家事審判法施行法 抄

家事審判法施行法 抄
(昭和二十二年十二月六日法律第百五十三号)


   第一章 総則

第一条  この法律で、新民法 附則とは、この法律と同日に施行される民法 の一部を改正する法律の附則をいい、旧民法 とは、この法律と同日に施行される民法 の一部を改正する法律による改正前の民法 をいう。

第二条  家事審判法並びにこの法律による改正後の人事訴訟手続法及び非訟事件手続法 の規定は、特別の定のある場合を除いては、この法律施行前に生じた事項にもこれを適用する。但し、従前の人事調停法、人事訴訟手続法及び非訟事件手続法 の規定によつて生じた効力を妨げない。

   第二章 人事調停法に関する規定

第三条  人事調停法は、これを廃止する。但し、他の法律の適用上これによるべき場合には、この法律施行後も、なお、その効力を有する。

第四条  この法律施行の際現に地方裁判所に係属している人事調停事件は、この法律施行の日に、その地方裁判所の所在地を管轄する家事審判所に係属したものとみなす。
○2  前項の事件においてこの法律施行前に従前の人事調停法によつてした裁判所その他の者の行為は、家事審判法の適用については、これを同法によつてした行為とみなす。
○3 この法律施行の際現に地方裁判所以外の裁判所に係属している人事調停事件については、この法律施行後も、なお、従前の人事調停法の規定による。

第五条  この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、従前の人事調停法は、この法律施行後も、なお、その効力を有する。

   第三章 人事訴訟手続法に関する規定

第七条  新民法 附則によつて旧民法 を適用すべき場合については、この法律施行後も、なお、従前の人事訴訟手続法の規定による。

第八条  この法律施行の際現に裁判所に係属している夫婦の同居を目的とする訴、扶養の訴、親権又は財産管理権の喪失を目的とする訴及びその失権の取消を目的とする訴については、この法律施行後も、なお、従前の人事訴訟手続法の規定による。
○2  前項の規定による判決が確定したときは、その判決は、これを家事審判所の審判とみなす。

第九条  この法律施行前に確定した親権又は財産管理権の喪失を宣告する判決は、その取消に関しては、これを家事審判所の審判とみなす。

第十条  この法律施行前に裁判所がした扶養又は同居の義務に関する仮処分については、この法律施行後も、なお、従前の人事訴訟手続法の規定による。

第十一条  この法律施行の際現に裁判所に係属している離縁の訴で従前の人事訴訟手続法第二十五条第二項の規定によつて養子の実方の直系尊属が提起したものについては、この法律施行後も、なお、同項の規定の適用を妨げない。

第十二条  第七条の場合を除いて、この法律施行の際現に裁判所に係属している推定相続人の廃除又はその取消を目的とする訴については、この法律施行後も、なお、従前の人事訴訟手続法の規定による。この場合には、第八条第二項の規定を準用する。

第十三条  隠居の無効を目的とする訴については、この法律施行後も、なお、従前の人事訴訟手続法の規定による。

第十四条  この法律施行の際現に裁判所に係属している禁治産の申立事件は、この法律施行の日に、その裁判所の所在地を管轄する家事裁判所に係属したものとみなす。
○2  前項の事件においてこの法律施行前に従前の人事訴訟手続法によつてした裁判所その他の者の行為は、家事審判法の適用については、これを同法によつてした行為とみなす。

第十五条  禁治産の申立を却下する決定に対する即時抗告事件は、この法律施行の際現に裁判所に係属しているものに限り、これを家事審判所の審判に対する即時抗告事件とみなす。
○2  前条第二項の規定は、前項の即時抗告事件にこれを準用する。

第十六条  この法律施行前にした禁治産の宣告に対する不服の訴については、この法律施行後も、なお、従前の人事訴訟手続法の規定による。この場合には、第八条第二項の規定を準用する。

第十七条  第九条の規定は、この法律施行前にした禁治産の宣告に、第十四条の規定は、この法律施行の際現に裁判所に係属している禁治産の宣告の取消の申立事件に、第十五条の規定は、禁治産の宣告の取消の決定に対する即時抗告事件に、前条の規定は、この法律施行前にした禁治産の宣告の取消の申立を却下する決定に対する不服の訴にこれを準用する。

第十八条  第十四条乃至前条の規定は、準禁治産の宣告、その取消その他の準禁治産に関する事件にこれを準用する。

第十九条  第九条及び第十四条乃至第十六条の規定は、失踪の宣告その他の失踪に関する事件にこれを準用する。

第二十条  この法律施行の際現に裁判所に係属している失踪の宣告の取消の訴については、この法律施行後も、なお、従前の人事訴訟手続法の規定による。この場合には、第八条第二項の規定を準用する。

   第四章 非訟事件手続法 に関する規定

第二十二条  新民法 附則によつて旧民法 を適用すべき場合については、この法律施行後も、なお、従前の非訟事件手続法 の規定による。

第二十三条  前条の場合を除いて、この法律施行の際現に第一審として地方裁判所に係属している非訟事件で家事審判所の管轄に属するものは、この法律施行の日に、その裁判所の所在地を管轄する家事審判所に係属したものとみなす。
○2  前項の事件においてこの法律施行前に従前の非訟事件手続法 によつてした裁判所その他の者の行為は、家事審判法の適用については、これを同法 によつてした行為とみなす。

第二十四条  第二十二条の場合を除いて、この法律施行の際現に抗告裁判所に係属している非訟事件で家事審判所の管轄に属するものについては、この法律施行後も、なお、従前の非訟事件手続法 の規定による。
○2  抗告裁判所は、前項の事件において原決定を取り消して差し戻す場合には、管轄家事審判所に差し戻さなければならない。この場合には、前条第二項の規定を準用する。
○3  第一項の規定による裁判が確定したときは、その裁判は、これを家事審判所の審判とみなす。

第二十五条  この法律施行の際現に抗告裁判所に係属している親族会の決議に代わるべき裁判に対する抗告事件については、この法律施行後も、なお、従前の非訟事件手続法 の規定による。

   第五章 雑則

第二十六条  この法律に特別の定のある場合を除いて、この法律施行の際現に裁判所に係属している訴訟で家事審判所の管轄に属する事件に係るものについては、この法律施行後も、なお、民事訴訟法 の規定による。
○2  第八条第二項の規定は、前項の場合にこれを準用する。但し、新民法 附則によつて旧民法 を適用すべき場合については、この限りでない。

   附 則

 この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。