内水面漁業の振興に関する法律

内水面漁業の振興に関する法律
(平成二十六年六月二十七日法律第百三号)



 第一章 総則(第一条―第八条)
 第二章 基本方針等(第九条・第十条)
 第三章 内水面漁業の振興に関する施策
  第一節 内水面水産資源の生息状況等の調査(第十一条)
  第二節 内水面水産資源の回復に関する施策(第十二条―第十四条)
  第三節 内水面における漁場環境の再生に関する施策(第十五条―第十九条)
  第四節 内水面漁業の健全な発展に関する施策(第二十条―第二十五条)
  第五節 指定養殖業の許可及び届出養殖業の届出(第二十六条―第三十四条)
 第四章 協議会(第三十五条)
 第五章 罰則(第三十六条―第四十条)
 附則

   第一章 総則

第一条  この法律は、内水面漁業の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、内水面漁業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、内水面漁業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって内水面における漁業生産力を発展させ、あわせて国民生活の安定向上及び自然環境の保全に寄与することを目的とする。

第二条  内水面漁業の振興に関する施策は、内水面漁業が水産物の供給の機能及び多面的機能を有しており、国民生活の安定向上及び自然環境の保全に重要な役割を果たしていることに鑑み、内水面漁業の有する水産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮され、将来にわたって国民がその恵沢を享受することができるようにすることを旨として、講ぜられなければならない。

第三条  この法律において「内水面漁業」とは、内水面における水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう。
 この法律において「多面的機能」とは、生態系その他の自然環境の保全、集落等の地域社会の維持、文化の伝承、自然体験活動等の学習の場並びに交流及び保養の場の提供等内水面漁業の生産活動が行われることにより生ずる水産物の供給の機能以外の多面にわたる機能をいう。
 この法律において「内水面漁業者」とは、内水面漁業を営む者をいう。

第四条  国は、第二条の基本理念(次条において単に「基本理念」という。)にのっとり、内水面漁業の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

第五条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、内水面漁業の振興に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第六条  内水面漁業者は、内水面における水産資源(以下「内水面水産資源」という。)の回復、内水面における漁場環境の保全等の取組を自ら行うとともに、国又は地方公共団体が実施する内水面漁業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第七条  国は、内水面漁業の振興に関する施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

第八条  国及び地方公共団体は、内水面漁業の振興に関する施策を効果的に実施するため、国、関係地方公共団体、海面及び内水面に係る漁業協同組合その他の関係者相互間の連携協力体制の整備に努めるものとする。

   第二章 基本方針等

第九条  農林水産大臣は、内水面漁業の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 内水面漁業の振興に関する基本的方向
 内水面水産資源の回復に関する基本的事項
 内水面における漁場環境の再生に関する基本的事項
 内水面漁業の健全な発展に関する基本的事項
 その他内水面漁業の振興に関する重要事項
 基本方針は、水産基本法 (平成十三年法律第八十九号)第十一条第一項 の水産基本計画との調和が保たれたものでなければならない。
 農林水産大臣は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣及び環境大臣に協議し、それらの同意を得るとともに、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
 農林水産大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 農林水産大臣は、内水面漁業をめぐる情勢の変化を勘案し、及び内水面漁業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本方針を変更するものとする。
 第四項及び第五項の規定は、基本方針の変更について準用する。

第十条  都道府県は、当該都道府県の区域にある内水面について、内水面水産資源の回復に関する施策及び内水面における漁場環境の再生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する必要があると認めるときは、基本方針に即して、これらの施策の実施に関する計画(以下この条において単に「計画」という。)を定めるよう努めるものとする。
 都道府県は、計画を定めようとする場合において、当該計画に係る内水面について河川管理者(河川法 (昭和三十九年法律第百六十七号)第七条同法第百条第一項 において準用する場合を含む。)に規定する河川管理者(同法第九条第二項 又は第五項 の規定により都道府県知事又は指定都市(地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 に規定する指定都市をいう。)の長が指定区間(河川法第九条第二項 に規定する指定区間をいう。)内の一級河川の管理の一部を行う場合にあっては、当該都道府県知事又は当該指定都市の長)をいう。第三十五条第三項において同じ。)があるときは、あらかじめ、当該河川管理者に協議しなければならない。
 都道府県は、計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。
 前二項の規定は、計画の変更について準用する。

   第三章 内水面漁業の振興に関する施策

    第一節 内水面水産資源の生息状況等の調査

第十一条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源の回復に関する施策及び内水面における漁場環境の再生に関する施策を総合的かつ効果的に実施するため、内水面水産資源の生息の状況及び生息環境その他これらの施策の実施に関し必要な事項について調査を行うよう努めるものとする。

    第二節 内水面水産資源の回復に関する施策

第十二条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源の増殖及び養殖の推進を図るため、自然環境との調和に配慮しつつ、内水面水産資源の種苗の生産及び放流の推進、増殖及び養殖に関する技術の研究開発の推進並びにその成果の普及その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
 国及び地方公共団体は、水害等による内水面水産資源に係る被害が甚大である場合において特に必要があると認めるときは、内水面水産資源を緊急に回復するための種苗の放流の実施等に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十三条  国及び地方公共団体は、オオクチバス等の特定外来生物(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 (平成十六年法律第七十八号)第二条第一項 に規定する特定外来生物をいう。)及びカワウ等の鳥獣(鳥類又は哺乳類に属する野生生物をいう。)(以下この条において「特定外来生物等」と総称する。)による内水面水産資源に対する被害を防止するため、当該被害を防止するための措置の実施に対する支援、特定外来生物等の効果的な駆除のための技術開発、特定外来生物等の広域的な個体数を管理する手法の開発その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十四条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源に係る伝染性疾病の予防及びまん延の防止を図るため、必要な情報の提供、内水面水産資源に係る移動の制限その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

    第三節 内水面における漁場環境の再生に関する施策

第十五条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育に資する水質の確保を図るため、下水道、浄化槽その他の排水処理施設の整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十六条  国及び地方公共団体は、内水面における豊かな水量が内水面水産資源の保全及び栄養塩類の海への円滑な流入による海洋水産資源の保全に資することに鑑み、内水面における水量の確保を図るため、雨水を地下に浸透させる機能を有する施設の普及その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十七条  国及び地方公共団体は、森林の有する水源の涵養の機能の発揮により良質な水の安定供給を確保する観点から、内水面水産資源の生育環境の保全及び改善に資するよう、森林の整備及び保全に努めるものとする。

第十八条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育に資するため、魚道の整備及びその適切な維持管理、産卵場の造成その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十九条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育環境の改善その他内水面に係る生態系の保全に資するよう、自然との共生及び環境との調和に配慮した河川の整備を推進するよう努めるものとする。

    第四節 内水面漁業の健全な発展に関する施策

第二十条  国及び地方公共団体は、効率的かつ安定的な内水面漁業の経営を育成するため、内水面に係る漁業協同組合に対し、技術及び経営についての助言及び指導その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十一条  国及び地方公共団体は、内水面漁業の有する多面的機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるよう、内水面漁業者が行う多面的機能の発揮に資する取組に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十二条  国及び地方公共団体は、効率的かつ安定的な内水面漁業の経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、内水面漁業者の漁業の技術及び経済管理能力の向上、新たに内水面漁業に就業しようとする者に対する就業に関する相談等の援助並びに内水面漁業の技術及び経営方法の習得の促進その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十三条  国及び地方公共団体は、国民の需要に即した内水面水産資源の生産並びに加工及び流通が行われるよう、内水面水産資源の食材としての品質の向上の取組、内水面水産資源に係る商品の開発及び需要の開拓の取組等に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十四条  国及び地方公共団体は、回遊魚類(内水面と海面との間を往来する水産動物をいう。以下この条において同じ。)の持続的な利用の確保を図るため、回遊魚類の増殖の取組に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二十五条  国及び地方公共団体は、内水面漁業に対する国民の理解と関心を深めるよう、内水面漁業の意義に関する広報活動、川辺における自然体験活動に対する支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるとともに、内水面水産資源の適切な管理に資するため、遊漁規則(漁業法 (昭和二十四年法律第二百六十七号)第百二十九条第一項 の遊漁規則をいう。)等の遵守に関する啓発活動その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

    第五節 指定養殖業の許可及び届出養殖業の届出

第二十六条  漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる養殖業であって政令で定めるもの(以下「指定養殖業」という。)を営もうとする者は、養殖場ごとに、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
 指定養殖業の許可は、養殖場において養殖することができる水産動植物の量を定めて行うものとする。
 第一項の政令は、当該養殖業に係る内水面水産資源の持続的な利用の確保又は内水面漁業の持続的かつ健全な発展のため養殖業を営む者及びその養殖場について制限措置を講ずる必要があり、かつ、政府間の取決めその他の関係上当該措置を統一して講ずることが適当であると認められる養殖業について定めるものとする。
 第一項の政令を制定し又は改廃する場合には、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
 農林水産大臣は、第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
 農林水産大臣は、第一項の許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、その者に対し許可証を交付する。

第二十七条  指定養殖業の許可を受けた者(以下「許可養殖業者」という。)が農林水産省令で定める期間以上にわたって休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ農林水産大臣に届け出なければならない。

第二十八条  漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる指定養殖業以外の養殖業であって政令で定めるもの(以下「届出養殖業」という。)を営もうとする者は、養殖場ごとに、その養殖業を開始する日の一月前までに、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない。
 名称又は氏名及び住所
 法人にあっては、その代表者の氏名及び住所
 養殖場の名称及び所在地
 その他農林水産省令で定める事項
 前項の規定による届出をした者(以下「届出養殖業者」という。)は、同項各号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
 届出養殖業者は、当該届出に係る事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
 第一項の政令は、当該養殖業に係る内水面水産資源の持続的な利用の確保又は内水面漁業の持続的かつ健全な発展のためその実態を把握する必要があると認められる養殖業について定めるものとする。
 第二十六条第四項及び第五項の規定は、第一項の政令について準用する。

第二十九条  許可養殖業者及び届出養殖業者は、農林水産省令で定めるところにより、指定養殖業又は届出養殖業を行う養殖場ごとの当該養殖業に係る実績報告書を作成し、農林水産大臣に提出しなければならない。
 前項の実績報告書には、農林水産省令で定めるところにより、指定養殖業又は届出養殖業を行う養殖場ごとの当該養殖業に係る水産動植物の量その他養殖業の実態に関する事項を記載しなければならない。

第三十条  指定養殖業の許可に関しては、漁業法第三章(第五十二条から第五十五条まで、第五十六条第一項第三号、第五十八条の二第一項ただし書及び第五項、第五十九条第四号並びに第六十二条の二第二項を除く。)及び第百三十三条の規定を準用する。この場合において、これらの規定中「指定漁業」とあるのは「指定養殖業」と、同法第五十八条第一項中「水産動植物の繁殖保護又は漁業調整」とあるのは「内水面水産資源の持続的な利用の確保又は内水面漁業の持続的かつ健全な発展」と、「船舶の総トン数別の隻数又は総トン数別及び操業区域別若しくは操業期間別の隻数」とあるのは「指定養殖業に係る水産動植物の総量(以下単に「総量」という。)」と、同条第四項中「水産動植物の繁殖保護又は漁業調整」とあるのは「内水面水産資源の持続的な利用の確保又は内水面漁業の持続的かつ健全な発展」と、同法第五十八条の二第二項中「係る船舶の隻数」とあるのは「係る水産動植物の量の合計」と、「公示した船舶の隻数」とあるのは「公示した総量」と、同条第三項中「係る船舶の隻数」とあるのは「係る水産動植物の量の合計」と、「公示した船舶の隻数」とあるのは「公示した総量」と、「次に掲げる」とあるのは「現に当該指定養殖業の許可を受けている者が当該指定養殖業の許可の有効期間の満了日の到来のため当該許可に係る養殖場と同一の養殖場についてした」と、「次の順序に従つて」とあるのは「当該許可において定められた水産動植物の量について」と、同条第四項中「係る船舶の隻数」とあるのは「係る水産動植物の量の合計」と、「公示した船舶の隻数」とあるのは「公示した総量」と、同項第一号中「船舶(母船式漁業にあつては、母船又は独航船等。第六項において同じ。)の申請者別隻数」とあるのは「水産動植物の申請者別の量」と、同法第六十条第三項中「水産動植物の繁殖保護又は漁業調整」とあるのは「内水面水産資源の持続的な利用の確保又は内水面漁業の持続的かつ健全な発展」と、同法第六十三条第一項中「第三十五条(休業の届出)、第三十七条第一項」とあるのは「第三十七条第一項」と、「「公益上必要があると認めるときは、免許をするにあたり、」とあるのは「公益上必要があると認めるときは、」」とあるのは「「漁業調整その他公益上必要があると認めるときは、免許をするにあたり、」とあるのは「内水面水産資源の持続的な利用の確保、内水面漁業の持続的かつ健全な発展その他公益上必要があると認めるときは、」」と、「「漁業調整」とあるのは「水産動植物の繁殖保護、漁業調整」」とあるのは「「漁業調整」とあるのは「内水面水産資源の持続的な利用の確保、内水面漁業の持続的かつ健全な発展」」と読み替えるほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三十一条  農林水産大臣は、指定養殖業の許可その他この節の規定又は当該規定に基づく命令に規定する事項を処理するために必要があると認めるときは、許可養殖業者若しくは届出養殖業者に対し、指定養殖業若しくは届出養殖業に関して必要な報告を求め、又はその職員に養殖場、事業場若しくは事務所に立ち入り、その状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第三十二条  この節の規定又は当該規定に基づく命令の規定により農林水産大臣に提出する申請書その他の書類は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事を経由して提出しなければならない。

第三十三条  この節に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

第三十四条  この節に規定するもののほか、指定養殖業の許可又は届出養殖業の届出に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

   第四章 協議会

第三十五条  内水面において漁業法第六条第五項 に規定する共同漁業の免許を受けた者(以下この条において「共同漁業権者」という。)は、農林水産省令で定めるところにより、当該免許に係る都道府県知事に対し、当該免許に係る内水面における内水面水産資源の回復、内水面における漁場環境の再生その他内水面漁業の振興に関し必要な措置について協議を行うための協議会(以下この条において単に「協議会」という。)を設置するよう申し出ることができる。
 前項の申出に係る都道府県は、同項の協議が必要であると認めるときは、協議会を設置することができる。
 協議会は、当該協議会を設置する都道府県、第一項の規定により当該協議会の設置を申し出た共同漁業権者、当該協議会における協議に係る内水面について河川管理者がある場合には当該河川管理者、当該協議会における協議に係る事項について学識経験を有する者その他当該都道府県が必要と認める者で構成するものとする。

   第五章 罰則

第三十六条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
 第二十六条第一項の規定に違反して指定養殖業を営んだ者
 許可養殖業者であって第三十条において準用する漁業法第六十一条の規定に違反した者
 指定養殖業の許可に付けた制限又は条件に違反して指定養殖業を営んだ者
 指定養殖業の停止中その指定養殖業を営んだ者
 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
 第一項の場合においては、犯人が所有し、又は所持する水産動植物又はその製品は、没収することができる。ただし、犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。

第三十七条  第三十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第三十八条  第二十七条又は第二十八条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の罰金に処する。

第三十九条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第三十六条第一項、第三十七条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。

第四十条  第三十条において準用する漁業法第六十二条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章第五節及び第五章の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(施行のために必要な準備)
第二条  農林水産大臣は、第二十六条第一項又は第二十八条第一項の政令の制定の立案をしようとするときは、前条ただし書に規定する規定の施行前においても、水産政策審議会の意見を聴くことができる。

(その他の経過措置の政令への委任)
第三条  前条に定めるもののほか、この法律の施行に際し必要な経過措置は、政令で定める。

(平成二十三年原子力事故による被害等への対策)
第四条  国及び地方公共団体は、当分の間、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故(次項において「平成二十三年原子力事故」という。)により被害を受けた地域における内水面漁業の復興及び再生を推進するため、内水面に影響が少ない放射性物質による汚染の除去等の措置に係る技術の開発、事故由来放射性物質(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第一条に規定する事故由来放射性物質をいう。)による汚染の有無又はその状況が明らかになっていないことに起因する漁場の利用への支障及び内水面水産資源の販売の不振への対処の取組に対する支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
 前項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、当分の間、平成二十三年原子力事故による災害に伴い講ぜられた内水面水産資源の出荷を停止する措置及び内水面水産資源の採捕を禁止する等の措置により損失を受けた内水面に係る漁業協同組合を支援するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(検討)
第五条  政府は、この法律の施行後速やかに、内水面に排出又は放流される水についての実態を踏まえ、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)、浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)等による当該水に係る規制の在り方について、内水面における漁場環境の再生等の観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。