砂防工事(砂防法 (明治三十年法律第二十九号)第一条 に規定する砂防工事をいう。第四十四条第二項において同じ。)、地すべり防止工事又は海岸保全施設等(海岸法第八条の二第一項第一号 に規定する海岸保全施設等をいう。第四十四条第二項において同じ。)に関する工事であるときは、当該他の工事の施行については、河川法第十八条道路法第二十二条第一項砂防法第八条地すべり等防止法第十四条第一項 又は海岸法第十六条第一項 の規定を適用する。

第三十三条  津波防護施設管理者以外の者は、第二十条第一項、第三十条第一項及び第三十一条の規定による場合のほか、あらかじめ、政令で定めるところにより津波防護施設管理者の承認を受けて、津波防護施設に関する工事又は津波防護施設の維持を行うことができる。ただし、政令で定める軽易なものについては、津波防護施設管理者の承認を受けることを要しない。
 国又は地方公共団体が行う事業についての前項の規定の適用については、国又は地方公共団体と津波防護施設管理者との協議が成立することをもって、同項の規定による承認があったものとみなす。

第三十四条  津波防護施設管理者又はその命じた者若しくは委任した者は、津波防護施設区域に関する調査若しくは測量又は津波防護施設に関する工事のためにやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。
 第七条(第一項を除く。)の規定は、前項の規定による立入り及び一時使用について準用する。この場合において、同条第八項から第十項までの規定中「都道府県又は国」とあるのは、「津波防護施設管理者」と読み替えるものとする。

第三十五条  土地収用法第九十三条第一項 の規定による場合を除き、津波防護施設管理者が津波防護施設を新設し、又は改良したことにより、当該津波防護施設に面する土地について、通路、溝、垣、柵その他の施設若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、津波防護施設管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、津波防護施設管理者又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて、津波防護施設管理者が当該工事を施行することを要求することができる。
 前項の規定による損失の補償は、津波防護施設に関する工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。
 第一項の規定による損失の補償については、津波防護施設管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
 前項の規定による協議が成立しない場合においては、津波防護施設管理者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項 の規定による裁決を申請することができる。

第三十六条  津波防護施設管理者は、津波防護施設台帳を調製し、これを保管しなければならない。
 津波防護施設管理者は、津波防護施設台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければこれを拒むことができない。
 津波防護施設台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

第三十七条  津波防護施設管理者は、第二十二条第一項若しくは第二十三条第一項の許可又は第三十三条第一項の承認には、津波防護施設の保全上必要な条件を付することができる。

    第二節 津波防護施設に関する費用

第三十八条  津波防護施設管理者が津波防護施設を管理するために要する費用は、この法律及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、当該津波防護施設管理者の属する地方公共団体の負担とする。

第三十九条  国は、津波防護施設の新設又は改良に関する工事で政令で定めるものを行う地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、当該工事に要する費用の一部を補助することができる。

第四十条  都府県の境界に係る津波防護施設について第二十条第一項の規定による協議に基づき関係都府県知事が別に管理の方法を定めた場合においては、当該津波防護施設の管理に要する費用については、関係都府県知事は、協議してその分担すべき金額及び分担の方法を定めることができる。

第四十一条  前三条の規定により都道府県が負担する費用のうち、その工事又は維持が当該都道府県の区域内の市町村を利するものについては、当該工事又は維持による受益の限度において、当該市町村に対し、その工事又は維持に要する費用の一部を負担させることができる。
 前項の費用について同項の規定により市町村が負担すべき金額は、当該市町村の意見を聴いた上、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。

第四十二条  津波防護施設が他の施設等の効用を兼ねるときは、当該津波防護施設の管理に要する費用の負担については、津波防護施設管理者と当該他の施設等の管理者とが協議して定めるものとする。

第四十三条  津波防護施設管理者は、他の工事又は他の行為により必要を生じた津波防護施設に関する工事又は津波防護施設の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担させるものとする。
 前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、地すべり防止工事、急傾斜地崩壊防止工事又は海岸保全施設に関する工事であるときは、当該津波防護施設に関する工事の費用については、河川法第六十八条道路法第五十九条第一項 及び第三項地すべり等防止法第三十五条第一項 及び第三項急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第二十二条第一項 又は海岸法第三十二条第一項 及び第三項 の規定を適用する。

第四十四条  津波防護施設に関する工事により必要を生じた他の工事又は津波防護施設に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事に要する費用は、第二十二条第一項及び第二十三条第一項の許可に付した条件に特別の定めがある場合並びに第二十五条の規定による協議による場合を除き、その必要を生じた限度において、当該津波防護施設に関する工事について費用を負担する者がその全部又は一部を負担するものとする。
 前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、砂防工事、地すべり防止工事又は海岸保全施設等に関する工事であるときは、他の工事に要する費用については、河川法第六十七条道路法第五十八条第一項砂防法第十六条地すべり等防止法第三十四条第一項 又は海岸法第三十一条第一項 の規定を適用する。
 津波防護施設管理者は、第一項の津波防護施設に関する工事が他の工事又は他の行為のため必要となったものである場合においては、同項の他の工事に要する費用の全部又は一部をその必要を生じた限度において、その原因となった工事又は行為につき費用を負担する者に負担させることができる。

第四十五条  津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事によって著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。
 前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収方法については、都道府県知事が負担させるものにあっては当該都道府県知事が統括する都道府県の条例で、市町村長が負担させるものにあっては当該市町村長が統括する市町村の条例で定める。

第四十六条  第二十七条及び前三条の規定による負担金の額の通知及び納入手続その他負担金に関し必要な事項は、政令で定める。

第四十七条  第二十六条の規定に基づく占用料並びに第二十七条第九項、第四十二条、第四十三条第一項、第四十四条第三項及び第四十五条第一項の規定に基づく負担金(以下この条及び次条においてこれらを「負担金等」と総称する。)を納付しない者があるときは、津波防護施設管理者は、督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
 前項の場合においては、津波防護施設管理者は、国土交通省令で定めるところにより延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額を超えない範囲内で定めなければならない。
 第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、津波防護施設管理者は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金等及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金等及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
 延滞金は、負担金等に先立つものとする。
 負担金等及び延滞金を徴収する権利は、五年間行わないときは、時効により消滅する。

第四十八条  負担金等及び前条第二項の延滞金は、都道府県知事が負担させるものにあっては当該都道府県知事が統括する都道府県、市町村長が負担させるものにあっては当該市町村長が統括する市町村の収入とする。

第四十九条  前節の規定又は同節の規定に基づく処分による義務を履行するために必要な費用は、同節又はこの節に特別の規定がある場合を除き、当該義務者が負担しなければならない。

    第三節 指定津波防護施設

第五十条  都道府県知事は、浸水想定区域(推進計画区域内のものに限る。以下この項において同じ。)内に存する第二条第十項の政令で定める施設(海岸保全施設、港湾施設、漁港施設、河川管理施設、保安施設事業に係る施設及び津波防護施設であるものを除く。)が、当該浸水想定区域における津波による人的災害を防止し、又は軽減するために有用であると認めるときは、当該施設を指定津波防護施設として指定することができる。
 都道府県知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該指定をしようとする施設が存する市町村の長の意見を聴くとともに、当該施設の所有者の同意を得なければならない。
 都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該指定津波防護施設を公示するとともに、その旨を当該指定津波防護施設が存する市町村の長及び当該指定津波防護施設の所有者に通知しなければならない。
 第一項の規定による指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
 前三項の規定は、第一項の規定による指定の解除について準用する。

第五十一条  都道府県知事は、前条第一項の規定により指定津波防護施設を指定したときは、国土交通省令で定める基準を参酌して都道府県の条例で定めるところにより、指定津波防護施設又はその敷地である土地の区域内に、それぞれ指定津波防護施設である旨又は指定津波防護施設が当該区域内に存する旨を表示した標識を設けなければならない。
 指定津波防護施設又はその敷地である土地の所有者、管理者又は占有者は、正当な理由がない限り、前項の標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
 何人も、第一項の規定により設けられた標識を都道府県知事の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
 都道府県は、第一項の規定による行為により損失を受けた者がある場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
 前項の規定による損失の補償については、都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。
 前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項 の規定による裁決を申請することができる。

第五十二条  指定津波防護施設について、次に掲げる行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
 当該指定津波防護施設の敷地である土地の区域における土地の掘削、盛土又は切土その他土地の形状を変更する行為
 当該指定津波防護施設の改築又は除却
 都道府県知事は、前項の規定による届出を受けたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該届出の内容を、当該指定津波防護施設が存する市町村の長に通知しなければならない。
 都道府県知事は、第一項の規定による届出があった場合において、当該指定津波防護施設が有する津波による人的災害を防止し、又は軽減する機能の保全のため必要があると認めるときは、当該届出をした者に対して、必要な助言又は勧告をすることができる。

   第八章 津波災害警戒区域

第五十三条  都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、津波が発生した場合には住民その他の者(以下「住民等」という。)の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、当該区域における津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を、津波災害警戒区域(以下「警戒区域」という。)として指定することができる。
 前項の規定による指定は、当該指定の区域及び基準水位(津波浸水想定に定める水深に係る水位に建築物等への衝突による津波の水位の上昇を考慮して必要と認められる値を加えて定める水位であって、津波の発生時における避難並びに第七十三条第一項に規定する特定開発行為及び第八十二条に規定する特定建築行為の制限の基準となるべきものをいう。以下同じ。)を明らかにしてするものとする。
 都道府県知事は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
 都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨並びに当該指定の区域及び基準水位を公示しなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定による公示をしたときは、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、関係市町村長に、同項の規定により公示された事項を記載した図書を送付しなければならない。
 第二項から前項までの規定は、第一項の規定による指定の変更又は解除について準用する。

第五十四条  市町村防災会議(災害対策基本法 (昭和三十六年法律第二百二十三号)第十六条第一項 の市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。以下同じ。)は、前条第一項の規定による警戒区域の指定があったときは、市町村地域防災計画(同法第四十二条第一項 の市町村地域防災計画をいう。以下同じ。)において、当該警戒区域ごとに、次に掲げる事項について定めるものとする。
 人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報の収集及び伝達並びに予報又は警報の発令及び伝達に関する事項
 避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項
 災害対策基本法第四十八条第一項 の防災訓練として市町村長が行う津波に係る避難訓練(第七十条において「津波避難訓練」という。)の実施に関する事項
 警戒区域内に、地下街等(地下街その他地下に設けられた不特定かつ多数の者が利用する施設をいう。第七十一条第一項第一号において同じ。)又は社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設であって、当該施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難を確保する必要があると認められるものがある場合にあっては、これらの施設の名称及び所在地
 前各号に掲げるもののほか、警戒区域における津波による人的災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項
 市町村防災会議は、前項の規定により市町村地域防災計画において同項第四号に掲げる事項を定めるときは、当該市町村地域防災計画において、同号に規定する施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう、同項第一号に掲げる事項のうち人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報、予報及び警報の伝達に関する事項を定めるものとする。

第五十五条  警戒区域をその区域に含む市町村の長は、市町村地域防災計画に基づき、国土交通省令で定めるところにより、人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報の伝達方法、避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項その他警戒区域における円滑な警戒避難を確保する上で必要な事項を住民等に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講じなければならない。

第五十六条  市町村長は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内に存する施設(当該市町村が管理する施設を除く。)であって次に掲げる基準に適合するものを指定避難施設として指定することができる。
 当該施設が津波に対して安全な構造のものとして国土交通省令で定める技術的基準に適合するものであること。
 基準水位以上の高さに避難上有効な屋上その他の場所が配置され、かつ、当該場所までの避難上有効な階段その他の経路があること。
 津波の発生時において当該施設が住民等に開放されることその他当該施設の管理方法が内閣府令・国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
 市町村長は、前項の規定により指定避難施設を指定しようとするときは、当該施設の管理者の同意を得なければならない。
 建築主事を置かない市町村の市町村長は、建築物又は建築基準法第八十八条第一項 の政令で指定する工作物について第一項 の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。
 市町村長は、第一項の規定による指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。

第五十七条  市町村防災会議は、前条第一項の規定により指定避難施設が指定されたときは、当該指定避難施設に関する事項を、第五十四条第一項第二号の避難施設に関する事項として、同項の規定により市町村地域防災計画において定めるものとする。この場合においては、当該市町村地域防災計画において、併せて当該指定避難施設の管理者に対する人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報、予報及び警報の伝達方法を、同項第一号に掲げる事項として定めるものとする。

第五十八条  指定避難施設の管理者は、当該指定避難施設を廃止し、又は改築その他の事由により当該指定避難施設の現状に政令で定める重要な変更を加えようとするときは、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより市町村長に届け出なければならない。

第五十九条  市町村長は、当該指定避難施設が廃止され、又は第五十六条第一項各号に掲げる基準に適合しなくなったと認めるときは、同項の規定による指定を取り消すものとする。
 市町村は、前項の規定により第五十六条第一項の規定による指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

第六十条  市町村は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内に存する施設(当該市町村が管理する施設を除く。)であって第五十六条第一項第一号及び第二号に掲げる基準に適合するものについて、その避難用部分(津波の発生時における避難の用に供する部分をいう。以下同じ。)を自ら管理する必要があると認めるときは、施設所有者等(当該施設の所有者、その敷地である土地の所有者又は当該土地の使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。次条第一項において同じ。)を有する者をいう。以下同じ。)との間において、管理協定を締結して当該施設の避難用部分の管理を行うことができる。
 前項の規定による管理協定については、施設所有者等の全員の合意がなければならない。

第六十一条  市町村は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内において建設が予定されている施設又は建設中の施設であって、第五十六条第一項第一号及び第二号に掲げる基準に適合する見込みのもの(当該市町村が管理することとなる施設を除く。)について、その避難用部分を自ら管理する必要があると認めるときは、施設所有者等となろうとする者(当該施設の敷地である土地の所有者又は当該土地の使用及び収益を目的とする権利を有する者を含む。次項及び第六十八条において「予定施設所有者等」という。)との間において、管理協定を締結して建設後の当該施設の避難用部分の管理を行うことができる。
 前項の規定による管理協定については、予定施設所有者等の全員の合意がなければならない。

第六十二条  第六十条第一項又は前条第一項の規定による管理協定(以下「管理協定」という。)には、次に掲げる事項を定めるものとする。
 管理協定の目的となる避難用部分(以下この条及び第六十五条において「協定避難用部分」という。)
 協定避難用部分の管理の方法に関する事項
 管理協定の有効期間
 管理協定に違反した場合の措置
 管理協定の内容は、次に掲げる基準のいずれにも適合するものでなければならない。
 協定避難施設(協定避難用部分の属する施設をいう。以下同じ。)の利用を不当に制限するものでないこと。
 前項第二号から第四号までに掲げる事項について内閣府令・国土交通省令で定める基準に適合するものであること。

第六十三条  市町村は、管理協定を締結しようとするときは、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該管理協定を当該公告の日から二週間利害関係人の縦覧に供さなければならない。
 前項の規定による公告があったときは、利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該管理協定について、市町村に意見書を提出することができる。

第六十四条  建築主事を置かない市町村は、建築物又は建築基準法第八十八条第一項 の政令で指定する工作物について管理協定を締結しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。

第六十五条  市町村は、管理協定を締結したときは、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、当該管理協定の写しを当該市町村の事務所に備えて公衆の縦覧に供するとともに、協定避難施設又はその敷地である土地の区域内の見やすい場所に、それぞれ協定避難施設である旨又は協定避難施設が当該区域内に存する旨を明示し、かつ、協定避難用部分の位置を明示しなければならない。

第六十六条  市町村防災会議は、当該市町村が管理協定を締結したときは、当該管理協定に係る協定避難施設に関する事項を、第五十四条第一項第二号の避難施設に関する事項として、同項の規定により市町村地域防災計画において定めるものとする。

第六十七条  第六十条第二項、第六十一条第二項、第六十二条第二項、第六十三条及び第六十五条の規定は、管理協定において定めた事項の変更について準用する。この場合において、第六十一条第二項中「予定施設所有者等」とあるのは、「予定施設所有者等(施設の建設後にあっては、施設所有者等)」と読み替えるものとする。

第六十八条  第六十五条(前条において準用する場合を含む。)の規定による公告のあった管理協定は、その公告のあった後において当該管理協定に係る協定避難施設の施設所有者等又は予定施設所有者等となった者に対しても、その効力があるものとする。

第六十九条  第五十四条、第五十五条、第五十七条及び第六十六条の規定は、災害対策基本法第十七条第一項 の規定により津波による人的災害の防止又は軽減を図るため同項 の市町村防災会議の協議会が設置されている場合について準用する。この場合において、第五十四条第一項中「市町村防災会議(災害対策基本法 (昭和三十六年法律第二百二十三号)第十六条第一項 の市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。」とあるのは「市町村防災会議の協議会(災害対策基本法 (昭和三十六年法律第二百二十三号)第十七条第一項 の市町村防災会議の協議会をいう。」と、「市町村地域防災計画(同法第四十二条第一項 の市町村地域防災計画をいう。」とあるのは「市町村相互間地域防災計画(同法第四十四条第一項 の市町村相互間地域防災計画をいう。」と、同条第二項 、第五十七条及び第六十六条中「市町村防災会議」とあるのは「市町村防災会議の協議会」と、同項 、第五十五条、第五十七条及び第六十六条中「市町村地域防災計画」とあるのは「市町村相互間地域防災計画」と読み替えるものとする。

第七十条  指定避難施設の管理者は、津波避難訓練が行われるときは、これに協力しなければならない。

第七十一条  次に掲げる施設であって、第五十四条第一項(第六十九条において準用する場合を含む。)の規定により市町村地域防災計画又は災害対策基本法第四十四条第一項 の市町村相互間地域防災計画にその名称及び所在地が定められたもの(以下この条において「避難促進施設」という。)の所有者又は管理者は、単独で又は共同して、国土交通省令で定めるところにより、避難訓練その他当該避難促進施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な措置に関する計画(以下この条において「避難確保計画」という。)を作成し、これを市町村長に報告するとともに、公表しなければならない。
 地下街等
 社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設のうち、その利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難を確保するための体制を計画的に整備する必要があるものとして政令で定めるもの
 避難促進施設の所有者又は管理者は、避難確保計画の定めるところにより避難訓練を行うとともに、その結果を市町村長に報告しなければならない。
 市町村長は、前二項の規定により報告を受けたときは、避難促進施設の所有者又は管理者に対し、当該避難促進施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な助言又は勧告をすることができる。
 避難促進施設の所有者又は管理者の使用人その他の従業者は、避難確保計画の定めるところにより、第二項の避難訓練に参加しなければならない。
 避難促進施設の所有者又は管理者は、第二項の避難訓練を行おうとするときは、避難促進施設を利用する者に協力を求めることができる。

   第九章 津波災害特別警戒区域

第七十二条  都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、警戒区域のうち、津波が発生した場合には建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為(都市計画法第四条第十二項に規定する開発行為をいう。次条第一項及び第八十条において同じ。)及び一定の建築物(居室(建築基準法第二条第四号に規定する居室をいう。以下同じ。)を有するものに限る。以下同じ。)の建築(同条第十三号に規定する建築をいう。以下同じ。)又は用途の変更の制限をすべき土地の区域を、津波災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)として指定することができる。
 前項の規定による指定は、当該指定の区域を明らかにしてするものとする。
 都道府県知事は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該指定の案を、当該指定をしようとする理由を記載した書面を添えて、当該公告から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
 前項の規定による公告があったときは、住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された指定の案について、都道府県知事に意見書を提出することができる。
 都道府県知事は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、前項の規定により提出された意見書の写しを添えて、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
 都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨及び当該指定の区域を公示しなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定による公示をしたときは、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、関係市町村長に、同項の規定により公示された事項を記載した図書を送付しなければならない。
 第一項の規定による指定は、第六項の規定による公示によってその効力を生ずる。
 関係市町村長は、第七項の図書を当該市町村の事務所において、公衆の縦覧に供しなければならない。
10  都道府県知事は、海岸保全施設又は津波防護施設の整備の実施その他の事由により、特別警戒区域の全部又は一部について第一項の規定による指定の事由がなくなったと認めるときは、当該特別警戒区域の全部又は一部について当該指定を解除するものとする。
11  第二項から第九項までの規定は、第一項の規定による指定の変更又は前項の規定による当該指定の解除について準用する。

第七十三条  特別警戒区域内において、政令で定める土地の形質の変更を伴う開発行為で当該開発行為をする土地の区域内において建築が予定されている建築物(以下「予定建築物」という。)の用途が制限用途であるもの(以下「特定開発行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 に規定する指定都市(第三項及び第九十四条において「指定都市」という。)又は同法第二百五十二条の二十二第一項 に規定する中核市(第三項において「中核市」という。)の区域内にあっては、それぞれの長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。
 前項の制限用途とは、予定建築物の用途で、次に掲げる用途以外の用途でないものをいう。
 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設、学校及び医療施設(政令で定めるものに限る。)
 前号に掲げるもののほか、津波の発生時における利用者の円滑かつ迅速な避難を確保することができないおそれが大きいものとして特別警戒区域内の区域であって市町村の条例で定めるものごとに市町村の条例で定める用途
 市町村(指定都市及び中核市を除く。)は、前項第二号の条例を定めようとするときは、あらかじめ、都道府県知事と協議し、その同意を得なければならない。
 第一項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。
 特定開発行為をする土地の区域(以下「開発区域」という。)が特別警戒区域の内外にわたる場合における、特別警戒区域外においてのみ第一項の制限用途の建築物の建築がされる予定の特定開発行為
 開発区域が第二項第二号の条例で定める区域の内外にわたる場合における、当該区域外においてのみ第一項の制限用途(同号の条例で定める用途に限る。)の建築物の建築がされる予定の特定開発行為
 非常災害のために必要な応急措置として行う行為その他の政令で定める行為

第七十四条  前条第一項の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
 開発区域の位置、区域及び規模
 予定建築物(前条第一項の制限用途のものに限る。)の用途及びその敷地の位置
 特定開発行為に関する工事の計画
 その他国土交通省令で定める事項
 前項の申請書には、国土交通省令で定める図書を添付しなければならない。

第七十五条  都道府県知事等は、第七十三条第一項の許可の申請があったときは、特定開発行為に関する工事の計画が、擁壁の設置その他の津波が発生した場合における開発区域内の土地の安全上必要な措置を国土交通省令で定める技術的基準に従い講じるものであり、かつ、その申請の手続がこの法律及びこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。

第七十六条  国又は地方公共団体が行う特定開発行為については、国又は地方公共団体と都道府県知事等との協議が成立することをもって第七十三条第一項の許可を受けたものとみなす。
 都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可を受けた特定開発行為は、第七十三条第一項の許可を受けたものとみなす。

第七十七条  都道府県知事等は、第七十三条第一項の許可の申請があったときは、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならない。
 前項の処分をするには、文書をもって当該申請をした者に通知しなければならない。

第七十八条  第七十三条第一項の許可(この項の規定による許可を含む。)を受けた者は、第七十四条第一項各号に掲げる事項の変更をしようとする場合においては、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、変更後の予定建築物の用途が第七十三条第一項の制限用途以外のものであるとき、又は国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
 前項の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を都道府県知事等に提出しなければならない。
 第七十三条第一項の許可を受けた者は、第一項ただし書に該当する変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。
 前三条の規定は、第一項の許可について準用する。
 第一項の許可又は第三項の規定による届出の場合における次条から第八十一条までの規定の適用については、第一項の許可又は第三項の規定による届出に係る変更後の内容を第七十三条第一項の許可の内容とみなす。
 第七十六条第二項の規定により第七十三条第一項の許可を受けたものとみなされた特定開発行為に係る都市計画法第三十五条の二第一項の許可又は同条第三項の規定による届出は、当該特定開発行為に係る第一項の許可又は第三項の規定による届出とみなす。

第七十九条  第七十三条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る特定開発行為(第七十六条第二項の規定により第七十三条第一項の許可を受けたものとみなされた特定開発行為を除く。)に関する工事の全てを完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。
 都道府県知事等は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、当該工事が第七十五条の国土交通省令で定める技術的基準に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該技術的基準に適合していると認めたときは、国土交通省令で定める様式の検査済証を当該届出をした者に交付しなければならない。
 都道府県知事等は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨及び当該工事の完了後において当該工事に係る開発区域(特別警戒区域内のものに限る。)に地盤面の高さが基準水位以上である土地の区域があるときはその区域を公告しなければならない。

第八十条  第七十三条第一項の許可を受けた開発区域(特別警戒区域内のものに限る。)内の土地においては、前条第三項の規定による公告又は第七十六条第二項の規定により第七十三条第一項の許可を受けたものとみなされた特定開発行為に係る都市計画法第三十六条第三項の規定による公告があるまでの間は、第七十三条第一項の制限用途の建築物の建築をしてはならない。ただし、開発行為に関する工事用の仮設建築物の建築をするときその他都道府県知事等が支障がないと認めたときは、この限りでない。

第八十一条  第七十三条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る特定開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。
 第七十六条第二項の規定により第七十三条第一項の許可を受けたものとみなされた特定開発行為に係る都市計画法第三十八条の規定による届出は、当該特定開発行為に係る前項の規定による届出とみなす。

第八十二条  特別警戒区域内において、第七十三条第二項各号に掲げる用途の建築物の建築(既存の建築物の用途を変更して同項各号に掲げる用途の建築物とすることを含む。以下「特定建築行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
 第七十九条第三項又は都市計画法第三十六条第三項後段の規定により公告されたその地盤面の高さが基準水位以上である土地の区域において行う特定建築行為
 非常災害のために必要な応急措置として行う行為その他の政令で定める行為

第八十三条  第七十三条第二項第一号に掲げる用途の建築物について前条の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
 特定建築行為に係る建築物の敷地の位置及び区域
 特定建築行為に係る建築物の構造方法
 次条第一項第二号の政令で定める居室の床面の高さ
 その他国土交通省令で定める事項
 前項の申請書には、国土交通省令で定める図書を添付しなければならない。
 第七十三条第二項第二号の条例で定める用途の建築物について前条の許可を受けようとする者は、市町村の条例で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
 特定建築行為に係る建築物の敷地の位置及び区域
 特定建築行為に係る建築物の構造方法
 その他市町村の条例で定める事項
 前項の申請書には、国土交通省令で定める図書及び市町村の条例で定める図書を添付しなければならない。
 第七十三条第三項の規定は、前二項の条例を定める場合について準用する。

第八十四条  都道府県知事等は、第七十三条第二項第一号に掲げる用途の建築物について第八十二条の許可の申請があったときは、当該建築物が次に掲げる基準に適合するものであり、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。
 津波に対して安全な構造のものとして国土交通省令で定める技術的基準に適合するものであること。
 第七十三条第二項第一号の政令で定める用途ごとに政令で定める居室の床面の高さ(当該居室の構造その他の事由を勘案して都道府県知事等が津波に対して安全であると認める場合にあっては、当該居室の床面の高さに都道府県知事等が当該居室について指定する高さを加えた高さ)が基準水位以上であること。
 都道府県知事等は、第七十三条第二項第二号の条例で定める用途の建築物について第八十二条の許可の申請があったときは、当該建築物が次に掲げる基準に適合するものであり、かつ、その申請の手続がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又は前条第三項若しくは第四項の条例の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。
 前項第一号の国土交通省令で定める技術的基準に適合するものであること。
 次のいずれかに該当するものであることとする基準を参酌して市町村の条例で定める基準に適合するものであること。
 居室(共同住宅その他の各戸ごとに利用される建築物にあっては、各戸ごとの居室)の床面の全部又は一部の高さが基準水位以上であること。
 基準水位以上の高さに避難上有効な屋上その他の場所が配置され、かつ、当該場所までの避難上有効な階段その他の経路があること。
 第七十三条第三項の規定は、前項第二号の条例を定める場合について準用する。
 建築主事を置かない市の市長は、第八十二条の許可をしようとするときは、都道府県知事に協議しなければならない。

第八十五条  国又は地方公共団体が行う特定建築行為については、国又は地方公共団体と都道府県知事等との協議が成立することをもって第八十二条の許可を受けたものとみなす。

第八十六条  都道府県知事等は、第八十二条の許可の申請があったときは、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならない。
 都道府県知事等は、当該申請をした者に、前項の許可の処分をしたときは許可証を交付し、同項の不許可の処分をしたときは文書をもって通知しなければならない。
 前項の許可証の交付を受けた後でなければ、特定建築行為に関する工事(根切り工事その他の政令で定める工事を除く。)は、することができない。
 第二項の許可証の様式は、国土交通省令で定める。

第八十七条  第八十二条の許可(この項の規定による許可を含む。)を受けた者は、次に掲げる場合においては、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、変更後の建築物が第七十三条第二項各号に掲げる用途の建築物以外のものとなるとき、又は国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
 第七十三条第二項第一号に掲げる用途の建築物について第八十三条第一項各号に掲げる事項の変更をしようとする場合
 第七十三条第二項第二号の条例で定める用途の建築物について第八十三条第三項各号に掲げる事項の変更をしようとする場合
 前項の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定める事項(同項第二号に掲げる場合にあっては、市町村の条例で定める事項)を記載した申請書を都道府県知事等に提出しなければならない。
 第七十三条第三項の規定は、前項の条例を定める場合について準用する。
 第八十二条の許可を受けた者は、第一項ただし書に該当する変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。
 前三条の規定は、第一項の許可について準用する。

第八十八条  都道府県知事等は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、特定開発行為に係る土地又は特定建築行為に係る建築物における津波による人的災害を防止するために必要な限度において、第七十三条第一項、第七十八条第一項、第八十二条若しくは前条第一項の許可を取り消し、若しくはその許可に付した条件を変更し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて必要な措置をとることを命ずることができる。
 第七十三条第一項又は第七十八条第一項の規定に違反して、特定開発行為をした者
 第八十二条又は前条第一項の規定に違反して、特定建築行為をした者
 第七十三条第一項、第七十八条第一項、第八十二条又は前条第一項の許可に付した条件に違反した者
 特別警戒区域で行われる又は行われた特定開発行為(当該特別警戒区域の指定の際当該特別警戒区域内において既に着手している行為を除く。)であって、開発区域内の土地の安全上必要な措置を第七十五条の国土交通省令で定める技術的基準に従って講じていないものに関する工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
 特別警戒区域で行われる又は行われた特定建築行為(当該特別警戒区域の指定の際当該特別警戒区域内において既に着手している行為を除く。)であって、第八十四条第一項各号に掲げる基準又は同条第二項各号に掲げる基準に従って行われていないものに関する工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
 偽りその他不正な手段により第七十三条第一項、第七十八条第一項、第八十二条又は前条第一項の許可を受けた者
 前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事等は、その者の負担において、当該措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは、都道府県知事等又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ、公告しなければならない。
 都道府県知事等は、第一項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
 前項の標識は、第一項の規定による命令に係る土地又は建築物若しくは建築物の敷地内に設置することができる。この場合においては、同項の規定による命令に係る土地又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

第八十九条  都道府県知事等又はその命じた者若しくは委任した者は、第七十三条第一項、第七十八条第一項、第七十九条第二項、第八十条、第八十二条、第八十七条第一項又は前条第一項の規定による権限を行うため必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地において行われている特定開発行為若しくは特定建築行為に関する工事の状況を検査することができる。
 第七条第五項の規定は、前項の場合について準用する。
 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第九十条  都道府県知事等は、第七十三条第一項又は第七十八条第一項の許可を受けた者に対し、当該許可に係る土地若しくは当該許可に係る特定開発行為に関する工事の状況について報告若しくは資料の提出を求め、又は当該土地における津波による人的災害を防止するために必要な助言若しくは勧告をすることができる。
 都道府県知事等は、第八十二条又は第八十七条第一項の許可を受けた者に対し、当該許可に係る建築物若しくは当該許可に係る特定建築行為に関する工事の状況について報告若しくは資料の提出を求め、又は当該建築物における津波による人的災害を防止するために必要な助言若しくは勧告をすることができる。

第九十一条  都道府県知事等は、第七十三条第一項又は第七十八条第一項の許可には、特定開発行為に係る土地における津波による人的災害を防止するために必要な条件を付することができる。
 都道府県知事等は、第八十二条又は第八十七条第一項の許可には、特定建築行為に係る建築物における津波による人的災害を防止するために必要な条件を付することができる。

第九十二条  都道府県知事は、津波が発生した場合には特別警戒区域内に存する建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれが大きいと認めるときは、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対し、当該建築物の移転その他津波による人的災害を防止し、又は軽減するために必要な措置をとることを勧告することができる。
 都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地の取得についてのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

   第十章 雑則

第九十三条  国は、津波防災地域づくりの推進に関する施策を実施するために必要な財政上、金融上及び税制上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

第九十四条  都道府県知事又は指定都市の長は、推進計画区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を国土利用計画法 (昭和四十九年法律第九十二号)第二十七条の六第一項 の規定により監視区域として指定するよう努めるものとする。

第九十五条  国は、推進計画区域における地籍調査の推進を図るため、地籍調査の推進に資する調査を行うよう努めるものとする。

第九十六条  この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。

第九十七条  この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、命令で定める。

第九十八条  この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

   第十一章 罰則

第九十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第二十二条第一項の規定に違反して、津波防護施設区域を占用した者
 第二十三条第一項の規定に違反して、同項各号に掲げる行為をした者
 第七十三条第一項又は第七十八条第一項の規定に違反して、特定開発行為をした者
 第八十条の規定に違反して、第七十三条第一項の制限用途の建築物の建築をした者
 第八十二条又は第八十七条第一項の規定に違反して、特定建築行為をした者
 第八十八条第一項の規定による都道府県知事等の命令に違反した者

第百条  次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 第七条第七項(第三十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、土地の立入り又は一時使用を拒み、又は妨げた者
 第八十九条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

第百一条  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 第五十一条第三項の規定に違反した者
 第五十二条第一項の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして、同項各号に掲げる行為をした者
 第九十条第一項又は第二項の規定による報告又は資料の提出を求められて、報告若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者

第百二条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第百三条  第五十八条、第七十八条第三項、第八十一条第一項又は第八十七条第四項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の過料に処する。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第九章、第九十九条(第三号から第六号までに係る部分に限る。)、第百条(第二号に係る部分に限る。)、第百一条(第三号に係る部分に限る。)及び第百三条(第五十八条に係る部分を除く。)の規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
   附 則 (平成二六年五月三〇日法律第四二号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 目次の改正規定(「第二節 中核市に関する特例 第三節 特例市に関する特例」を「第二節 中核市に関する特例」に改める部分に限る。)、第二百五十二条の二十二第一項の改正規定、第二編第十二章第三節を削る改正規定、第二百六十条の三十八を第二百六十条の四十とする改正規定及び第二百六十条の三十七の次に二条を加える改正規定並びに次条、附則第三条、第三十三条、第三十四条、第四十条、第四十一条、第四十五条から第四十八条まで、第五十一条、第五十二条、第五十四条、第五十五条、第五十八条、第五十九条、第六十三条、第六十四条、第六十八条、第六十九条及び第七十一条から第七十五条までの規定 平成二十七年四月一日

(津波防災地域づくりに関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第七十五条  施行時特例市に対する前条の規定による改正後の津波防災地域づくりに関する法律第七十三条第一項及び第三項の規定の適用については、同条第一項中「又は同法」とあるのは「、同法」と、「「中核市」とあるのは「「中核市」という。)又は地方自治法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第四十二号)附則第二条に規定する施行時特例市(第三項において「施行時特例市」と、同条第三項中「及び中核市」とあるのは「、中核市及び施行時特例市」とする。