国有林野の管理経営に関する法律

国有林野の管理経営に関する法律
(昭和二十六年六月二十三日法律第二百四十六号)


最終改正:平成二四年六月二七日法律第四二号


 第一章 総則(第一条―第三条)
 第一章の二 管理経営に関する計画(第四条―第六条の四)
 第一章の三 調査業務の委託(第六条の五―第六条の十六)
 第二章 貸付け、使用及び売払い(第七条―第八条の四)
 第三章 分収造林(第九条―第十七条)
 第四章 分収育林(第十七条の二―第十七条の六)
 第五章 共用林野(第十八条―第二十四条)
 第六章 雑則(第二十五条)
 第七章 罰則(第二十六条・第二十七条)
 附則

   第一章 総則

第一条  この法律は、国有林野について、管理経営に関する計画を明らかにするとともに、貸付け、売払い等に関する事項を定めることにより、その適切かつ効率的な管理経営の実施を確保することを目的とする。
 国有林野の取得、維持、保存及び運用並びに処分についての国有財産法 (昭和二十三年法律第七十三号)の特例は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

第二条  この法律において「国有林野」とは、次に掲げるものをいう。
 国の所有に属する森林原野であつて、国において森林経営の用に供し、又は供するものと決定したもの
 国の所有に属する森林原野であつて、国民の福祉のための考慮に基づき森林経営の用に供されなくなり、国有財産法第三条第三項 の普通財産となつているもの(同法第四条第二項 の所管換又は同条第三項 の所属替をされたものを除く。)
 この法律において「国有林野事業」とは、国有林野の管理経営(国有林野と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備及び保全であつて、国が行うものを含む。以下同じ。)の事業をいう。

第三条  国有林野の管理経営の目標は、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することにあるものとする。

   第一章の二 管理経営に関する計画

第四条  農林水産大臣は、政令で定めるところにより、五年ごとに、十年を一期とする国有林野の管理経営に関する基本計画(以下「管理経営基本計画」という。)を定めなければならない。
 管理経営基本計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 国有林野の管理経営に関する基本方針
 国有林野の維持及び保存に関する基本的な事項
 国有林野の林産物の供給に関する基本的な事項
 国有林野の活用に関する基本的な事項
 国有林野と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備及び保全に関する基本的な事項
 国有林野事業の実施体制その他その運営に関する事項
 その他国有林野の管理経営に関し必要な事項
 管理経営基本計画は、森林における生物の多様性の保全、国民の需要に即した林産物の供給、効率的かつ安定的な林業経営を担うべき人材の育成及び確保その他国有林野事業及び民有林野に係る施策の一体的な推進に配慮して定めるものとする。
 管理経営基本計画は、森林法 (昭和二十六年法律第二百四十九号)第四条第一項 の規定によりたてられた全国森林計画その他法律の規定による森林の整備に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。

第五条  農林水産大臣は、管理経営基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該管理経営基本計画の案を、当該公告の日から三十日間公衆の縦覧に供しなければならない。
 前項の規定による公告があつたときは、当該縦覧に供された管理経営基本計画の案に意見がある者は、同項の縦覧期間満了の日までに、農林水産大臣に対し、理由を付した文書をもつて、意見を申し立てることができる。
 農林水産大臣は、第一項の縦覧期間満了後、当該管理経営基本計画の案について、前項の規定により申立てがあつた意見の要旨を付して、林政審議会の意見を聴かなければならない。
 農林水産大臣は、管理経営基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。この場合においては、第二項の規定により申立てがあつた意見の要旨及び当該意見の処理の結果を併せて公表しなければならない。

第六条  森林管理局長は、管理経営基本計画に即して、森林法第七条の二第一項 の森林計画区別に、その管理経営する国有林野で当該森林計画区に係るものにつき、五年ごとに、当該森林計画区に係る森林計画の計画期間の始期をその計画期間の始期とし、五年を一期とする国有林野の管理経営に関する計画(以下「地域管理経営計画」という。)を定めなければならない。
 地域管理経営計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 その対象とする国有林野の管理経営に関する基本的な事項
 巡視、森林病害虫の駆除又はそのまん延の防止その他国有林野の維持及び保存に関する事項
 木材の安定的な取引関係の確立その他林産物の供給に関する事項
 地域における産業の振興又は住民の福祉の向上その他国有林野の活用に関する事項
 公衆の保健の用に供する区域並びに当該区域内における森林及び公衆の保健の用に供する施設の整備に関する基本的な方針
 森林法第十条の十五第一項 に規定する公益的機能維持増進協定に基づく林道の開設その他国有林野と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備及び保全に関する事項
 その他国有林野の管理経営に関し必要な事項
 第四条第三項の規定は、地域管理経営計画について準用する。
 地域管理経営計画は、森林法第七条の二第一項 の規定によりたてられた森林計画との調和が保たれたものでなければならない。
 前条の規定は、地域管理経営計画の策定及び変更について準用する。この場合において、同条中「農林水産大臣」とあるのは「森林管理局長」と、同条第三項中「林政審議会」とあるのは「関係都道府県知事、関係市町村長及び次条第二項各号に掲げる事項に関し学識経験を有する者」と読み替えるものとする。
 森林管理局長は、国有林野事業及び民有林野に係る施策の一体的な推進のため必要があると認めるときは、関係都道府県知事及び関係市町村長に必要な協力を要請することができる。

第六条の二  森林管理局長は、前条第二項第五号に掲げる基本的な方針に即して森林及び公衆の保健の用に供する施設を整備しようとするときは、政令で定めるところにより、その整備しようとする区域に係る国有林野につき、公衆の保健の用に供するための計画を定めなければならない。
 前項の計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 その対象とする国有林野の地区
 前号の地区内において整備しようとする公衆の保健の用に供する施設の位置、種類その他当該施設の設置に関する事項
 第一号の地区内における造林、保育、伐採その他の施業の方法に関する事項
 国有林野の有する公衆の保健以外の公益的機能との調和その他第二号の施設の整備に際し配慮すべき事項
 森林管理局長は、第一項の計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 第一項及び前項の規定は、第一項の計画の変更について準用する。

第六条の三  農林水産大臣は、毎年九月三十日までに、前年度における管理経営基本計画の実施状況を公表しなければならない。
 農林水産大臣は、前項の公表をしようとするときは、林政審議会の意見を聴き、その意見の概要を同項の実施状況とともに公表しなければならない。

第六条の四  林政審議会は、第五条第三項及び前条第二項の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議する。
 林政審議会は、前項に規定する事項に関し農林水産大臣に意見を述べることができる。

   第一章の三 調査業務の委託

第六条の五  農林水産大臣は、その指定する者(以下「指定調査機関」という。)に、国有林野の管理に関する業務のうち、次に掲げる業務(以下「調査業務」という。)を行わせることができる。
 樹種、材積、材質その他の樹木の伐採又は売払いに必要な事項を調査すること。
 前号の調査により農林水産大臣が定める伐採又は売払いの基準に適合すると認められる樹木に、農林水産省令で定める記号を表示すること。
 前項の規定による指定は、調査業務を行おうとする者の申請により行う。

第六条の六  農林水産大臣は、前条第二項の申請が次に掲げる要件に適合していると認めるときでなければ、指定調査機関の指定をしてはならない。
 調査業務を適正かつ確実に実施するに足りる技術的能力及び経理的基礎を有するものであること。
 調査業務以外の業務を行つているときは、その業務を行うことによつて調査業務が不公正になるおそれがないこと。
 その指定をすることによつて調査業務の適正かつ確実な実施を阻害することとならないこと。
 農林水産大臣は、前条第二項の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、指定調査機関の指定をしてはならない。
 一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。
 第六条の十五第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者であること。
 その役員のうちに、この法律に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者があること。

第六条の七  指定調査機関は、農林水産大臣から調査業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その調査業務を行わなければならない。

第六条の八  調査業務に従事する指定調査機関の役員又は職員は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第六条の九  指定調査機関は、調査業務の実施に関する事項について業務規程を定め、農林水産大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 業務規程で定めるべき事項は、農林水産省令で定める。
 農林水産大臣は、第一項の認可をした業務規程が調査業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定調査機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。

第六条の十  指定調査機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(第六条の五第一項の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、農林水産大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 指定調査機関は、毎事業年度、事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に、農林水産大臣に提出しなければならない。

第六条の十一  指定調査機関は、帳簿を備え、調査業務に関し農林水産省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
 前項に規定するもののほか、帳簿の備付け及び保存に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

第六条の十二  農林水産大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定調査機関に対し、調査業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

第六条の十三  農林水産大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定調査機関に対し、調査業務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、指定調査機関の事務所に立ち入り、調査業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第六条の十四  指定調査機関は、農林水産大臣の許可を受けなければ、調査業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

第六条の十五  農林水産大臣は、指定調査機関が第六条の六第二項第一号又は第三号に該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。
 農林水産大臣は、指定調査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて調査業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
 この章の規定に違反したとき。
 第六条の六第一項第一号又は第二号に適合しなくなつたと認められるとき。
 第六条の九第一項の規定により認可を受けた業務規程によらないで調査業務を行つたとき。
 第六条の九第三項又は第六条の十二の規定による命令に違反したとき。
 不正な手段により指定を受けたとき。

第六条の十六  この章に規定するもののほか、指定調査機関及び調査業務に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

   第二章 貸付け、使用及び売払い

第七条  第二条第一項第一号の国有林野は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、契約により、貸し付け、又は貸付け以外の方法により使用(収益を含む。以下同じ。)させることができる。
 公用、公共用又は公益事業の用に供するとき。
 土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法令により他人の土地を使用することができる事業の用に供するとき。
 第六条の二第一項の計画に従つて整備される公衆の保健の用に供する施設の用に供するとき。
 放牧又は採草の用に供するとき。
 その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は使用させる面積が五ヘクタールを超えないとき。
 前項の規定により国有林野を貸し付け、又は貸付け以外の方法により使用させる場合には、国有財産法第二十一条 から第二十五条 まで(鉄道、道路その他政令で定める施設の用に供される土地に地上権を設定する場合にあつては、第二十一条及び第二十三条を除く。)の規定を準用する。

第八条  第二条第一項第二号の国有林野を売り払い、貸し付け、又は使用させようとする場合において、次に掲げる者からその買受け、借受け又は使用の申請があつたときは、これを他に優先させなければならない。
 当該林野を公用、公共用又は公益事業の用に供する者
 当該林野を基本財産に充てる地方公共団体
 当該林野に特別の縁故がある者で農林水産省令で定めるもの
 当該林野をその所在する地方の農山漁村の産業の用に供する者

第八条の二  農林水産大臣は、国有林野を次に掲げる施設の用に供するため、地方公共団体、水害予防組合、水害予防組合連合、土地改良区、土地改良区連合、森林組合、生産森林組合、森林組合連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会及び水産業協同組合に対し貸し付け、又は使用させるときは、政令の定めるところにより、その貸付け又は使用の対価を、無償とし、又は時価よりも低く定めることができる。
 林道又は農道
 水道施設又は用排水路
 水害又は火災の予防施設
 船揚場、水産物干場又は漁具干場
 その他公用、公共用又は公益事業の用に供する施設で政令で定めるもの
 前項の規定により国有林野を無償で貸し付け、又は使用させる場合には、国有財産法第二十二条第二項 及び第三項 の規定を準用する。

第八条の三  農林水産大臣は、国有林野を当該国有林野の所在する地方の市町村の住民又は当該市町村内の一定の区域に住所を有する者の共同の利用に供するため左に掲げる土地として貸し付け、又は使用させる場合において、これらの者の生業の維持又は農林漁業経営の安定のため特に必要があると認めるときは、その貸付又は使用の対価を時価よりも低く定めることができる。
 放牧地又は採草地
 ため池又は用排水路の敷地
 林道又は農道の敷地
 その他農林漁業の用に供する共同利用施設で政令で定めるものの敷地

第八条の四  農林水産大臣は、国有林野を当該国有林野の所在する地方の農林漁業の用に供するため貸し付け、又は使用させている場合において、風水害、冷害等の災害で異常、且つ、広範囲なものにより、その借受人又は使用者が、当該国有林野の貸付又は使用の対価を納付することが著しく困難であると認められるときは、これらの者に対しその困難の程度に応じて当該貸付若しくは使用の対価を減じ、又はその支払を免除することができる。

   第三章 分収造林

第九条  農林水産大臣は、国有林野について、契約により、国以外の者に造林させ、その収益を国及び造林者が分収するものとすることができる。

第十条  前条の契約(以下「分収造林契約」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
 分収造林契約の目的たる国有林野(以下この章において「分収林」という。)の所在及び面積
 当該契約の存続期間
 植栽(人工下種を含む。以下同じ。)すべき樹種及び本数
 植栽の期間及び方法
 保育の方法
 伐採の時期及び方法
 収益分収の割合
 その他必要な事項

第十一条  分収林につき、分収造林契約に基づき植栽した樹木(以下この章において「分収木」という。)は、国と造林者との共有とし、その持分は、当該契約に定められた収益分収の割合によるものとする。
 根株は、国の所有とする。但し、契約をもつて特別の定をすることができる。
 分収造林契約があつた後において天然に生じた樹木であつて、分収木とともに生育させるものとして森林管理署長が指定したものは、分収木とみなす。
 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条 の規定は、分収木には、適用しない。

第十二条  分収造林契約の存続期間は、八十年を超えることができない。ただし、農林水産大臣は、造林者から長伐期施業を行うため当該存続期間を延長したい旨の申出があつた場合において、分収林の有する公益的機能の維持増進を図るため適当であると認めるときは、これを延長することができる。
 前項ただし書の規定により延長する期間は、一回ごとに八十年を超えることができない。
 分収造林契約は、更新することができる。

第十三条  造林者は、分収林について、次に掲げる事項を行わなければならない。
 火災の予防及び消防
 盗伐、誤伐その他の加害行為の予防及び防止
 有害動物及び有害植物の駆除及びそのまん延の防止
 境界標その他の標識の保存

第十四条  造林者は、次に掲げる分収林の林産物を採取することができる。
 下草、落葉及び落枝
 木の実及びきのこ類
 分収造林契約のあつた後において天然に生じた樹木(第十一条第三項の規定により森林管理署長が指定したものを除く。)
 植栽後二十年以内において保育のため伐採する分収木

第十五条  造林者は、その権利を担保に供し、又は処分することができない。ただし、森林管理局長の許可を受けた場合は、この限りでない。

第十六条  造林者は、分収造林契約の目的以外の目的に分収林を使用してはならない。ただし、分収造林契約の目的を妨げないと認めて森林管理局長が許可した場合は、この限りでない。

第十七条  農林水産大臣は、次の各号の一に該当する場合には、分収造林契約を解除することができる。ただし、造林者の責めに帰することができない場合は、この限りでない。
 当該契約に定められた植栽期間の始期から一年を経過しても造林者が植栽に着手しないとき。
 当該契約に定められた植栽期間が満了しても造林者が植栽を完了していないとき。
 植栽を終わつた後五年を経過しても成林の見込みがないとき。
 造林者が当該契約に定められた植栽、保育又は伐採の方法に従わなかつたとき。
 造林者が第十三条に掲げる事項の実施を怠つたとき。
 造林者が前条の規定に違反したとき。
 造林者がその分収林につき罪を犯したとき。
 前項の規定により分収造林契約を解除した場合には、植栽を終わつた樹木は、国の所有に帰する。
 農林水産大臣は、国又は公共団体において分収林を公用、公共用又は公益事業の用に供する必要を生じたときは、分収造林契約を解除することができる。
 農林水産大臣は、第一項又は前項の規定により分収造林契約を解除しようとするときは、造林者に対し、あらかじめ、理由を付して、その旨を通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において、意見の聴取に際しては、造林者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、証拠を提出することができる。
 第三項の規定により分収造林契約を解除した場合には、国有財産法第二十四条第二項 及び第二十五条 の規定を準用する。この場合において、同法第二十四条第二項 中「借受人」とあるのは、「造林者」と読み替えるものとする。

   第四章 分収育林

第十七条の二  農林水産大臣は、国有林野について、契約により、一定の土地に生育している樹木を国以外の者との共有とし、その者の持分の対価並びに当該樹木について国が行う保育及び管理(以下「育林」という。)に要する費用の一部をその者に支払わせ、育林による収益を国及びその者(以下「費用負担者」という。)が分収するものとすることができる。

第十七条の三  前条の契約(以下「分収育林契約」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
 分収育林契約の目的たる国有林野(以下この章において「分収林」という。)の所在及び面積並びに当該契約の目的たる樹木(以下この章において「分収木」という。)の樹種別及び樹齢別の本数
 当該契約の存続期間
 分収木に係る費用負担者の持分の割合
 費用負担者が支払うべき額
 育林の方法
 伐採の時期及び方法
 その他必要な事項

第十七条の四  分収林につき、費用負担者は、分収育林契約に定められた分収木に係る持分の割合により、分収木に係る収益を国と分収するものとする。

第十七条の五  分収育林契約の存続期間は、六十年を超えることができない。ただし、農林水産大臣は、費用負担者から長伐期施業を行うため当該存続期間を延長したい旨の申出があつた場合において、分収林の有する公益的機能の維持増進を図るため適当であると認めるときは、これを延長することができる。
 前項ただし書の規定により延長する期間は、一回ごとに六十年を超えることができない。
 分収育林契約は、更新することができる。

第十七条の六  分収育林契約については、第十一条第二項から第四項まで及び第十七条第三項から第五項までの規定を準用する。この場合において、同条第四項及び第五項中「造林者」とあるのは、「費用負担者」と読み替えるものとする。

   第五章 共用林野

第十八条  農林水産大臣は、国有林野の経営と当該国有林野の所在する地方の市町村の住民の利用とを調整することが土地利用の高度化を図るため必要であると認めるときは、契約により、当該市町村の住民又は当該市町村内の一定の区域に住所を有する者に対し、これらの者が当該国有林野を次に掲げる用途に共同して使用する権利を取得させることができる。
 自家用薪炭の原料に用いる枝又は落枝の採取
 自家用の肥料若しくは飼料又はこれらの原料に用いる落葉又は草の採取
 自家用薪炭の原木の採取
 エネルギー源として共同の利用に供するための林産物その他農林水産省令で定める林産物の採取
 耕作に付随して飼養する家畜の放牧
 前項第三号の規定による権利を取得させる場合は、旧来の慣行その他特別の事由があるときに限る。
 第一項の規定により国有林野を使用する権利を取得させることを内容とする契約(以下「共用林野契約」という。)の相手方は、当該契約に基いて当該国有林野を使用することができる者(以下「共用者」という。)の住所地の属する市町村とする。但し、市町村内の一定の区域に住所を有する者を共用者とする場合には、共用者の全員を相手方とすることを妨げない。
 第一項の規定により国有林野を使用させる場合には、国有財産法第二十三条 から第二十五条 までの規定を準用する。

第十九条  共用林野契約においては、左に掲げる事項を定めなければならない。
 共用林野契約の目的たる国有林野(以下「共用林野」という。)の所在及び面積
 当該契約の存続期間
 採取することができる林産物の種類、数量及び採取方法又は放牧することができる家畜の種類及び頭数
 使用の対価(使用の対価を徴しないときは、その旨)
 市町村内の一定の区域に住所を有する者を共用者とする場合には、その区域及び共用者としての要件
 その他必要な事項

第二十条  共用林野契約の存続期間は、五年をこえることができない。
 共用林野契約は、更新することができる。

第二十一条  共用林野契約において、使用の対価を徴しない旨の定をし、又は使用の対価を時価よりも低く定めることができるのは、当該契約に共用者が当該林野について第十三条に掲げる事項を行うべき旨の定がある場合に限る。

第二十一条の二  第十八条の規定により国有林野を使用させている場合には、第八条の四の規定を準用する。

第二十二条  市町村内の一定の区域に住所を有する者を共用者とする共用林野契約においては、共用者が当該区域に住所を有しなくなり、その他当該契約に定める共用者としての要件を欠くに至つたときは、その者は、共用者としての地位を失う。
 前項の契約においては、共用者以外の者で当該区域内に住所を有し、かつ、当該契約に定める共用者としての要件を備えるものは、農林水産省令の定めるところにより当該契約に加入することを当該共用林野を管轄する森林管理署長及び共用者の代表者に通知することによつて、共用者としての地位を取得する。

第二十三条  農林水産大臣は、共用者が左の各号の一に該当する場合には、共用林野契約を解除し、又はその者の使用を制限し、若しくは禁止することができる。
 その共用林野を当該契約で定められた用途以外の用途に使用したとき。
 その共用林野につき罪を犯したとき。
 当該契約に共用者が第十三条に掲げる事項を行うべき旨の定がある場合において、正当な事由がないのに、その実施を怠つたとき。
 前項の規定により共用林野契約を解除し、又は使用を制限し、若しくは禁止しようとする場合には、第十七条第四項の規定を準用する。この場合において、「造林者に対し」とあるのは「共用林野契約の相手方又は共用者に対し」と、「造林者又はその代理人」とあるのは「共用林野契約の相手方若しくは共用者又はその代理人」と読み替えるものとする。

第二十四条  共用者が共用林野に損害を与えたときは、市町村との共用林野契約である場合には当該市町村及び共用者が、その他の場合には共用者が連帯してその損害を賠償しなければならない。

   第六章 雑則

第二十五条  この法律に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を森林管理局長に委任することができる。
 前項の規定により森林管理局長に委任された権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を森林管理署長に委任することができる。

   第七章 罰則

第二十六条  第六条の十五第二項の規定による調査業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定調査機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十七条  次の各号の一に該当するときは、その行為をした指定調査機関の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
 第六条の十一第一項の規定に違反し、又は同項の帳簿に虚偽の記載をしたとき。
 第六条の十三第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
 第六条の十四の許可を受けないで調査業務の全部を廃止したとき。

   附 則 抄

 この法律は、公布の日から施行する。
 国有林野法(明治三十二年法律第八十五号)は、廃止する。
 この法律の施行の際現に貸し付け、又は使用させている国有林野については、その契約期間中は、なお従前の例による。
 この法律の施行の際現に存する部分林については、その契約期間中は、なお従前の例による。

   附 則 (昭和二七年五月一日法律第一三〇号) 抄

 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (昭和二九年五月一日法律第八三号)

 この法律は、公布の日から施行する。
   附 則 (昭和三二年五月一七日法律第一〇七号) 抄

 この法律は、公布の日から施行する。
 この法律の施行前に前項の規定による改正前の国有林野法第三条から第六条までの規定に基いてした手続その他の行為は、この法律による改正後の国有財産法第三十一条の三から第三十一条の五までの相当規定に基いてした手続その他の行為とみなす。

   附 則 (昭和三九年七月一日法律第一三〇号) 抄

 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (昭和四一年三月三一日法律第四一号) 抄

 この法律は、昭和四十一年四月一日から施行する。

   附 則 (昭和四八年七月二七日法律第六七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (昭和五三年五月一日法律第三六号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (昭和五三年七月五日法律第八七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第六十四条の四第一項、第六十六条、第六十七条、第六十八条第一項、第二項及び第四項、第六十九条並びに第六十九条の二第二項の改正規定、第六十九条の三の次に一条を加える改正規定、第七十条第一項及び第三項の改正規定、同条を第七十一条とする改正規定並びに第七十二条を削り、第七十一条を第七十二条とする改正規定 昭和五十四年一月一日
 第十八条の八、第二十二条第二項及び第二十二条の三第二項の改正規定、第七十八条第六号を削る改正規定、第八十条第一号及び第八十一条の改正規定、第八十二条第二項の表の改正規定(淡水区水産研究所の項を削る部分に限る。)、第八十三条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定並びに第八十七条の改正規定 昭和五十四年三月三十一日までの間において、各規定につき、政令で定める日
 第十八条第三項、第十八条の三第二項及び第二十一条第二項の改正規定 昭和五十五年三月三十一日までの間において、各規定につき、政令で定める日

   附 則 (昭和五九年五月八日法律第二七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(経過措置)
第二条  この法律の施行の際現に存する部分林については、その契約期間中は、なお従前の例による。

   附 則 (平成五年一一月一二日法律第八九号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。

(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)
第二条  この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第十三条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)
第十四条  この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。

(政令への委任)
第十五条  附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成一〇年一〇月一九日法律第一三五号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二条及び第五条並びに附則第四条から第六条まで、第九条、第十四条及び第十八条の規定は、平成十一年三月一日から施行する。

(第一条の規定による国有林野法の一部改正に伴う経過措置)
第二条  この法律の施行後第一条の規定による改正後の国有林野の管理経営に関する法律(以下「管理経営法」という。)第四条第一項の規定により最初に定める管理経営基本計画の計画期間は、同項の規定にかかわらず、平成十一年一月一日から平成二十一年三月三十一日までとする。
 前項の規定により定められる管理経営基本計画に引き続く次の管理経営基本計画は、管理経営法第四条第一項の規定にかかわらず、平成十六年四月一日をその計画期間の始期として定めなければならない。

第三条  この法律の施行後管理経営法第六条第一項の規定により最初に定める地域管理経営計画は、同項の規定にかかわらず、平成十一年四月一日をその計画期間の始期とし、同日以降一年から五年までの間において農林水産大臣の定める期間をその計画期間としなければならない。
 前項の規定により定められる地域管理経営計画に引き続く次の地域管理経営計画は、管理経営法第六条第一項の規定にかかわらず、前項の農林水産大臣の定める期間が満了する日の翌日をその計画期間の始期として定めなければならない。

   附 則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。

   附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

   附 則 (平成一八年六月二日法律第五〇号) 抄

 この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
   附 則 (平成二三年六月二四日法律第七四号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

   附 則 (平成二四年六月二七日法律第四二号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成二十五年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 次条並びに附則第三条、第五条及び第十二条の規定 公布の日

(管理経営基本計画等に関する経過措置)
第二条  農林水産大臣は、平成二十四年十二月三十一日までに、第一条の規定による改正後の国有林野の管理経営に関する法律(以下「新管理経営法」という。)第四条及び第五条の規定の例により、第一条の規定による改正前の国有林野の管理経営に関する法律(次条において「旧管理経営法」という。)第四条の規定により定められている管理経営基本計画を変更しなければならない。この場合において、当該管理経営基本計画の変更は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)にその効力を生ずるものとする。
 前項の規定により変更された管理経営基本計画は、新管理経営法第四条及び第五条の規定により変更された管理経営基本計画とみなす。

第三条  森林管理局長は、平成二十五年三月三十一日までに、新管理経営法第六条の規定の例により、旧管理経営法第六条の規定により定められている地域管理経営計画(平成二十年四月一日をその計画期間の始期とするものを除く。)を変更しなければならない。この場合において、当該地域管理経営計画の変更は、施行日にその効力を生ずるものとする。
 森林管理局長は、施行日をその計画期間の始期とする地域管理経営計画を定める場合には、旧管理経営法第六条の規定にかかわらず、新管理経営法第六条の規定の例によるものとする。
 前二項の規定により変更され、又は定められた地域管理経営計画は、新管理経営法第六条の規定により変更され、又は定められた地域管理経営計画とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第十一条  この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令等への委任)
第十二条  附則第二条から前条まで並びに附則第二十五条、第三十条、第四十条及び第四十四条に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令(人事院の所掌する事項については、人事院規則)で定める。