特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法¶
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(平成二十三年十二月十六日法律第百二十六号)
最終改正:平成二六年五月三〇日法律第四二号
(最終改正までの未施行法令) | |
平成二十六年五月三十日法律第四十二号 | (未施行) |
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等(第三条―第二十五条)
第三章 社会保険診療報酬支払基金の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務(第二十六条―第三十六条)
第四章 費用(第三十七条・第三十八条)
第五章 雑則(第三十九条―第四十一条)
第六章 罰則(第四十二条―第四十五条)
附則
第一条
この法律は、集団予防接種等の際の注射器の連続使用により、多数の者にB型肝炎ウイルスの感染被害が生じ、かつ、その感染被害が未曽有のものであることに鑑み、特定B型肝炎ウイルス感染者及びその相続人に対し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給するための措置を講ずることにより、この感染被害の迅速かつ全体的な解決を図ることを目的とする。
第二条
この法律において「集団予防接種等の際の注射器の連続使用」とは、昭和二十三年七月一日から昭和六十三年一月二十七日までの間において、市町村長、都道府県知事その他厚生労働省令で定める者が、その期日又は期間及び場所を指定して行った予防接種又はツベルクリン反応検査のうち、当該予防接種又はツベルクリン反応検査が実施された日において施行されていた法律であって厚生労働省令で定めるものの規定に基づくものが行われた際に、注射針、注射筒その他厚生労働省令で定める医療機器を当該予防接種又はツベルクリン反応検査を受ける者ごとに取り替えることなく、使用したことをいう。
2
この法律において「特定B型肝炎ウイルス感染者」とは、七歳に達するまでの間における集団予防接種等の際の注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した者であって当該B型肝炎ウイルスが持続的に生体内に存在する状態として厚生労働省令で定めるもの(以下この条において「持続感染の状態」という。)になったもの及びその者の胎内又は産道においてB型肝炎ウイルスに感染した者(以下「母子感染者」という。)その他母子感染者に類する者として厚生労働省令で定めるもの(以下「母子感染者に類する者」という。)であって持続感染の状態になったものをいう。
3
この法律において「確定判決等」とは、七歳に達するまでの間における集団予防接種等の際の注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した者が持続感染の状態になったこと又は母子感染者その他母子感染者に類する者が持続感染の状態になったことによって生じた損害の賠償に係る確定判決又は和解若しくは調停であって、その相手方に国が含まれるものをいう。
4
この法律において「訴えの提起等」とは、七歳に達するまでの間における集団予防接種等の際の注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した者が持続感染の状態になったこと又は母子感染者その他母子感染者に類する者が持続感染の状態になったことによって生じた損害の賠償の請求に係る訴えの提起又は和解若しくは調停の申立てであって、その相手方に国が含まれるものをいう。
第三条
社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)は、特定B型肝炎ウイルス感染者(特定B型肝炎ウイルス感染者がこの法律の施行前に死亡している場合にあっては、その相続人)に対し、その者の請求に基づき、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金を支給する。ただし、当該特定B型肝炎ウイルス感染者について既に特定B型肝炎ウイルス感染者給付金が支給されている場合は、この限りでない。
2
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その者がその死亡前に特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給の請求をしていなかったときは、その者の相続人は、自己の名で、その者の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を請求することができる。
3
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けることができる同順位の相続人が二人以上あるときは、その一人がした請求は、その全額について全員のためにしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
第四条
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給の請求をするには、厚生労働省令で定めるところにより、当該請求をする者又はその被相続人が特定B型肝炎ウイルス感染者であること及びその者が第六条第一項各号のいずれかに該当する者であることを証する確定判決等の判決書又は調書の正本又は謄本を提出しなければならない。
第五条
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給の請求は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに行わなければならない。
一
この法律の施行の日から起算して五年を経過する日(次号において「経過日」という。)
二
訴えの提起等を経過日以前にした場合における当該訴えに係る判決が確定した日又は当該和解若しくは調停が成立した日(以下「判決確定日等」という。)から起算して一月を経過する日
第六条
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の額は、次の各号に掲げる特定B型肝炎ウイルス感染者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一
B型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変(重度のものに限る。)若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者(当該肝硬変(当該肝がんにり患した者にあっては、当該肝がん)を発症した時(当該死亡した者にあっては、当該死亡した時)から二十年を経過した後にされた訴えの提起等に係る者を除く。) 三千六百万円
二
B型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変(重度のものを除く。)にり患した者(当該肝硬変を発症した時から二十年を経過した後にされた訴えの提起等に係る者及びB型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変(重度のものに限る。)若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者を除く。) 二千五百万円
三
慢性B型肝炎にり患した者(当該慢性B型肝炎を発症した時から二十年を経過した後にされた訴えの提起等に係る者及びB型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者を除く。) 千二百五十万円
四
慢性B型肝炎にり患した者のうち、当該慢性B型肝炎を発症した時から二十年を経過した後にされた訴えの提起等に係る者であって、現に当該慢性B型肝炎にり患しているもの又は現に当該慢性B型肝炎にり患していないが、当該慢性B型肝炎の治療を受けたことのあるもの(これらの者のうち、B型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者を除く。) 三百万円
五
慢性B型肝炎にり患した者のうち、当該慢性B型肝炎を発症した時から二十年を経過した後にされた訴えの提起等に係る者であって、前号に掲げる者以外のもの(B型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者を除く。) 百五十万円
六
前各号に掲げる者以外の者(集団予防接種等の際の注射器の連続使用の時(母子感染者にあっては出生の時、母子感染者に類する者にあっては当該感染の原因となった事実が発生した時として厚生労働省令で定める時)から二十年を経過した後にされた訴えの提起等に係る者及びB型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者を除く。) 六百万円
七
前各号に掲げる者以外の者(B型肝炎ウイルスに起因して、肝硬変若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者を除く。) 五十万円
2
前項に規定する特定B型肝炎ウイルス感染者の病態その他の同項各号のいずれかに掲げる特定B型肝炎ウイルス感染者に該当するかどうかの基準は、厚生労働省令で定める。
第七条
特定B型肝炎ウイルス感染者又はその相続人が、確定判決等に係る訴訟又は和解若しくは調停に関し、特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査に要する費用として厚生労働省令で定めるものを支出したとき又は弁護士若しくは弁護士法人に報酬を支払うべきときは、支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を請求する者に対し、その者の請求に基づき、訴訟手当金を支給する。
2
訴訟手当金の額は、前項に規定する厚生労働省令で定める費用に係るものにあっては当該検査に通常要する費用を考慮して厚生労働省令で定める額とし、弁護士又は弁護士法人に支払うべき報酬に係るものにあっては当該者に支給される特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の額に百分の四を乗じて得た額とする。
3
第三条第二項及び第三項の規定は訴訟手当金の支給について、第五条の規定は訴訟手当金の支給の請求について準用する。
第八条
支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けた特定B型肝炎ウイルス感染者であって、B型肝炎ウイルスに起因して新たに第六条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至ったものに対し、その者の請求に基づき、追加給付金を支給する。
2
第三条第二項及び第三項の規定は、追加給付金の支給について準用する。
第九条
追加給付金の支給の請求をするには、厚生労働省令で定めるところにより、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けた特定B型肝炎ウイルス感染者がB型肝炎ウイルスに起因して、第六条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当していることを証明する医師の診断書を提出しなければならない。
第十条
追加給付金の支給の請求は、その請求をする者が、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けた特定B型肝炎ウイルス感染者がB型肝炎ウイルスに起因して新たに第六条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至ったことを知った日から起算して三年以内に行わなければならない。
第十一条
追加給付金の額は、第六条第一項第一号から第三号までに掲げる特定B型肝炎ウイルス感染者の区分に応じ、同項第一号から第三号までに定める額から、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額を控除した額とする。
一
初めて追加給付金の支給を受ける場合 第三条第一項の規定により支給された特定B型肝炎ウイルス感染者給付金(第六条第一項第四号、第五号又は第七号に掲げる者に対して支給されたものを除く。次号において同じ。)の額
二
既に追加給付金の支給を受けたことがある場合 第三条第一項の規定により支給された特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の額及び第八条第一項の規定により支給された追加給付金の額の合計額
第十二条
支払基金は、確定判決等において第六条第一項第七号に該当する者であることを証された特定B型肝炎ウイルス感染者(追加給付金の支給を受けた者を除く。以下「特定無症候性持続感染者」という。)が、判決確定日等以後に、病院又は診療所から慢性B型肝炎又は肝がんの発症を確認するための定期的な検査であって厚生労働省令で定めるもの(以下「定期検査」という。)を受けたときは、当該特定無症候性持続感染者に対し、その者の請求に基づき、定期検査費を支給する。
2
定期検査費の支給の請求は、その請求をすることができる時から五年を経過したときは、することができない。
3
定期検査費の額は、当該定期検査に要する費用の額から、健康保険法
(大正十一年法律第七十号)その他の政令で定める法律(以下「健康保険法
等」という。)の規定により当該特定無症候性持続感染者が受け、又は受けることができた当該定期検査に関する給付の額を控除した額とする。
4
前項の定期検査に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定するものとする。ただし、現に要した費用の額を超えることができない。
5
第三条第二項及び第三項の規定は、定期検査費の支給について準用する。
第十三条
支払基金は、特定無症候性持続感染者が出産した場合において、当該特定無症候性持続感染者又はその子(以下「特定無症候性持続感染者の子」という。)が、判決確定日等以後に、病院又は診療所から当該特定無症候性持続感染者の子がB型肝炎ウイルスに感染することを防止するための検査又は血液製剤若しくはワクチンの投与であって厚生労働省令で定めるもの(以下「母子感染防止医療」という。)を受けたときは、当該特定無症候性持続感染者に対し、その者の請求に基づき、母子感染防止医療費を支給する。
2
母子感染防止医療費の額は、当該母子感染防止医療に要する費用の額から、健康保険法
等の規定により当該特定無症候性持続感染者又は当該特定無症候性持続感染者の子が受け、又は受けることができた当該母子感染防止医療に関する給付の額を控除した額とする。
3
第三条第二項及び第三項の規定は母子感染防止医療費の支給について、前条第二項の規定は母子感染防止医療費の支給の請求について、同条第四項の規定は前項の母子感染防止医療に要する費用の額の算定について準用する。
第十四条
支払基金は、判決確定日等以後に特定無症候性持続感染者と同一の世帯に属する者となった者(母子感染防止医療の対象となる者を除く。以下「特定無症候性持続感染者の同一世帯所属者」という。)が、判決確定日等以後に、病院又は診療所からB型肝炎ウイルスに感染することを防止するための検査又はワクチンの投与であって厚生労働省令で定めるもの(以下「世帯内感染防止医療」という。)を受けたときは、当該特定無症候性持続感染者に対し、その者の請求に基づき、世帯内感染防止医療費を支給する。
2
世帯内感染防止医療費の額は、当該世帯内感染防止医療に要する費用の額から、健康保険法
等の規定により当該特定無症候性持続感染者の同一世帯所属者が受け、又は受けることができた当該世帯内感染防止医療に関する給付の額を控除した額とする。
3
第三条第二項及び第三項の規定は世帯内感染防止医療費の支給について、第十二条第二項の規定は世帯内感染防止医療費の支給の請求について、同条第四項の規定は前項の世帯内感染防止医療に要する費用の額の算定について準用する。
第十五条
支払基金は、第十二条第一項の規定により特定無症候性持続感染者が定期検査を受けたときは、当該特定無症候性持続感染者に対し、その者の請求に基づき、年を単位として定期検査二回までに限り、定期検査手当を支給する。
2
定期検査手当の額は、定期検査一回につき一万五千円とする。
3
第三条第二項及び第三項の規定は定期検査手当の支給について、第十二条第二項の規定は定期検査手当の支給の請求について準用する。
2
特定無症候性持続感染者が、受給者証を提示して、健康保険法第六十三条第三項第一号
に規定する保険医療機関その他病院又は診療所であって厚生労働省令で定めるもの(以下「保険医療機関等」という。)から定期検査又は母子感染防止医療を受けた場合においては、支払基金は、定期検査費又は母子感染防止医療費(特定無症候性持続感染者に対する母子感染防止医療に係る部分に限る。以下この条及び第二十四条において同じ。)として当該特定無症候性持続感染者に支給すべき額の限度において、その者が当該定期検査又は母子感染防止医療に関し当該保険医療機関等に支払うべき費用を、当該特定無症候性持続感染者に代わり、当該保険医療機関等に支払うことができる。
3
前項の規定による支払があったときは、当該特定無症候性持続感染者に対し、定期検査費又は母子感染防止医療費の支給があったものとみなす。
4
健康保険法
等の規定による被保険者又は組合員である特定無症候性持続感染者が、受給者証を提示して、保険医療機関等から定期検査又は母子感染防止医療を受ける場合には、健康保険法
等の規定により当該保険医療機関等に支払うべき一部負担金は、健康保険法
等の規定にかかわらず、当該定期検査又は母子感染防止医療に関し支払基金が第二項の規定による支払をしない旨の決定をするまでは、支払うことを要しない。
第十七条
支払基金は、前条第二項の規定による支払をなすべき額を決定するに当たっては、社会保険診療報酬支払基金法
(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会、国民健康保険法
(昭和三十三年法律第百九十二号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
2
支払基金は、前条第二項の規定による支払に関する事務を国民健康保険団体連合会その他厚生労働省令で定める者に委託することができる。
第十八条
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金、訴訟手当金、追加給付金、定期検査費、母子感染防止医療費、世帯内感染防止医療費又は定期検査手当(以下「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等」という。)の支給を受ける権利を有する者に対し、同一の事由について、国により損害のてん補がされた場合(この法律の施行前に、既に国により損害のてん補がされている場合を含む。)においては、支払基金は、その価額の限度において特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給する義務を免れる。
2
国が国家賠償法
(昭和二十二年法律第百二十五号)、民法
(明治二十九年法律第八十九号)その他の法律による損害賠償の責任を負う場合において、支払基金がこの法律による特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給したときは、同一の事由については、国は、その価額の限度においてその損害賠償の責任を免れる。
第十九条
定期検査費、母子感染防止医療費又は世帯内感染防止医療費(第二十三条第一項において「定期検査費等」という。)は、特定無症候性持続感染者、特定無症候性持続感染者の子又は特定無症候性持続感染者の同一世帯所属者に対し、健康保険法
等以外の法令(条例を含む。)の規定により定期検査、母子感染防止医療又は世帯内感染防止医療(同項において「定期検査等」という。)に関する給付が行われるべき場合には、その給付の限度において、支給しない。
第二十一条
偽りその他不正の手段により特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給を受けた者があるときは、支払基金は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2
前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
第二十三条
支払基金は、定期検査費等の支給に関し必要があると認めるときは、当該定期検査費等に係る定期検査等を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った定期検査等につき、報告若しくは診療録その他の物件の提示を求め、又は当該職員に質問させることができる。
2
前項の規定による質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3
第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第二十四条
支払基金は、第十六条第二項の規定による保険医療機関等に対する定期検査費又は母子感染防止医療費の支払に関し必要があると認めるときは、保険医療機関等の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員に、保険医療機関等についてその管理者の同意を得て、実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。
2
前条第二項の規定は前項の規定による検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。
3
支払基金は、保険医療機関等の管理者が、正当な理由がなく第一項の規定による報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は正当な理由がなく同項の同意を拒んだときは、当該保険医療機関等に対する定期検査費又は母子感染防止医療費の支払を一時差し止めることができる。
第三章 社会保険診療報酬支払基金の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務
第二十六条
支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法第十五条
に規定する業務のほか、第一条に規定する目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給すること。
二
前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2
前項に規定する業務は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務という。
2
前項の業務方法書に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。
第二十九条
支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に関し、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
第三十条
支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に関し、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2
支払基金は、前項の規定により財務諸表を厚生労働大臣に提出するときは、厚生労働省令で定めるところにより、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
3
支払基金は、第一項の規定による厚生労働大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表又はその要旨を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見書を、各事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
第三十一条
支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に関し、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2
支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に関し、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は繰越欠損金として整理しなければならない。
3
支払基金は、予算をもって定める金額に限り、第一項の規定による積立金を特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に要する費用(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務の事務の執行に要する費用を含む。第三十八条において同じ。)に充てることができる。
2
前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3
前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
第三十三条
支払基金は、次の方法によるほか、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に係る業務上の余裕金を運用してはならない。
一
国債その他厚生労働大臣が指定する有価証券の保有
二
銀行その他厚生労働大臣が指定する金融機関への預金
第三十五条
厚生労働大臣は、支払基金又は第十七条第二項の規定による委託を受けた者(以下「受託者」という。)について、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に関し必要があると認めるときは、その業務又は財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させることができる。ただし、受託者に対しては、当該受託業務の範囲内に限る。
2
第二十三条第二項の規定は前項の規定による検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。
(社会保険診療報酬支払基金法
の適用の特例)
第三十六条
第十七条第一項の規定に基づき社会保険診療報酬支払基金法
に定める審査委員会が意見を述べる場合における同法第十六条第一項
の規定の適用については、同項
中「行うため」とあるのは、「行うため並びに特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(平成二十三年法律第百二十六号)第十七条第一項の規定に基づき意見を述べるため」とする。
第三十七条
支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に要する費用(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務の事務の執行に要する費用を除く。)に充てるため、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金を設ける。
2
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金は、次条の規定により交付された資金及び当該特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金の運用によって生じた利子その他の収入金の合計額に相当する額から特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務の事務の執行に要する費用に相当する金額を控除した金額をもって充てるものとする。
3
第三十三条及び第三十四条(第二号に係る部分に限る。)の規定は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金の運用について準用する。
4
支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務を廃止する場合において、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金に残余があるときは、当該残余の額を国庫に納付しなければならない。
第三十九条
市町村長(特別区及び地方自治法
(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項
に規定する指定都市においては、区長とする。)は、支払基金又は特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給を受けようとする者に対して、当該市町村(特別区を含む。)の条例で定めるところにより、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給を受けようとする者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
第四十一条
この法律に定めるもののほか、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給の請求の手続、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に係る支払基金の財務及び会計に関し必要な事項その他この法律を実施するため必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第四十二条
第二十五条の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第四十三条
支払基金又は受託者の役員又は職員が、第三十五条第一項の規定により報告を求められて、これに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、五十万円以下の罰金に処する。
第四十四条
支払基金の役員が次の各号のいずれかに該当するときは、二十万円以下の過料に処する。
一
この法律により厚生労働大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二
第三十三条(第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
第四十五条
第二十三条第一項の規定により報告若しくは診療録その他の物件の提示を求められて、これに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者は、十万円以下の過料に処する。
附 則 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一章、第三章、第四章、第四十条、第四十一条、第四十三条及び第四十四条の規定並びに附則第六条の規定は、公布の日から施行する。
(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の請求期限等の検討)
第二条
政府は、この法律の施行後五年を目途として、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給の請求の状況を勘案し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の請求期限及び特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に要する費用の財源について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(先行訴訟原告等についての訴訟手当金の特例)
第三条
平成二十三年一月十一日以前に訴えの提起等をし、確定判決等において特定B型肝炎ウイルス感染者であることを証された者に係る第七条第二項の規定の適用については、同項中「百分の四」とあるのは、「百分の十」とする。
(長期借入金等)
第四条
支払基金は、平成二十四年度から平成二十七年度までの間において、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に関し、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金をすることができる。
2
前項の規定による長期借入金は、平成二十八年度までの間に償還するものとする。
3
政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内で、第一項の規定による支払基金の長期借入金に係る債務について保証することができる。
4
厚生労働大臣は、第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
(平成二十四年度から平成二十八年度までにおける交付金の財源)
第五条
政府は、平成二十四年度から平成二十八年度までの各年度において第三十八条の規定により支払基金に対して交付する資金については、平成二十四年度において必要な財政上及び税制上の措置を講じて、確保するものとする。
(政令への委任)
第六条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (平成二六年五月三〇日法律第四二号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。