鉄道軌道整備法

鉄道軌道整備法
(昭和二十八年八月五日法律第百六十九号)


最終改正:平成一七年七月二六日法律第八七号

第一条  この法律は、鉄道事業に対する特別の助成措置を講じて鉄道の整備を図ることにより、産業の発達及び民生の安定に寄与することを目的とする。

第二条  この法律において、「鉄道事業」とは、鉄道事業法 (昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業及び軌道法 (大正十年法律第七十六号)による軌道業をいい、「鉄道事業者」とは、鉄道事業を営む者をいう。
 この法律において「新線」とは、鉄道(軌道を含む。以下同じ。)のうちこの法律施行後敷設されるものをいう。

第三条  この法律の規定に基く助成の対象とする鉄道は、第一号若しくは第三号に該当するものとして国土交通大臣の認定を受けたもの、第二号に該当するもので当該改良計画につき国土交通大臣の承認を受けたもの又は第四号に該当するものとする。
 天然資源の開発その他産業の振興上特に重要な新線
 産業の維持振興上特に重要な鉄道であつて、運輸の確保又は災害の防止のため大規模な改良を必要とするもの
 設備の維持が困難なため老朽化した鉄道であつて、その運輸が継続されなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの
 洪水、地震その他の異常な天然現象により大規模の災害を受けた鉄道であつて、すみやかに災害復旧事業を施行してその運輸を確保しなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの
 前項の規定により承認を受けた改良計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の承認を受けなければならない。

第四条  国土交通大臣は、前条の規定により認定した鉄道が同条第一項第一号又は第三号に該当しなくなつたと認めたときは、当該認定を取り消すものとする。前条第一項第一号に該当するものとして同条の認定をした鉄道が、その運輸開始後十年を経過したときも、同様とする。

第五条  国土交通大臣は、第三条の規定により改良計画の承認をした鉄道が、同条第一項第二号に該当しなくなつたと認めたとき(当該改良計画に係る改良を完了した場合においては、当該鉄道が産業の維持振興上特に重要なものでなくなつたと認めたとき)、又は当該改良計画に係る改良の完了後十年を経過したときは、当該承認を取り消すものとする。

第六条  国土交通大臣は、第三条の規定により認定した鉄道及び同条の規定により改良計画の承認をした鉄道の鉄道事業者に対し、その業務の改善及び財産の保全に関し、必要な指示をすることができる。

第七条  国土交通大臣は、第三条の規定により認定した鉄道及び同条の規定により改良計画の承認をした鉄道の鉄道事業者に対し、その者の行う兼業又は投資に関し、必要な指示をすることができる。

第八条  政府は、第三条第一項第一号に該当するものとして同条の規定により認定を受けた鉄道の運輸が開始されたときは、当該鉄道事業者に対し、毎年、予算の範囲内で、当該鉄道の事業用固定資産の価額の六分に相当する金額を限度として補助することができる。
 政府は、第三条の規定により改良計画の承認を受けた鉄道の当該改良が完了したときは、当該鉄道事業者に対し、毎年、予算の範囲内で、当該改良によつて増加した事業用固定資産の価額の六分に相当する金額を限度として補助することができる。
 政府は、第三条第一項第三号に該当するものとして同条の規定により認定を受けた鉄道につき適切な経営努力がなされたにかかわらず欠損を生じたときは、当該鉄道事業者に対し、毎年、予算の範囲内で、当該鉄道事業の欠損金の額に相当する金額を限度として補助することができる。
 政府は、第三条第一項第四号に該当する鉄道の鉄道事業者がその資力のみによつては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは、予算の範囲内で、当該災害復旧事業に要する費用の一部を補助することができる。
 前二条の規定は、前項の規定により補助を受けた鉄道事業者(当該補助に係る災害復旧事業を完了した者及び第十四条の規定により当該補助金の全部を返還した者を除く。)について、準用する。
 災害復旧事業の範囲、補助率その他の第四項の規定による補助に関し必要な事項は、政令で定める。
 政府は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法 (平成十四年法律第百八十号)の定めるところにより、第一項から第四項までの規定による補助金の交付を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて行うことができる。
 前項の規定により同項に規定する補助金の交付が独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて行われる場合には、次条及び第十条中「国土交通大臣」とあるのは、「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて国土交通大臣」とする。

第九条  前条の補助を受けようとする鉄道事業者は、国土交通省令の定めるところにより、補助金の交付申請書に当該鉄道に関する損益見込計算書その他の書類を添附して国土交通大臣に提出しなければならない。

第十条  前条の規定により補助金の交付申請書を提出した鉄道事業者は、毎事業年度終了後三箇月以内に、国土交通省令の定めるところにより、当該鉄道に関する損益計算書その他の書類を国土交通大臣に提出しなければならない。

第十一条  第九条の規定により補助金の交付申請書を提出した鉄道事業者は、当該鉄道に関する損益計算の根拠が明らかであるように関係帳簿及び書類の整理をしなければならない。

第十二条  国土交通大臣は、第八条の規定により補助する場合には、当該補助金の使途につき必要な条件を付することができる。

第十三条  国土交通大臣は、第八条第一項又は第二項の規定による補助を受けるため第九条の補助金の交付申請書を提出した鉄道事業者の当該鉄道につき、その事業用固定資産の価額に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえる益金を生じたときは、補助金を交付することができない。

第十四条  国土交通大臣は、第八条の規定により補助を受ける若しくは受けた鉄道事業者が次の各号の一に該当するときは、交付すべき補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は交付した補助金の全部若しくは一部に国土交通省令で定める利息を付して返還を命ずることができる。
 第三条第二項の規定による承認を受けなかつたとき。
 第六条又は第七条(これらの規定を第八条第五項の規定において準用する場合を含む。)の規定による指示に従わなかつたとき。
 第十条の規定により提出する書類に虚偽の記載をしたことが判明したとき。
 第十二条の規定による条件に違反したとき。
 第十五条の二の規定に違反したとき。

第十五条  第八条の規定により補助を受けた鉄道事業者は、当該鉄道につき、その事業用固定資産の価額に政令で定める割合を乗じて得た金額を超える益金を生じたときは、その超過額の二分の一に相当する金額を、当該益金を生じた事業年度末からさかのぼり十年以内に交付を受けた補助金の総額(前条の規定により補助金を返還したときは、当該返還額を控除した残額)に達するまで、国庫に納付しなければならない。

第十五条の二  第八条の規定により補助を受けた鉄道事業者は、政令で定める割合以上の剰余金の配当をしようとするときは、国土交通大臣の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。
 当該事業年度末からさかのぼり五年以内に補助金の交付を受けていないとき。
 第十四条の規定により、当該事業年度末からさかのぼり五年以内に交付を受けた補助金の全部を返還したとき。
 前条の規定により同条に規定する補助金の総額に相当する金額を納付した後において補助金の交付を受けていないとき。

第十六条  政府は、第三条の規定により認定を受けた鉄道及び同条の規定により改良計画の承認を受けた鉄道の鉄道事業者が、国土交通大臣の指示に基づき当該鉄道の設備の改良(第三条の規定により承認を受けた改良計画に係るものを除く。)を行う場合において、国土交通省令で定める範囲の金融機関がその資金を融通するときは、国土交通省令の定めるところにより、当該融資につき利子補給金を支給する旨の契約を当該金融機関と結ぶことができる。

第十七条  前条の規定による契約により政府が利子補給金を支給することができる年限は、当該契約をした会計年度以降八箇年度以内とする。

第十八条  政府は、第十六条の規定による契約を結ぶ場合には、利子補給金の総額が国会の議決を経た金額をこえることとならないようにしなければならない。

第十九条  第十六条の規定による契約により政府が支給する利子補給金の額は、国土交通省令の定めるところにより、金融機関がした当該契約に係る融資の融資残高について、当該金融機関が通常それと同種類の融資を行う場合における利率と年七分五厘との差の範囲内で国土交通大臣が告示で定める利率で計算する額を限度とする。

第二十条  政府と金融機関との間に第十六条に規定する契約が成立したときは、当該金融機関は、当該契約に係る融資の融資残高についての利率を、当該金融機関が通常それと同種類の融資を行う場合における利率から政府が支給する利子の補給金の額を基礎として算出した利率だけ引き下げたものとしなければならない。

第二十一条  政府は、金融機関が第十六条の規定による契約又は前条の規定に違反したときは、当該金融機関に対し、支給すべき利子補給金の全部若しくは一部を支給せず、又は支給した利子補給金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

第二十二条  第十六条の規定による契約に係る融資を受けた鉄道事業者は、当該融資金を当該融資の目的以外の用途に使用してはならない。

第二十三条  第三条の規定により認定を受けた鉄道(同条第一項第一号に該当するものとして同条の規定により認定を受けた鉄道にあつては、敷設の完了したもの)及び同条の規定により承認を受けた改良計画に係る改良を完了した鉄道に係る固定資産税及び事業税については、当該認定又は承認が取り消されるまで、地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条 の規定の適用があるものとする。

第二十四条  第八条第一項及び第二項、第十三条並びに第十五条の事業用固定資産の価額、第八条第三項の欠損金の額並びに第十三条及び第十五条の益金の算定方法、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、国土交通省令で定める。

   附 則 抄

(施行期日)
 この法律は、公布の日から施行する。
(認定又は承認を行わない鉄道)
 国土交通大臣は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法第四条第三号から第五号までに規定する新幹線鉄道、主要幹線鉄道及び都市鉄道については、当分の間、第三条第一項の規定による認定(同項第一号に係るものに限る。)又は承認を行わないものとする。
(国の無利子貸付け等)
 国は、当分の間、第三条第一項の規定にかかわらず、鉄道事業者又は地方公共団体(その出資され、又は拠出された金額の全部が地方公共団体により出資され、又は拠出されている法人を含む。)の出資若しくは拠出に係る法人(以下「鉄道事業者等」という。)に対し、鉄道事業の用に供する施設の建設又は改良に関する事業で日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法(昭和六十二年法律第八十六号)第二条第一項第二号に該当するものに要する費用に充てる資金の一部を、予算の範囲内において、無利子で貸し付けることができる。
 前項の国の貸付金の償還期間は、五年(二年以内の据置期間を含む。)以内で政令で定める期間とする。
 前項に定めるもののほか、附則第三項の規定による貸付金の償還方法、償還期限の繰上げその他償還に関し必要な事項は、政令で定める。
 国は、附則第三項の規定により鉄道事業者等に対し貸付けを行つた場合には、当該貸付けの対象である事業について、当該貸付金に相当する金額の補助を行うものとし、当該補助については、当該貸付金の償還時において、当該貸付金の償還金に相当する金額を交付することにより行うものとする。
 鉄道事業者等が、附則第三項の規定による貸付けを受けた無利子貸付金について、附則第四項及び第五項の規定に基づき定められる償還期限を繰り上げて償還を行つた場合(政令で定める場合を除く。)における前項の規定の適用については、当該償還は、当該償還期限の到来時に行われたものとみなす。

   附 則 (昭和三三年五月二〇日法律第一六〇号) 抄

 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (昭和三九年二月二九日法律第三号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (昭和五〇年一二月二六日法律第九〇号) 抄

(施行期日)
 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (昭和六〇年五月一八日法律第三七号) 抄

(施行期日等)
 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (昭和六一年一二月四日法律第九三号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、昭和六十二年四月一日から施行する。

(政令への委任)
第四十二条  附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則 (平成三年四月二六日法律第四六号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二十条及び附則第十条から第二十四条までの規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成九年六月一三日法律第八三号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十五条から第三十七条までの規定は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

   附 則 (平成一四年二月八日法律第一号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 (平成一四年一二月一八日法律第一八〇号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成十五年十月一日から施行する。

   附 則 (平成一七年七月二六日法律第八七号) 抄

 この法律は、会社法の施行の日から施行する。