民事訴訟法中改正法律施行法¶
民事訴訟法中改正法律施行法(大正十五年四月二十四日法律第六十二号)
第二条
新法ハ新法施行前ニ生シタル事項ニモ之ヲ適用ス但シ旧法ニ依リテ生シタル効力ヲ妨ケス
第三条
新法施行前ヨリ繋属スル事件ニ付新法ニ依リ管轄権アル裁判所ハ旧法ニ依レハ管轄権ナキ場合ニ於テモ管轄権ヲ有ス
○2
前項ノ事件ニ付旧法ニ依リ管轄権アル裁判所ハ新法ニ依レハ管轄権ナキ場合ニ於テモ管轄権ヲ有ス
第四条
新法ニ依リ新ニ期間ヲ定メタル訴訟行為ニシテ新法施行ノ際為スヘキモノニ付テハ其ノ期間ハ新法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第五条
新法第八十五条ノ規定ハ新法施行前同条ニ掲クル事由ヲ生シタル訴訟代理ニシテ新法施行前委任消滅ノ通知ヲ為ササリシモノニモ之ヲ適用ス
第六条
新法施行前ヨリ繋属スル訴訟ニ付テハ旧法ニ依リ訴訟費用ノ保証ヲ立ツル義務ナキ者ハ新法ニ依リ担保ヲ供スルコトヲ要セス
第七条
新法施行前ヨリ進行ヲ始メタル法定期間及其ノ計算ハ旧法ニ依ル
○2
新法施行前言渡シタル判決ニ対スル上訴ノ期間カ新法施行後進行ヲ始メタル場合亦前項ニ同シ
第八条
新法施行前裁判所書記カ判決原本ノ交付ヲ受ケタルトキハ其ノ判決ノ送達ハ申立アルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ要セス
第九条
新法施行前ヨリ繋属スル訴訟ニ付テハ特ニ裁判所ノ命シタル場合ニ限リ新法ニ依リ準備手続ヲ為ス
第十条
新法施行前旧法ニ依リテ罰金又ハ過料ニ処スヘキ行為ヲ為シタル者ニシテ新法施行ノ際未タ其ノ裁判ヲ受ケサルモノハ新法ニ於テ過料ニ処スヘキ場合ニ限リ新法ニ依リ処罰ス但シ過料ノ額ハ旧法ノ罰金又ハ過料ノ額ヲ超ユルコトヲ得ス
第十一条
新法施行前第一審裁判所又ハ控訴裁判所カ管轄違トシテ訴ヲ却下シタル場合ニ於テ上訴裁判所カ第一審裁判所ニ其ノ管轄権ナシトスルトキハ判決ヲ以テ事件ヲ第一審ノ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ要ス
○2
前項ノ場合ニ於テ上訴裁判所カ第一審裁判所ニ管轄権アリトスルトキハ事件ヲ其ノ裁判所ニ差戻スコトヲ要ス但シ第一審裁判所カ管轄権アリト為シタル事件ニ付控訴裁判所カ管轄違トシテ訴ヲ却下シタル場合ニ於テハ上告裁判所ハ事件ヲ控訴裁判所ニ差戻スコトヲ得
第十二条
新法施行前抗告裁判所ノ為シタル決定ニ対シテハ仍旧法ニ依リ更ニ抗告ヲ為スコトヲ得
第十三条
闕席判決ニ対シテハ仍旧法ニ依リ故障ヲ申立ツルコトヲ得
○2
執行命令ニ対シテハ旧法ニ依ル故障期間内ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得
第十四条
新法施行前妨訴抗弁ヲ棄却シ又ハ請求ノ原因ヲ正当ナリトシタル中間判決ニ対シテハ仍旧法ニ依リ上訴ヲ為スコトヲ得
第十五条
新法施行前ヨリ繋属スル証書訴訟及為替訴訟ハ仍旧法ニ依リ之ヲ完結ス但シ訴訟カ新法施行ノ際第一審ニ繋属スルトキハ新法施行ノ日ヨリ通常ノ手続ニ於テ繋属スルモノト看做ス
第十六条
故障ヲ許ササル闕席判決ニ対シテハ仍旧法ニ依リ上訴ヲ為スコトヲ得
第十七条
新法施行前請求ノ抛棄又ハ認諾ニ基キ判決ヲ求ムル申立アリタルトキハ仍旧法ニ依リ裁判ス新法施行前闕席判決ノ申立アリタルトキ亦同シ
第十八条
新法施行前言渡シタル判決ニシテ旧法第四百二十二条ニ掲クルモノニ対シ控訴ノ提起アリタル場合ニ於テハ仍同条ノ規定ニ依ル
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム